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開業届の書き方と出し方|医療職が独立するときの最初の手続き

# 独立・開業
2026.8.13 公開

開業届は、税務署に「事業を始めました」と伝える1枚の書類です。手数料はかからず、書く欄も多くありません。ただし医療職の場合、これとは別に医療法の手続きが要る場合があります。書き方の手順と、一緒に出しておく書類、そして混同しやすい2つの手続きの違いを整理します。

目次
  1. 開業届とは何か
  2. 一緒に出すか迷う書類「青色申告承認申請書」
  3. 医療職が混同しやすい、2つの手続きの違い
  4. よくある質問
先に結論
  • 開業届は税務署に出す1枚の書類。手数料はかからず、書く欄も多くない
  • 提出期限は事業を始めた日から1か月以内
  • 青色申告承認申請書を一緒に出すかどうかで、後の税金が変わる
  • 医療機関を開く場合は、これとは別に医療法の手続きが要る(まったく別の話)

「開業届を出す」と聞くと大きな手続きに思えますが、実際に出すのは1枚の書類です。税務署の窓口でも、郵送でも、e-Taxでも出せます。手数料もかかりません。

ただし、医療職の場合に混同しやすい点が1つあります。開業届は税金の手続きで、診療所や訪問看護ステーションを開くための手続きとは別物です。順に整理します。

開業届とは何か

正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」といいます。個人が事業を始めたことを、税務署に知らせるための書類です。

出すことで何かの許可が下りるわけではありません。「事業として収入を得る人がここにいます」と税務署が把握するための届出です。

出さなくても罰則の定めはありませんが、青色申告を選ぶには開業届が前提になります。実務上は、事業を始めるならセットで出すものと考えて差し支えありません。

提出までの4ステップ

  1. 用紙を手に入れる
    国税庁のサイトからPDFを印刷するか、税務署の窓口でもらえます。e-Taxを使う場合は画面上で入力します。
  2. 納税地を確認する
    原則は住所地(住んでいる場所)です。事業所を別に構える場合は、そちらを納税地にすることもできます。提出先はこの納税地を所轄する税務署になります。
  3. 必要な欄を埋める
    書く欄は下の表のとおりです。屋号は空欄でも構いません。
  4. 提出する
    窓口・郵送・e-Taxのいずれかで。控えを必ず手元に残してください。屋号の銀行口座を作るときや、融資を受けるときに求められます。

何を書くか

納税地

原則は住所地。事業所を納税地にすることもできる

氏名・生年月日・個人番号

本人のもの

職業

実態に合う言葉で。資格名でも、行う事業の内容でもよい

屋号

事業に使う名前。空欄でもよい

届出の区分

新たに始める場合は「開業」

所得の種類

事業所得・不動産所得・山林所得から選ぶ

開業・廃業等日

事業を始めた日。ここから1か月が提出期限

事業の概要

何をするかを具体的に。1〜2行で足りる

給与等の支払の状況

人を雇う予定がなければ空欄でよい

書く欄と、何を書くか

ご注意ください副業として開業届を出すと、雇用保険の基本手当(失業給付)を受けられなくなる場合があります。退職を考えている段階では、出す時期に注意してください。また、開業届を出したからといって、その収入が自動的に事業所得になるわけではありません。事業所得と認められるかどうかは、規模・継続性・営利性などの実態で判断されます。副業の規模によっては雑所得として扱われることがあります。

一緒に出すか迷う書類「青色申告承認申請書」

開業届とセットで語られるのが、青色申告承認申請書です。これを出すと、確定申告のときに青色申告を選べるようになります。

青色申告には、特別控除、赤字を翌年以降に繰り越せる制度、家族に払う給与を経費にできる制度などがあります。そのかわり、帳簿を複式簿記でつけるなど、記帳の要件があります。

提出の期限は開業届と違います。原則はその年の3月15日までですが、1月16日以後に開業した場合は開業日から2か月以内です。開業届と同時に出しておくのがいちばん確実です。

開業のときに一緒に検討するもの

  • 青色申告承認申請書期限が開業届と違う。同時に出すのが確実
  • 健康保険をどうするか勤務先を辞める場合は、任意継続・国民健康保険・家族の扶養から選ぶ。副業として続ける場合は勤務先の社会保険のまま
  • 年金勤務先を辞める場合は国民年金への切り替えが必要
  • 屋号の銀行口座開業届の控えを求められることが多い
  • 事業用の記録を分ける収入と経費の記録を、生活費と混ぜないところから始める

医療職が混同しやすい、2つの手続きの違い

ここがこの記事でいちばん大事なところです。

開業届は税金の手続きです。診療所、歯科診療所、訪問看護ステーション、施術所などを開く場合は、これとは別に、医療法や関係する法令にもとづく手続きが必要になります。届出で足りるものと、事前の許可が要るものがあり、施設の種類によって変わります。

窓口も別です。開業届は税務署ですが、こちらは保健所や都道府県の担当課になります。先に必要なのは、多くの場合こちらのほうです。

自分が開こうとしているものにどの手続きが要るかは、開設予定地の保健所か、都道府県の担当課に確認してください。

納税地
税務上の届出や申告を行う場所のこと。個人事業では原則として住所地(住んでいる場所)ですが、事業所を別に構える場合は、その所在地を納税地にすることもできます。どこを納税地にするかで、提出先の税務署が決まります。
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SUMMARY

この記事の持ち帰り
  1. 開業届は税務署に出す1枚の書類。手数料なし・期限は事業開始から1か月以内
  2. 青色申告承認申請書は期限が別。開業届と同時に出すのがいちばん確実
  3. 医療機関や施術所を開く場合、開業届とは別に医療法などの手続きが要る。窓口も保健所・都道府県で別
  4. 副業として出す場合、失業給付との関係と、事業所得になるかどうかに注意する

よくある質問

開業届を出さないとどうなりますか?
提出しなかったこと自体に対する罰則の定めはありません。ただし青色申告を選ぶには開業届が前提になるため、事業として続けるなら出しておくほうが実務上は有利です。
副業でも開業届は出せますか?
出せます。ただし出すことで雇用保険の基本手当(失業給付)を受けられなくなる場合があり、また開業届を出せば自動的に事業所得になるわけでもありません。規模や継続性などの実態で判断されます。
屋号は決めないといけませんか?
空欄でも提出できます。あとから決めることも、変更することもできます。屋号の銀行口座を作りたい場合は、その時点で必要になります。
訪問看護ステーションを開く場合も、開業届だけでよいですか?
いいえ。開業届は税務署への届出で、訪問看護ステーションの開設には別の手続きが必要です。窓口も都道府県などになります。開設予定地の担当課にご確認ください。
開業日はいつにすればよいですか?
事業を始めた日を書きます。最初の売上が立った日、最初の契約を結んだ日など、判断の起点は事業の形によって変わります。迷う場合は所轄の税務署に確認してください。
参考にした情報
  1. 国税庁「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」
  2. 国税庁「所得税の青色申告承認申請手続」
  3. 国税庁「青色申告制度」

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務・法務・医療に関する助言ではありません。制度や手続きは改正されることがあります。最新の情報は各所管窓口でご確認ください。

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