「0歳から歯医者さんに通う」が当たり前の社会を目指して【和田京子 / 歯科衛生士】

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和田京子(歯科衛生士)

日本小児歯科学会認定衛生士や口育士の資格を持つ、小児歯科に特化した歯科衛生士。現在はフリーランスとして、ママ向けのオンラインセミナーやInstagramでの情報発信、歯科医院向けの小児歯科セミナーを開催している。

記事の見どころ
  • 小児歯科を目指したきっかけは、歯科医師からの一言だった。
  • ママ向けセミナーや歯科医院向けセミナー、さらにはインフルエンサー業まで!多岐にわたる活動内容に迫る!
  • 大切な我が子のお口を守ってほしい!活動を通して社会に与えたい影響とは?

歯科衛生士を目指したきっかけを教えてください

和田京子

歯科衛生士である母を間近で見てきたことがきっかけです。

家系に歯科業界の人が多く母も歯科衛生士だったのですが、いつも楽しそうに働いているのが印象的でした。歯科衛生士なら全国どこでも働けますし、スキルを身につけられることにも魅力を感じました。

専門学校に入ってみると、歯や口のことを学べば学ぶほど楽しく感じました。2年制の専門学校だったので、学ぶべきことがギュッと詰め込まれていて勉強が大変でした。実習も多く遊ぶ時間もなかったですが、同じ志を持った仲間に出会い、実習で現場の空気を知ることができたのは、とても貴重だったと思います。

卒業後の経歴を教えてください

和田京子

医科歯科総合クリニックや小児歯科専門のクリニックを経験し、2024年にフリーランスになりました。

専門学校卒業後は医科歯科総合クリニックに就職しました。歯科といっても、一般歯科や小児歯科、審美歯科、訪問歯科、口腔外科など、さまざまな科があるクリニックでした。全ての科を網羅していたので、私も1年目のときに全ての科を経験できました。また、産科や小児科、内科も併設されていたので、常に他職種・さまざまな科で連携しており、多職種連携の大切さも学びました。

転機が訪れたのは、小児歯科で母親教室を担当していたときです。歯科医師から小児歯科が向いていると言われました。子ども達への接し方に自信があったわけではなく、小児歯科に向いているとは思っていなかったので驚きでした。

先生の一言がきっかけで周りの先輩方が持っている資格を自分も取りたいと思うようになり、2012年に日本小児歯科学会認定衛生士の資格を取得しました。また、より小児歯科の知識を深めるために、資格取得から2年後には小児歯科専門のクリニックに転職し主任歯科衛生士も勤めました。

そんな中でコロナウイルスが流行し、Zoomが流行り出したタイミングでオンライン講座の依頼をいただき、歯科衛生士向けに講義をするようになりました。そこからセミナー講師を主軸に活動を始め、2023年には口育士の資格を取得し、2024年からはフリーランス歯科衛生士として活動しています。

現在の事業の内容を教えてください

和田京子

ママ向けの情報発信・セミナー講師や、歯科医院向けの小児歯科についてのセミナー講師を主軸に活動しています。

さまざまな活動をしていますが、大きく分けて「ママ向けの活動」と「歯科医院向けの活動」があります。

ママ向けには、Instagramでの情報発信と、オンラインセミナーの開催をしています。Instagramでは、スキマ時間に見られるような、ママに役に立つちょっとした情報を発信しています。

オンラインセミナーでは、歯磨きの仕方やお口ポカン(口を開けっ放しな状態)対策といった実践的な内容がメインです。「もっと早く知りたかった」「ボリュームがあり、満足した」という声をいただいていて、リピーターも増えてきました。
今後はママコミュニティをつくり、より寄り添ったサポートをしていきたいと考えています。

歯科医院向けには、小児歯科に関するオンラインセミナーを開催しています。
子どもの歯列矯正や口を育てることに注目が集まっているため、小児歯科に関心を持っている歯科医院は多いですが、小児に苦手意識を持っている歯科衛生士さんがたくさんいます。
スタッフ教育の一環として私のセミナーを取り入れていただき、少しでも多くの歯科衛生士さんが小児への苦手意識を払拭してもらえたら嬉しいです。

ママ向けセミナーや歯科医院向けセミナーの他に、歯科衛生士さんのためのトータルプロデュース講座も開催しています。「自分の知識をもっとSNSで発信したい」「フォロワーや閲覧数の増やし方がわからない」「講座を持ちたい」という歯科衛生士さんに向けた講座です。私がスクールで学んだノウハウや経験をお伝えしており、一緒に学ぶ仲間もできるので、心が折れにくい環境だと思います。

現在の事業を始めたきっかけを教えてください!

和田京子

自身の妊娠・出産を経て育児の大変さを実感し、家でも学べる環境をつくりたいと思ったからです。

身をもって妊娠・出産、子育てを経験すると、初めてのことが多い中で24時間子どもを守り育てなければならず、本当に大変だと感じたんです。歯科衛生士としての知識があっても、我が子を目の前にすると心配や不安が尽きませんでした。

そこで「ママたちの不安を1個でも減らしてあげたい」「ママたちの役に立ちたい」と思い、Instagramで情報発信を始めました。少しずつフォロワーを増やし、今ではママ向けオンラインセミナーも開催しています。

また、コロナ禍によるオンラインセミナーの流行がきっかけとなり、小児歯科に特化したい方々に声をかけてもらうことが増えてきました。母親学級を担当していて話すことには慣れていたので、今までの延長線のような形で始め、現在は小児歯科をもっと学びたいという歯科医院から依頼をいただいて講座をしています。

今後の展望を教えてください

和田京子

0歳から歯科医院へ通うことが当たり前の社会にしていきたいです。

実は歯が生える前からできることや、お家でも簡単に取り入れて実践できることはたくさんあります。しかし、0歳の子を歯科に連れてくる方は少ないのが現状です。

定期的に歯科へ行くことで生涯健康に過ごせますし、口が健康だと健康寿命も延びることがわかっています。0歳から歯科に通うメリットをママパパに理解していただいて、可愛い我が子を守っていってほしいです。社会的にも「0歳からの歯医者さん」を定着させていきたいですね。

今後は小児に関わる歯科衛生士向けのオンラインコミュニティをつくりたいと思っています。小児に関わる歯科衛生士が多くないからこそ、オンライン上で交流の場があれば、何かあったときに相談することもできますし、心の拠り所にもなるはずです。そして、オンラインコミュニティを通じて、小児歯科を盛り上げていきたいです!

ご自身の活動を通して社会に伝えたいことを教えてください

和田京子

子育てに奮闘するママの役に立ちたいですし、歯科医院以外でも歯科衛生士として活躍できることを伝えていきたいです!

私自身、妊娠・出産やコロナ禍を経て、働き方や働く環境を考えるようになりました。将来的には、フリーランスとして活動しながら臨床にも携わりたいと思っています。歯科医院での仕事はもちろん大事ですが、私のように家庭のこと・歯科医院での仕事・在宅でできる仕事、それぞれを自分に合ったバランスで組み合わせられることを知ってほしいです。

また、私は「小児歯科が向いている」と言われたことがきっかけで、自ら学び、自信がついて仕事が楽しくなりました。自分から積極的に学べば、いくらでも仕事を楽しくできると実感したので、今度は私がみなさんのきっかけになれたら嬉しいです。

もし新しい一歩を踏み出したくて悩んでいる方がいたら、とにかく前向きに、積極的に行動してみてください。失敗からは学ぶことしかありませんし、やってみなきゃわからないことがたくさんあります。「悩むことに時間を使うのではなく、行動して!」と伝えたいです。

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