- ぺんすけさんが医師を目指したのは、尊敬する先生の言葉がきっかけだった
- お母さんが抱えている不安を少しでも解消したいという想いで活動されている
- ぺんすけさんの今後の目標は、児童精神科の課題に挑戦をしていくこと!?
医師の資格を取得するまでの経緯を教えてください

尊敬する高校の先生からの一言がきっかけでした。
もともと、「人の役に立てる仕事がしたい」という想いがありました。
私の父が医師だったため、自然と「医師」という職業が選択肢にあったと思います。ただ、当時は天邪鬼な性格で「父親が医師だからという理由で、医師になるのはダサいから嫌だ」と強がっていました。
また、他に向いている職業があるのではないかという思いもなかなか捨てきれず、医師を目指すという覚悟がなかなか決まらかったです。
そんな私の姿を見て声をかけてくれたのは、当時から尊敬している先生でした。先生は悩んでいる私に対して「ぜひ君のような人に医者になってほしい」と声をかけてくれたんです。なぜかその時、迷っていた心のつかえがとれて、とても腑に落ちた感覚がありました。
この言葉から自信を得て「やはり医師の道へ進もう」という決意が固まりました。現在の私があるのは、先生のおかげだと言っても過言ではないです。今でも本当に感謝しています。
現在行っている活動について教えてください!

Instagramで子どもの病気や症状について解説しています。
現在はInstagramを用いて、小児科医の目線で子どもの病気を分かりやすく解説するという発信をしています。SNS発信は、2023年に小児科医4年目となったタイミングでスタートしました。
私が発信で大切にしていることは「専門用語や難しい表現は使わない」「誰がみても理解できる」です。また、病院の外来ではなかなか伝えきれない内容を補足する場所という要素も大切にしています。
外来で診察をする中で、不安そうな親御さんをみると「もっと説明をしたほうがいいかな?」と思うことが多々ありました。ただ、外来診療は時間が限られており、伝えたい内容を伝えきれないことが多いんですよね。
しかし、SNSは時間の制約がないため、普段の診療では話せないような細かい知識も丁寧に解説することが可能です。たとえ、どんなに症状が軽い風邪だとしても、親御さんに分かっていてほしいことは山ほどあるんです。親御さんに伝えたい内容は、すべて簡単な言葉にまとめて投稿を作成しています。
そして、「小児科医ならではの目線」も大切にしているポイントの1つです。SNSにはたくさんの情報が転がっており、子どもの病気に関して発信されている方々も多くいます。しかし、医療関係者ではない方の発信も多く、中には根拠がない情報や誤った知識が拡散されている場面も多く見てきました。
だからこそ、小児科医という強みを存分に活かした発信を意識しています。子どもを持つ親御さんたちに「子どもの病気について正しい知識を持ってほしい」という想いで、現在も発信を継続中です。
現在の活動に至ったきっかけを教えてください!

外来では解消しきれない課題があったからです。
私は、小児科外来で子どもたちを診察する上で「少しでも親御さんの不安が少なくなるように」という気持ちで向き合ってきました。
しかし、限られた診察時間では、親御さんたちの不安を解消しきれないことも多かったです。ただの風邪でも説明すべきことは多いですが、すべての患者さんに一から説明するのは難しいなと感じていました。
外来では多くの患者様を診察するため、一人ひとりに割ける時間はどうしても限られてしまいます。その一方で、SNSによる発信であれば、じっくりと説明することが可能ではないかと気が付きました。
動画や画像であれば、時間を気にせずに説明することができ、必要なタイミングで何度でも視聴できるというメリットもあります。そして、SNSは子どもをもつ親御さんと直に繋がることができるため、意見交換を行うことができる点も大きなメリットです。
SNS発信を始めるに当たって、ほかの医師のアカウントも拝見しました。発信されている先生はご高名な方々が多く、最初は「自分なんかが発信してよいのか?」とためらっていました。
しかし、医師にとっては当たり前の知識でも、一般の方からすると知らないことばかりではないかと気がついたんです。また、専門用語を使わずに説明しているアカウントは見当たらなかったため、自分のアカウントではそこを追求しようと考えました。
私は、もともとスライド作成やプレゼンテーションが好きだったので、その強みが活かせるSNSを考えた結果、現在のようなInstagramでの発信に至りました。
小児科から精神科へ異動した理由を教えてください!

自分が本当にやりたいことが見えたからです。
私は医師の道へ進むことを決意した時点で、小児科医になろうと決めていました。実際に初期研修終了後は、小児科医として勤務を開始しました。
一般小児科医として勤務を続けていましたが、専門分野を何にするかずっと悩んでいたんです。また、すごいなと思う上級医がたくさんいたのですが、自分もそのようになれるだろうかという不安も感じていたと思います。
小児科医3年目になり「自分が本当にやりたいことはなんだろう」今後のキャリアを考える機会が増えていきました。
そして、自分自身と向き合い続ける中で、子どもの発達や精神領域に興味を抱いていた自分を思い出すことができたんです。これまで経験を積んだ小児科は離れて、精神科へ移動することを決意しました。
精神科での経験を積んでいった先では、これまでの小児科での経験も活かして、児童精神科の領域に挑戦していきたいと考えています。
また、instagramで得た発信力を活かして、児童精神科での診察を必要としている方に手を差し伸べられる存在でありたいです。発達障害(神経発達症)に対する誤った認識が広がっているという印象もあり、その課題解決にも取り組んでいきたいと思っています。
今後挑戦したいことについて教えてください!

神経発達症に対する世間のイメージを変えていきたいです。
今後は小児科医と精神科医の強みを活かして、様々な課題に挑戦していきたいと考えています。まずは発達障害(神経発達症)に対する正しい認識を伝え、当事者はもちろんのこと、当事者ではない方々にも理解が広まってほしいです。
児童精神科では医療を必要としている患者さんに対して、診察できる医師が不足しているという課題があります。1人の医師が診療できる枠には限りがあるため、診察は1年待ちという地域も発生しているんです。
当事者とご家族が大きな不安を抱えながら、1年間も診察を待ち続ける状況は何とかならないものかと考えていました。そこで、これまでに培ってきた発信力を活かすという選択肢が浮かんできました。
そのアイデアの1つとして「子どもやご家族の不安を解消できるコミュニティ」を考えています。コミュニティ内では、私からの一方的な発信だけでなく「当事者のご家族が交流して繋がる場」という要素を大切にしていきたいです。
また、当事者同士だからこそ理解できる悩みや痛みがあるはずだと思います。当事者の方々が気軽に情報交換できる場があれば、それだけで救われる人もたくさん出てくるはずです。
この想いを形にするためには、児童精神科に知見のあるコメディカルの方々の力が必要不可欠になります。もし、興味がある方がいれば声をかけてくださると嬉しいです。よろしくお願いします。
ぺんすけ(医師)
恩師の言葉から医師の道を志し、憧れの小児科へ。限られた診察時間でお母さんの不安を解消しきれなかった経験を機に、Instagramでの発信をスタート。お母さん目線での情報発信に加え、現在は児童精神科の課題解決に向けて準備を進めている。