女性の一生をサポートし、幸せになる女性を増やしたい【濱野景子 / 助産師】

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濱野景子(助産師)

助産師として総合病院やクリニック、助産院に18年間勤務。現在は独立して出張助産師・公認心理師として活動中。ママに寄り添い一緒に子育てをサポートするサロン「ベビーリヒ」を開業し、産後の母子をサポートしている。

記事の見どころ
  • 赤ちゃんが好き!最初から助産師志望だった。
  • 自身の出産の経験から、産後ケアの重要性を再確認した。
  • 全ての女性を幸せにしたい。活動に込められた熱い想いとは?

助産師を目指したきっかけを教えて下さい

濱野 景子

中学生の時にテレビ番組で助産師を知ったことがきっかけです。

小さい頃から赤ちゃんが好きで、最初から看護師ではなく助産師志望でした。

子どもの頃から赤ちゃんが好きだったものの、助産師という仕事はまだ知らず、漠然と子どもに関わる仕事がしたいと考えていました。

中学生のとき、ドキュメンタリー番組で助産師を知り、直感で「これだ!」と思ったんです。高校生になって進路を選ぶ時も意志は変わりませんでした。

看護学生の生活は大変でしたね。勉強や実習が忙しくてやめようかと悩んだこともありました。友人が遊んでいるときに自分は勉強三昧だったので、遊びたい盛りの年頃にはつらかったです。迷いつつもがんばれたのは、赤ちゃんや助産師への強い想いがあったからでした。

看護学校を卒業した後は、1年間婦人科で看護師として働きながら、助産師の学校を受験しました。助産師になるには1年間で10例のお産を取らなければいけないので、深夜でも呼び出されることがあり身体的にもきついと感じることはありましたが、濃い1年間を過ごすことができたと思っています。

実際に助産師として働いてみていかがでしたか?

濱野 景子

やりがいのある仕事だと実感しました。

誕生の瞬間に携われる仕事なので、やりがいがありました。

その一方で、中絶や流産、死産といった悲しい出産も多々あります。悲しい出産をしている隣の部屋では普通に出産が行なわれていることもあり、現場のギャップが心理的にきつかったです。

流産や死産は助産師にとってもつらいお産ですが、正常なお産でも悲しいお産でも、同じ命と考えて、お母さんと赤ちゃんに寄り添うようにしていました。

流産を経験した方から「あの時に救われた」と言ってもらえたときは、私自身も救われました。私自身も出産のときに、助産師に寄り添ってもらえて頑張れたんですよね。

現在の活動内容を教えてください

濱野 景子

出張助産師として、ママに寄り添い子育てをサポートしています。

現在は、出張助産師として地域で活動しています。母乳ケアや産後ケア、赤ちゃんの発達相談、離乳食相談、ママの身体のケアなど、さまざまなメニューを用意しており、対面はもちろんオンラインでも対応しています。

地域とも連携していて、神奈川県平塚市の産後ケア事業の対象になっているんです。産後ケア事業とは、産後の体調が悪かったり、育児や体調などの不安があるのにサポートが得られなかったりするママたちが、助産師によるケアを受けて体調の回復や育児の不安を解消するための事業です。

産後に申請する必要があるため、ハードルが高いと感じる方も多いかもしれませんが、産後ケアを利用すると必要なサポートやアドバイスが受けられます。出産後は頻繁な授乳が必要で、心身ともに負担がかかりやすい時期です。自分だけで無理をせず産後ケアを申請して、少しでも穏やかな気持ちで育児できるママが増えてほしいです。

また、公認心理師として、オンラインカウンセリングも行っています。母乳や授乳相談に関することや、 赤ちゃんの発達相談、気持ちがつらくなった時などにカウンセリングを行い「お話しできて安心できました」と好評をいただいています。

現在の活動をはじめたきっかけは何ですか?

濱野 景子

自身の妊娠・出産や育児の経験から、自宅でのサポートが必要だと実感したことがきっかけです。

初めての出産後は、夜泣きやおむつ替え、授乳に振り回されて、生後2ヵ月は本当に大変でしたね。上手く家族に頼れずひとりで抱え込み、体も心もボロボロになってしまったんです。

助産師としての知識や経験がある私ですらこのような状態だったので、新人ママたちはもっと分からないんじゃないかなと思いました。赤ちゃんが身近にいなかった方にとっては、新生児は未知なる生き物ですよね。自分の子育てを通して、新生児の育児にはサポートが必要だと実感しました。

また、産後うつが増加している状況もあり、出産後の自宅での母乳や新生児育児、生活リズムのフォローが必要だなと長年思っていたんです。

働き方にも悩んでいるタイミングだったこともあり個人でのサポートをやっていきたい想いが大きくなりました。そして、引っ越しを機に退職し、地域での開業を決意しました。

活動に込められた想いを教えて下さい

濱野 景子

女性の一生をサポートしたいという想いです。

妊娠・出産は女性の人生の一大イベントですが、そこで自分を犠牲にせず、楽しく生きてほしいと思っています。自分を犠牲にせず楽しく生きるには、心の軸が大切です。女性が心の軸をつくることを応援したい想いから、現在は公認心理師としてメンタルコーチングの長期講座をオンラインで行っています。

自分らしく幸せに生きるためにはメンタルを整えることが重要だと、自分の経験から実感しました。特に家庭を持ち、子育てを始めたママの心の軸はとても大切です。息抜きしながら楽しんでもいいのに、育児に一生懸命すぎて子どもの可愛い瞬間を感じられなくなったら、もったいないですよね。心の余裕をつくるためにも、育児の知識や考え方をお伝えすることに必要性を感じています。

最近は父親の産後うつも注目されはじめていて、実はママと同じくらいの割合でパパの産後うつが発生しているんです。ママのメンタルはパパや家族、なにより子どもの心の成長に大きな影響を与えます。

ママが笑顔でいることで、パパも子どもたちも明るく元気に過ごすことができるんです。メンタルコーチングを行い、1人でも多くのママが幸せになるようにサポートしていきたいと思って活動しています!

社会へどんな影響を与えたいですか?

濱野 景子

幸せになる女性を増やしたいです。

女性も男性も、産後うつになる人を減らしたいし、子育てをするのが楽しいと思える社会にしていきたいです。多様化している社会ですが、心を健康にすることで人生を楽しんで生きてほしいと思っています。

また、産後ケア事業を普及させることで、まずはママの心の余裕をつくり、多くの人が幸せになるきっかけにしていきたいです。

ママだけではなく、同じ女性として助産師の幸せにも貢献したいと思っています。助産師は素晴らしい仕事ですが、体力勝負の忙しい仕事でもあります。助産師としての新しい働き方も考えていきたいです。

起業するまでは自信がありませんでしたが「誰かの役に立つはず!」と信じて突き進んできました。もし一歩踏み出すことに迷っている方がいたら、何でもいいので踏みだしてみてほしいと思います。絶対にあなたを求めている人がいるはずです!

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