
独立して失敗する人は、能力が足りなかったわけではないことがほとんどです。つまずく場所には型があり、しかもその多くは辞める前に手を打てます。医療職が独立でつまずく7つのパターンと、それぞれの回避の仕方を整理します。
- つまずく場所には型がある。能力の問題ではないことがほとんど
- 7つのうち5つは、辞める前に手を打てる
- いちばん多いのは「辞めたい」が理由で「やりたい」が無いまま出ること
- 戻れる関係を自分で切らない。医療職は資格があるので戻れるが、辞め方は選べる
独立してうまくいかなかった人の話を聞くと、能力が足りなかったという話はほとんど出てきません。出てくるのは、もっと手前の話です。
準備の順番を間違えた。数字の見方が会社員のままだった。相談する相手を選び間違えた。
そしてその多くは、辞める前に気づけたことです。7つ挙げます。うち5つは、まだ勤めているうちに手を打てます。
出る前につまずく(1〜3)
【1】「辞めたい」が理由で、「やりたい」が無い
いちばん多い形です。いまの職場から離れたい気持ちは本物でも、それは「出る理由」であって「続ける理由」にはなりません。
独立してしばらくすると、辞めたかった環境は消えます。そこで残るのが「何をやりたかったのか」で、それが無いと次の一歩が決まらない。
見分け方: 「独立して何をしますか」に3分話せるかどうかです。話せないなら、まだ出るタイミングではありません。
【2】戻れる関係を自分で切ってしまう
医療職は資格があるので、臨床に戻ること自体はできます。ただし「どこに戻れるか」は、辞め方で変わります。
引き継ぎを雑にした、不満を言って出た、連絡を絶った——そうやって切れた関係は、独立して2年目に効いてきます。仕事の依頼も、相談相手も、多くは前職の周りから来るからです。
【3】資格でできる範囲を確認していない
自費のサービス、施術、指導、相談——資格でできることの線引きは、職種ごとに違います。
始めてから「それはできない」と分かるより、勤めているうちに職能団体や自治体の窓口に確認しておくほうが安全です。詳しくは職種ごとの記事にありますが、確認する先はどれも同じです。
数字でつまずく(4〜6)
【4】手取りの感覚が会社員のまま
月30万の売上は、月30万の給与とは違います。
会社員のときは、社会保険料の半分を勤務先が払っていました。独立するとその分も自分持ちになり、国民健康保険と国民年金に切り替わります。さらに所得税と住民税は、あとからまとめて来ます。
売上から2〜3割は残しておく、という感覚を先に作っておかないと、納付の時期に手元が足りなくなります。
【5】収入を月単位で見て一喜一憂する
フリーランスの収入は月ごとに揺れます。今月が少なかったから失敗、来月が多かったから成功——そうやって毎月判断していると、判断が早すぎて何も積み上がりません。
最低でも3ヶ月、できれば半年の平均で見てください。月単位で見る癖は、給与という「毎月同じ額が入る仕組み」に慣れた副作用です。
【6】単価を上げられないまま件数だけ増やす
最初は単価が低くても仕方ありません。問題は、そのまま増やし続けることです。
件数を増やすと時間が埋まり、単価を上げる交渉をする余裕も、単価の高い仕事を探す余裕も無くなります。そして体力で埋めた分は、そのまま体力が落ちたときに消えます。
一定の件数に達したら、増やすのをやめて単価を見る時期を作ってください。
進んでからつまずく(7)
【7】相談相手が全員「応援してくれる人」になる
独立すると、周りが優しくなります。
家族も友人も、決めたことを応援してくれる。うまくいっていない話をすると心配されるので、だんだん言わなくなる。そうして半年もすると、率直に指摘してくれる人が周りにいなくなります。
応援は必要ですが、それだけだと判断が甘くなります。「その値段は安すぎる」「それは受けないほうがいい」と言う人が、少なくとも1人は要ります。
前職の同僚、同業の先輩、同じ時期に独立した人——職場の外に関係を作っておく価値は、ここで効きます。
# | つまずき | いつ手を打てるか |
|---|---|---|
1 | 「やりたい」が無い | 辞める前 |
2 | 戻れる関係を切る | 辞めるとき |
3 | できる範囲を確認していない | 辞める前 |
4 | 手取りの感覚が会社員のまま | 辞める前 |
5 | 月単位で一喜一憂する | 出たあと |
6 | 単価を上げず件数を増やす | 出たあと |
7 | 相談相手が応援だけになる | 辞める前から作れる |
5つは辞める前に手を打てます。
7つの整理と、打てる手
辞める前にやる4つのこと
- 「何をやりたいか」を3分話せるようにする書き出してから、人に話してみてください。話しているうちに詰まる箇所が、まだ決まっていないところです。
- 資格でできる範囲を窓口に確認する職能団体、自治体の担当課、所属先。始めてから聞くより、勤めているうちのほうが聞きやすい。
- 手取りの計算をしてみる想定の売上から、国民健康保険・国民年金・所得税・住民税を引いてみる。数字を見ると、必要な売上が変わることがあります。
- 率直に言ってくれる人を1人見つける応援してくれる人は自然に増えます。指摘してくれる人は、意識して作らないと残りません。
SUMMARY
- つまずく場所には型がある。7つのうち5つは辞める前に手を打てる
- いちばん多いのは「辞めたい」が理由で「やりたい」が無いまま出ること。3分話せるかで見分ける
- 数字の3つ(手取り・月単位・単価)は、給与に慣れた感覚の副作用。先に切り替えておく
- 率直に言ってくれる人を1人作る。応援は自然に増えるが、指摘は意識しないと残らない
よくある質問
どのくらい貯金があれば独立できますか?
独立してから戻ることはできますか?
副業から始めるべきですか?
何から準備すればいいですか?
開業届はいつ出せばいいですか?
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務・法務・医療に関する助言ではありません。制度や手続きは改正されることがあります。最新の情報は各所管窓口でご確認ください。
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