
薬剤師の副業は「資格をそのまま使う」「経験を言語化して使う」「医療の外に出る」の3方向に分かれます。ただし管理薬剤師は、法令上ほかの場所で薬事の実務に就けません。10の選択肢と、始める前に確認することを整理します。
- 薬剤師の副業は「資格をそのまま使う」「経験を言語化して使う」「医療の外に出る」の3方向
- 管理薬剤師は、都道府県知事の許可がないとほかの場所で薬事の実務に就けない(薬機法)
- 就業規則より先に、自分が管理薬剤師かどうかを確認する
- 公立病院・保健所に勤める場合は、地方公務員として制限が別枠になる
薬剤師の副業には、ほかの医療職には無い前提が1つあります。管理薬剤師は、法令上、ほかの場所で薬事に関する実務に就くことができません。
まずそこを確認したうえで、10の選択肢を3つのグループに分けて紹介します。上から順に、いまの資格・経験をそのまま使えるものから、医療の外に出るものへ並んでいます。
資格をそのまま使う副業(1〜4)
いまの経験がそのまま値段になるグループです。始めやすく、時間あたりの単価も安定しています。一方で、本業と同じ働き方なので体力の消耗は変わりません。
【1】調剤薬局のスポット勤務
1日単位で薬局に入ります。人員が薄くなる日や、繁忙期に募集が出ることが多い形です。雇用契約になるので給与所得です。
【2】ドラッグストアのOTC相談・カウンター業務
一般用医薬品の相談対応や、要指導医薬品の販売を担当します。土日や夕方以降の募集が比較的多い分野です。
【3】在宅訪問への同行
在宅患者訪問薬剤管理指導に同行する形です。訪問先の都合で日程が決まるため、平日の日中が中心になります。
【4】学校薬剤師・イベントの薬事対応
学校環境衛生の検査や、イベント救護での医薬品管理など。単発で、年間の予定が決まっているものが多いのが特徴です。
経験を言語化して使う副業(5〜8)
薬の知識を、調剤室の外で使うグループです。時間の融通が利き、在宅でできるものが多い。ただし「経験を言葉にする」という別のスキルが要ります。
この4つは、医薬品の効能効果に触れる場面が出ます。表現の規制については後述します。
【5】医療・健康系メディアの記事執筆・監修
薬や健康をテーマにした記事を書くか、書かれた記事の内容を確認します。「監修」は資格を持っていることそのものが価値になる仕事です。
【6】薬学生向けの講師・国家試験対策
薬学部の受験対策、国家試験対策、実務実習のフォローなど。自分が通った道をそのまま教えられるのが強みです。
【7】医療者向けアンケート・インタビュー協力
製薬会社や医療機器メーカーが現場の声を集めるために実施します。単発で、拘束時間が短いのが特徴です。
【8】セミナー登壇・研修講師
薬剤師向け研修、企業の健康セミナー、介護事業所の職員研修など。実績が要るぶん、始めるまでに時間がかかります。
医療の外に出る副業(9〜10)
資格に依存しない収入源を作るグループです。立ち上がりに時間がかかりますが、働く時間と収入が比例しなくなる可能性があります。
【9】Webライティング
薬の分野に限らず書きます。医療の知識があると、健康・美容・介護の分野で単価が上がりやすい傾向があります。
【10】SNS運用・コンテンツ制作
自分で発信する場合と、企業のアカウントを預かる場合があります。発信の実績がそのまま次の仕事につながる構造です。
始めやすさ | 時間の融通 | 積み上がるか | |
|---|---|---|---|
調剤薬局のスポット | ◎ | ○(日単位で選べる) | △ |
OTC相談・カウンター | ◎ | ○(土日・夕方) | △ |
在宅訪問への同行 | △ | ×(平日日中) | ○ |
学校薬剤師・イベント | △ | △(年間で固定) | △ |
記事執筆・監修 | △ | ◎(在宅) | ◎ |
講師・国試対策 | ○ | ○ | ○ |
アンケート協力 | ◎ | ◎ | × |
セミナー登壇 | × | △ | ◎ |
Webライティング | △ | ◎(在宅) | ◎ |
SNS運用・制作 | △ | ◎ | ◎ |
※ 報酬は募集内容や実績によって大きく異なるため、この表には掲載していません。
10選の比較
自分に合う副業の選び方
- まず、自分が管理薬剤師かどうか該当するなら、1〜4のような薬事の実務は都道府県知事の許可が要ります。5〜10であれば、この制限の外で考えられます。
- 増やしたいのは収入か、経験か収入なら「資格をそのまま使う」が最短です。経験なら「経験を言語化して使う」から入ると、本業にも返ってきます。
- 使える時間は休日か、平日の日中か在宅訪問への同行や学校薬剤師は平日の日中が中心です。休日中心ならスポット勤務やOTCカウンターが合います。
- 3年後もその仕事を続けたいかスポット勤務は今月の収入を増やしますが、積み上がりません。積み上げたいなら、時間がかかっても言語化する側か、外に出る仕事を選ぶことになります。
始める前に確認する4つのこと
副業を選ぶ前に、確認する順番があります。ここを飛ばすと、始めてから戻れなくなります。薬剤師の場合、就業規則より先に確認することが1つあります。
- 自分が管理薬剤師かどうかを確認する該当する場合、ほかの場所での薬事の実務には都道府県知事の許可が要ります(医薬品医療機器等法 第7条)
- 勤務先の就業規則を読む禁止/許可制/届出制/規定なし のどれか。詳しくは「医療職の副業は就業規則違反になる?」へ
- 勤務先の種別を確認する公立病院・保健所などは地方公務員として制限が別枠。詳しくは「公務員は副業できる?」へ
- 確定申告が必要になる金額を知る給与以外の所得が年20万円を超えるかどうか。詳しくは「副業の確定申告ガイド」へ
- 勤務先に知られる仕組みを理解する住民税の通知経路。詳しくは「副業はバレる?」へ
SUMMARY
- 薬剤師には、ほかの医療職に無い前提がある。管理薬剤師は都道府県知事の許可なしにほかの場所で薬事の実務に就けない
- 10個は「資格をそのまま使う/経験を言語化する/医療の外」の3方向に分かれる。増やしたいのが収入か経験かで方向が決まる
- 医薬品の効能効果に触れる発信は、薬機法の広告規制の対象になることがある。書く・話す仕事を選ぶときは表現に注意する
よくある質問
管理薬剤師でも副業はできますか?
記事を書くときに、薬の名前を出してもよいですか?
未経験でも在宅の副業はできますか?
本業が忙しくても続けられますか?
複数の職場で働くと社会保険はどうなりますか?
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第7条
- 厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」
- 厚生労働省「モデル就業規則」
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務・法務・医療に関する助言ではありません。制度や手続きは改正されることがあります。最新の情報は各所管窓口でご確認ください。
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