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保険か自費かではない、医療の選択肢を。さまざまな現場を経て見つけた役割【相良萌/看護師】

看護師2026.11.2 公開
相良萌
看護師。2009年に看護師免許を取得し、総合病院の産婦人科・乳腺外科に入職。アパレル業界を経て循環器・心臓血管外科で勤務後、2017年から美容医療に携わる。保険診療クリニックの自費メニュー導入や開業支援を経て、2026年9月に株式会社シフトメディカルへ参画。

記事の見どころ

  • 曽祖母のお見舞いで出会った、優しい看護師さんへの憧れ
  • 自費導入を考えるクリニックが抱える「何から始めれば」という悩み
  • 「まずやってみよう」を後押しし、医療の選択肢を広げていきたい
目次
  1. 看護師を目指したきっかけを教えてください
  2. 3年目でアパレル業界へ転職したのはなぜですか?
  3. 看護師に戻ってからは、どんな日々でしたか?
  4. 美容医療の道へ進んだのはなぜですか?
  5. 今の活動を始めたきっかけを教えてください
  6. 自費診療の導入支援で大切にしていることは?
  7. 活動の原動力と目指す未来を教えてください
  8. 最後に、読者へメッセージをお願いします

看護師を目指したきっかけを教えてください

相良萌

曽祖母のお見舞いで会った看護師さんが、すごく優しくて

小学生の頃、曽祖母が大きな総合病院に入院しました。お見舞いに行ったときに看護師さんと関わり、すごく優しかったという印象が残っています。名前は覚えていませんが、漠然と「こういう仕事があるんだ」と思った記憶が強く、看護師という仕事に興味を持ち始めました。

年齢を重ねても憧れは変わらず、昔からなりたかった職業として看護師の道に進みました。実は三姉妹で、2人の姉も看護師です。両親は医療職ではありませんが、3人とも看護師になりました。

2009年に看護師免許を取得し、実習先だった総合病院の産婦人科・乳腺外科に入職しました。産婦人科を希望したのは、母子の実習がすごく楽しかったからです。赤ちゃんと触れ合う機会があまりなかったので、単純にかわいいなと思いました。

産婦人科以外の科は年配の方を対象にすることが多いと思いますが、産婦人科はこれから生まれてくる命にフォーカスしています。希望にあふれた雰囲気や病棟の明るさなども総合的に見て、産婦人科を選びました。仕事内容はすごく楽しく、実習先の病院に就職した同期も多かったので、みんなで励まし合いながら頑張った3年間でした。

3年目でアパレル業界へ転職したのはなぜですか?

相良萌

学生じゃなければ続けたいと思うくらい、販売の仕事が楽しくて

看護学生の頃から、アパレル業界で販売のアルバイトをしていました。仕事は本当に楽しかった一方で、学生のアルバイトでは働ける期間や任される仕事の中身が限られていました。

当時は「看護師は入ってから3年経つまでは一人前じゃない」という風潮がありました。3年目を目前にして考えたのは、学生時代に楽しかった販売の仕事を、もう少し深く知りたいということです。暗黙の了解といわれる3年目を節目に、2012年に思い切って転職しました。本当に勢いだったと思います。

販売の魅力は、自分がすすめた商品がダイレクトにお客さまに届き、反応を見られることです。気に入って購入していただけると、一連の流れを自分がつくり上げたという実感がありました。病院ではお客さま対応をする機会があまりなかったので、病院とは違う接客、人と関わる仕事をすごく楽しめたと思います。

アパレル業界では2年間働きました。看護師の免許がなかったら、ずっとアパレルにいたかもしれません。

看護師に戻ってからは、どんな日々でしたか?

相良萌

10年、20年先を考えたら、看護師に戻ると思っていました

アパレル業界で働く期間を決めていたわけではありません。ただ、看護師の免許を取ったからには10年先、20年先も続ける仕事として、また看護師に戻るのではないかと思っていました。2年働いてみて、アルバイトのときとは違う充実感があり、楽しんで働けたという実感もありました。

一方で、そろそろ病院に戻らないと、いざ戻ろうとしたときにブランクが大きすぎると思い、総合病院へ戻ることを決めました。美容が好きだったので美容の道も考えましたが、医療の対象となるのは老年期の方が多い中、産婦人科の経験しかないままクリニックに移るのは、看護師としての知識やキャリアの面で不安でした。

次は老年期など産婦人科以外の科を経験したいと考え、2014年に再び総合病院に入職しました。ところが、配属先は希望していなかった循環器・心臓血管外科でした。

相良萌

配属されたときは、結構絶望的でした

看護師の免許があっても、配属される科によって知識は偏ります。産婦人科・乳腺外科からいきなり循環器・心臓血管外科に移り、本当に大変で、もう続けられないかもと思いました。ただ、なんとか3年間を乗り切り、続けるうちに楽しくもなってきました。今となっては、経験できてよかったと思っています。

美容医療の道へ進んだのはなぜですか?

相良萌

自信がついたので、やりたかった美容に関わろうと思いました

循環器・心臓血管外科で3年間働いたことで、当時不安だった看護師としての知識にも、ある程度自信がつきました。美容クリニックは、アパレルのあと、総合病院に戻る前にも一度行きたいと考えていた場所です。自分のやりたい分野にまた関わろうと決め、2017年から美容クリニックに勤務しました。

選んだのは大手の美容クリニックです。転職エージェントから、初めて美容を経験するなら大手のほうが教育体制がしっかりしているとすすめられ、確かにと納得しました。大手ではスタッフの技術指導やチーフ業務、スタッフマネジメントも経験しています。

当時は東京ではなく地方にいて、とても忙しかったです。地方はクリニックの選択肢があまり多くなく、今のように手術やニキビなど悩みごとにクリニックを選ぶ専門性よりも、さまざまな悩みを持つ方が一気に集まっていました。

2021年には、以前勤めていたクリニックの先生が開業されることになり、一緒について行って都内の美容クリニックの立ち上げに参画しました。主任として、開院準備から現場運営、スタッフマネジメントまでを担当しました。今までに美容クリニック3院の立ち上げを経験しています。

今の活動を始めたきっかけを教えてください

2023年頃からはフリーランスとして、さまざまなクリニックに関わるようになりました。保険診療を中心とするクリニックで自費診療メニューの導入や現場への落とし込みを経験したあと、クリニックの開業支援にも携わっています。

相良萌

経験を生かせる何かって何だろうって、考え続けていました

さまざまな病院やクリニックを見てきた中で、保険だけ、自費だけではなく、クリニック側と患者さま側のどちらにも、もっと選択肢が広がっていいのではないかと考えるようになりました。自分には何ができるのかを、常々考えていました。

自費診療の仕事で関わりがあったのが、株式会社シフトメディカル代表の髙山さんです。普段から相談をしたり、美容医療業界について話したりする中で、シフトメディカルが進めている取り組みについても聞きました。とても楽しそうだと感じたうえに、自分にできることにすごく近いと思い、2026年9月に参画しました。タイミングもよかったと思います。

シフトメディカルでは、保険診療を中心とするクリニックが、自費診療という新しい選択肢を取り入れるためのサポートに携わっています。例えば、保険診療中心のクリニック向けの美容外来導入支援サービス、お試し美容外来などを通じて、クリニックが実際に美容医療を体験し、患者さまへの提供方法やスタッフの動き、院内オペレーションをイメージできる機会をつくっています。クリニックへの取材や情報発信も、活動の1つです。

自費診療の導入支援で大切にしていることは?

相良萌

美容では、患者さまが自分で治療を選ぶ場面をよく見てきました

美容クリニックでは、患者さまが自分なりの希望を持ち、自分に合った治療を選んでいく場面をよく見てきました。一方、保険診療では病院が主体となって治療を決め、患者さまは従うのが一般的です。医療費も、提供した医療行為の点数によって決まります。

院長先生の中には、保険だけでは経営的に厳しいと考え、自費メニューを検討し始める方も多くいます。ただ実際には、何から始めればいいかわからない、スタッフにどう説明すればいいかわからない、導入後の運用がイメージできないといった声を聞くこともありました。

相良萌

メニューを提供するだけじゃなく、周りも全部サポートしたい

自費診療の導入は、単に売り上げを増やすだけではありません。売り上げにつながるまでの導入や現場の指導など、全てを包括的に考える必要があると気付きました。だからこそ、自費メニューに付随するさまざまな部分のサポートを大切にしたいと考えています。

また、「自費診療を導入しましょう」と一方的にすすめるのではなく、クリニックにとって本当に必要なのか、患者さまにとってどんな選択肢になり得るのかを一緒に考えることも大切にしています。全てのクリニックが自費診療を導入する必要があるとは考えていません。

活動の原動力と目指す未来を教えてください

相良萌

やってみたいを、まずやってみようかなに変えたい

さまざまな現場を見る中で、患者さまのためにもっとできることがあるかもしれないと思っている医療者は、たくさんいると感じています。ただ実際は、毎日の業務に追われて考える余裕がなく、新しいことに挑戦する時間的・精神的なリソースもないことが多いように見えました。

だから、やってみたいと思ったり、どうしたらやれるかなとなんとなく考えたりしていることを、まずやってみようかなに変えられたらいいなと思っています。実際に医療者が変わっていく姿を見られることが、これからの自分のモチベーションにつながっていくと思います。行動に移すと、漠然としていた課題がもっと具体的になりますから。

相良萌

医療の選択肢が広がった社会をつくれたら

良くも悪くも、ぱっくり分かれていた自費と保険の関係は、今やグラデーションのようになっていると思います。ただ、変化をキャッチできる人は本当に少数です。医療における選択肢をキャッチできる人をもっと増やし、選択肢が広がった社会をつくれたらと考えています。

広がってきたとはいえ、まだ壁はありますし、やろうかなと思っていても何からやればいいかわからない人はたくさんいると思います。まずは医療者がやってみようと考え、患者さまに還元されて選択肢が広がる循環をつくっていけたらいいなと思っています。

今は個人というより、シフトメディカルを通しての活動に力を入れたいと考えています。さまざまなクリニックの考え方や、自分が知らない思いを持つ医療者に出会う機会も増えると思います。たくさんの話を聞く中で、漠然と考えてきた自分にできることを、活動を通して具体的にしていきたいです。

最後に、読者へメッセージをお願いします

相良萌

自分が受ける医療は、自分で決めていけばいいと思います

医療は、今提供しているものが全てではありません。これからどんどん発展して、今はそこまでメジャーではないものが、将来のスタンダードになることもあります。医療にはまだまだ広げられる選択肢がある、ということをお伝えしたいです。

保険診療と自費診療は、どちらか一方だけが正解ではなく、それぞれに良さがあります。どんな医療を受けるかは、患者さま自身が選んでいいと考えています。患者さまには、今受けている医療だけが全てではなく、自分に合った選択肢を知っていいと伝えたいです。

医療に関わる方には、自分たちのクリニックでもまだできることがあるかもしれないと感じてもらえたらうれしいです。私自身も保険診療と自費診療の間に立つ存在として、医療者と患者さまの双方に、新しい選択肢に気付くきっかけを届けていきたいと思っています。

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本記事は一般的な情報提供を目的とし、診断・治療その他の医療行為に代わるものではありません。症状や治療については医師等にご相談ください。取材対象者の見解は取材時点のものであり、すべての方に当てはまるものではありません。

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