- 働き始めて、女性には色々な障壁があることを知った!?
- 女性医師が夢を諦めたり、キャリアを調整せざるを得ない社会を変えたい!
- みんなで考えることで、既存の当たり前を変えていきたい!
医師になったきっかけについて教えてください

父が訪問診療医として、患者さんに寄り添う姿に憧れたからです。
私の父は、まだ在宅医療が主流ではない頃から訪問診療医として働いてきた医師です。そのご縁もあり、幼い頃から医療を身近に感じていました。また、父に付き添って患者さんのご自宅を訪問し、診療風景を見学する機会にも恵まれていたのです。
診療中に父が患者さんと楽しそうに談笑する姿を見て、医師という職業を介し、患者さんたちの人生に伴走できると知りました。それから私は医師になることを目指します。
中学生から高校2年では馬術競技に励んだり、高校2年生の秋から高校3年生の夏にかけてアメリカのフロリダ州に交換留学へ行ったりしました。日本に帰ってきてからは受験勉強で忙しい高校生活でしたが、医学部に滑り込むことができました。
在学中は創設して間もない部活のリーダーを務めたことが印象的な思い出ですね。最初は30人程度の部でしたが、瞬く間に130人規模になりました。最高の仲間や素敵な後輩とともに試行錯誤しながら運営したことは、今でも宝物のような思い出です。
それから実習や研修医など、数々の臨床現場を経験してきました。治療を介して患者さんの容態が改善し、その後の人生が続いていくことにやりがいを感じます。
親しくなった患者さんたちと、退院後に文通をすることもありました。私自身このようなことが大いに励まされる経験になりました。

私たち医師も一人の人間です。
ただ、色々な課題も見えてきたことも事実です。まず働き始めて、医師は思っている以上に長時間労働であることを学びました。「私たち医師も一人の人間です。」体が追い込まれ、気がつけば気持ちも落ち込み「もうやめたい。」と思う時期も経験しました。
このように、さまざまな挫折を経験し、保険診療の課題を現場で経験してきました。自分だからこそ、説得力を持って伝えられることがあると感じています。
現在の活動を行うきっかけについて教えてください

一人で活動するには限界がある。仲間を募りたいと思ったからです。
医師として働く中で、キャリアやライフプランに悩む女性医師が非常に多いことを知りました。もちろん私自身もそのうちのひとりです。
医療の現場はまだまだ固定観念が強く、個々の人生や選択が尊重されにくい風潮があります。尊敬する先輩たちが出産や、子育てをきっかけに、キャリアを諦める姿を目にしてきました。このように女性として働くうえで、さまざまな障壁があることを日々感じています。
その一方で、多くの女性が活躍する時代です。女性医師の割合も増え続けています。後に続く後輩たちには「もっと楽しく、もっと自由に」医師としてキャリアを積んでいって欲しいと心から願っているのです。
でも、ひとりで変えるには限界があります。旗を掲げるようなつもりで、SNSを始めました。そうすると、私が想像していた以上に反響があったのです。
私と同じように不安を抱えている方や、同じ夢をもっている方たちがいることを知ることができました。今後も女性医師や医療を支える女性たち、病院内に留まらず日本中の女性を勇気づけられるような発信を続けていきます。
発信活動に関する内容について教えてください

医師として勤務する傍ら、Instagramや音声配信を中心に発信中です。
2024年9月頃からInstagramを開始し「なんでもないありふれた日常」をテーマに発信中です。仕事から帰った後の過ごし方や、料理などをとりあげ「医師も普通の人間なんだ」と思ってもらえるような内容となっています。
また、気分が下がったときや辛いことがあったときの気持ちを立て直すルーティンを紹介しています。命を絶つ医師は、報道されないだけで決して少なくありません。私の投稿を見て、明日を迎えられる医師が少しでも増えたら嬉しいです。

ラジオ配信では、PODCASTとVoicyの2つで発信を始めました。
Podcastでは、さまざまな女性医師との対談をしています。一概に医師と言ってもさまざまな面白い人がいること、キャリアの描き方は十人十色だということをもっと世間に知ってほしいです。
また、Voicyでは仕事のことだけではなく、日常生活の小さな出来事を平日に配信しています。女性医師に限らず、同年代の働く女性を鼓舞できたらと思いますね。自宅に帰る途中などに聞いてもらい「また明日も頑張ろうかな」と思ってもらえたら嬉しいです。
今、挑戦していることについて教えてください

「変わらない医療業界」を変えたい。
私は学生の頃から「女性に関することで何かしたい、社会を良くしたい」などの想いを抱えていました。医師としての勤務やSNS活動を開始してから自分のやりたいことや周りが求めているニーズが明確化されてきた気がしています。
点と点だった想いが線としてつながり「今だ!」と思い立ち、株式会社MedMuseを起業しました。「つながる。支えあう。医療にやさしさと彩りを。」をコンセプトに女性医師の働き方や、生き方に寄り添い社会とつなぐ会社を目指しています。
女性医師の中には働き方について困っていたり、現状を変えたいと思っていたりする方もいます。しかし、医療業界はなかなか変わらないのが現状です。私は、女性医師たちが既存の「あたりまえ」に合わせてキャリアを諦めざるを得ない現実を変えたいと思っています。
そのためには、自分たちが今現在置かれている環境を変えることが大切だと思います。
「変化を受け入れる、柔軟な医療界」を作っていくことが私の目標です。
ライフステージが変化したから仕事を諦めるのではなく「もっと挑戦し、もっと選べる未来」をつくれるように活動しています。私が窓口となり、より多くの女性医師を助けていけたら嬉しいです。
今後は、女性医師を集めるイベントを開催したり、企業を巻き込んだりしていきたいと思います。興味のある方やがいれば、ぜひお声掛けください。
最後に読者に伝えたいことはありますか?

保険診療で、医療に愚直に向き合う医師たちが人々の健康を守っています。
私たちは、たくさんの時間と体力、精神力を費やして多くの人たちの命を守っています。それがやりがいに繋がりますし、人の人生に深く関わることができるすばらしい職業だとも感じています。
ただ、医師の使命感だけを頼りにしている現状は持続可能ではないと思います。やはり、私たちも人間なので、休まないと働けないのです。長時間労働が続くと辛いですし、「この生活をいつまで続ければいいのだろう」と考えてしまいます。
また、最近はSNSの普及により、煌びやかな美容業界に多くスポットライトがあたりがちです。SNSとの距離が近い中高生の目に触れるのが美容の世界ばかりなのは、情報が偏りすぎていると感じます。
日本を支えているのは保険診療で、医療に愚直に向き合う医師たちが人々の健康を守っているのです。私が顔を出して堂々とSNS発信をすることでこのような問題にも「切り込んでいけたら」と密かに思っています。

仲間と共に既存の「当たり前」を変えていきたいです。
頑張る人がきちんと評価され、報われるような世の中になって欲しいと切実に思います。
そして、医療界のジェンダーギャップ解消と医師のウェルビーイング向上にも貢献していきたいと思います。医師も一人の人間として大切にされる社会に変えていきたいです。
私は医師という仕事が好きです。今後、会社を本格的に動かしていきたいとは思いますが、同時に医師の仕事にも愚直に向き合い続けることで、会社の目的に繋げていきたいと考えています。
ただ、何度も言うように自分一人だけの力では何もできません。同じ想いの仲間とともに、医療の未来について考えていきたいです。みんなで既存の「当たり前」を変えていきたいですね。
私は運命は自分の手で動かすものだと考えています。「人生は一度きり!」です。できない理由を探すのではなく、どうやったらできるかを、今後も常に考えていきたいです。
Momo (医師)
医師として現場に立つなかで、キャリアやライフプランに悩む女性たちの声を多く耳にしてきた。選択肢を広げ、一人ひとりが自分のキャリアを誇り、自分らしい人生を歩めるようにしたいと思い活動している。現在は医師として勤務する傍ら、Instagramや音声配信を中心に発信し、マルチに活躍中。