- 戸塚さんが感じていた病院時代の違和感とは?
- 任先生とゼロイチ在宅クリニックとの出会い!?
- 安心して最期を迎える準備を整えるために
看護師を目指したきっかけを教えてください

ちょっとした興味が大きくなっていきました。
私は子どもの頃、活発な子だったのでよく保健室に通っていました。怪我をした時に保健室の先生が手当をしてくれる様子を目の当たりにしながら、人の身体を理解しケアすることへの関心が大きくなっていったことを覚えています。
中学生になると、生物や解剖学に強い興味を抱き、人体の仕組みや不思議さを知ることが楽しみになりました。また進路を考える段階では、両親がサラリーマンだったこともあり「手に職を」という教えから専門職の職業を意識しました。
その中で候補に上がった職業が、医師や看護師といった医療職です。医師になるには長い学びとコストが必要である一方で、看護師はより現実的で、私の人生設計にも合う選択肢だと感じました。
こうして、看護師・保健師としての道へ進むことを決めました。実習を重ね色々な体験をしていくなかで、感じたことがあります。
私が看護師・保健師として働くスキルとして、医療的な知識や技術・医療者の組織の理解や役割・コミュニケーション能力・地域で暮らす方々の生活についての理解・知識が不足していると感じました。
そのため、大学生時代にアルバイトをすることで、これらのスキルを身につけようと思い、行動を始めました。医療的な知識や組織理解に関しては大学と並行し看護助手を、コミュニケーションに関してはカフェの店員、地域の理解に関しては神社の巫女を選択し、実りある大学4年間の生活でした。
今振り返っても、この時に学んだ知識やスキル、人とのかかわり方は大切にしていますし、私の活動の原点です。看護師として働くための基礎を築く4年間は、自分にとって確かな成長の時間だったと感じています。
訪問看護に携わろうと思ったきっかけはありますか?

一人の患者さんに向き合う時間を大切にしたかったからです。
新卒で配属されたのは大学病院の救命センターでした。そこでは外傷、小児、高齢者、心筋梗塞や脳梗塞など、幅広い疾患や処置を経験しました。
救命の最前線で働く中で、短期間に技術や知識を習得できたことは大きな財産です。しかし同時に、処置や業務に追われる日々の中で、患者さんとじっくり向き合う時間があまりに少ないことに違和感を覚えました。
「もっと話を聞ければ、その人を深く理解し、より適切なケアができるのではないか」という思いが募っていったのです。そこで「病院の中だけを知る看護師にはなりたくない」と考えるようになり、訪問看護の世界に足を踏み入れました。
在宅では、患者さんが自宅で最期を迎える準備をサポートする場面も多く、病院とは全く異なる医療のあり方が求められます。医療と介護、多職種の連携が不可欠で、その調整役を担う重要性を強く実感しました。
病院では得られなかった「一人の患者さんと向き合い、その人生に寄り添う」看護の形を、訪問の現場で見出すことができました。それから、訪問看護ステーションの立ち上げや管理者という立場を経験し、今の私があります。
ゼロイチ在宅クリニックとの出会いについて教えてください

任先生の姿勢や想いに強く共感しました。
私は救急センターや訪問看護を経験し、ある違和感を感じていました。とくに救急センター時代では、入退院を繰り返す患者さんに対して「なぜこんなにも短い期間で入退院を繰り返してしまうのだろう」という疑問を抱いていたかと思います。
また、多くの管や医療機器につながれたまま最期を迎える患者さんやその家族を前に、私は何度も葛藤しました。そんな違和感と葛藤の中で「病院で最期を迎えることが、その人にとって本当に幸せなのか」と考えるようになりました。
そんな時に出会ったのが、任先生です。「疾患だけではなく、その患者さん自身やそれをとりまく家族や環境など生活そのものを診る」という任先生の姿勢に強く共感し、ゼロイチ在宅クリニックで働くことを決めました。
実際に働き始めてみると、救急や訪問看護で培った経験を活かしつつ、自分の意見が専門職として尊重される環境に強いやりがいを感じました。上下関係ではなく対等なチームとして、患者さんに最善を尽くす職場で働けることに、誇りを持っています。
またここには、スタッフ一人ひとりが高い判断力を持ち、連携のスピードと質に徹底してこだわる文化があります。患者さんやご家族に「待たされる不安」を感じさせないよう、迅速な対応を大切にする体制です。
素敵なチームと最高な環境で働けることに感謝して、これからもゼロイチ在宅クリニックを支えていきたいです。

ゼロイチ在宅クリニックへの想いを教えてください

自宅で最期を迎えるという選択を安心してできる環境をつくりたいです。
私が活動を続ける中で大切にしているのは「患者さんやご家族が、自宅で最期を迎えるという選択を安心してできる環境をつくること」です。在宅医療では、医師や看護師だけでなく、ケアマネジャーや介護職など地域の支援者との密接な連携が欠かせません。
その中で訪問診療は地域のリーダーシップをとり、他職種が抱える課題や期待を敏感に察知し、スムーズな連携を図る役割を担っています。だからこそ、ゼロイチ在宅クリニックが中心となって活動できるように、私もチームを支えていきたいです。
また、医師やクリニックスタッフとの関係においても上下関係に縛られず、専門職としての意見を尊重し合いながら一人ひとりに最適な医療を届けることが大切だと感じています。その面、ゼロイチ在宅クリニックは迅速かつ質の高い連携ができています。
患者さんが望む生き方と最期を実現するためのサポートをできるのがゼロイチ在宅クリニックです。そのチームの一員として活動できていることに、看護師としてのやりがいを感じています。

最後に読者に伝えたいことはありますか?

挑戦を続けた経験が今の自分のやりがいにつながっています。
看護師としてのキャリアは、決して一つの場所にとどまる必要はありません。病院、訪問看護、そして訪問診療といった異なる現場を経験することで、自分自身の可能性や強みを再発見できると私は実感しています。
もちろん、新しい挑戦には不安がつきものです。慣れ親しんだ職場を離れることは勇気が要りますし、未知の環境に飛び込むことは簡単ではありません。しかし、私は「同じ場所に留まることは安心かもしれないが、挑戦をしなければ成長にはつながらない」と強く思っています。
看護師という資格は大きな力であり、いつでも戻れる場所があるという安心感を私たちに与えてくれます。だからこそ、迷っているのであれば一歩を踏み出す価値があると思います。もし新しい挑戦が自分に合わなかったとしても、その経験は必ず成長や糧になりますし、また別の道を選ぶことも可能です。
その経験の中で、私は訪問診療を選択しました。在宅医療は、患者さんやご家族の人生に深く寄り添い、最期までその人らしい時間を支えるという、とてもやりがいのある分野です。
病院で感じる「忙しさに追われて十分に話を聞けないもどかしさ」とは違い、一人ひとりとじっくり向き合える環境があります。今では自分の違和感を信じ、私なりの看護観を大切にしてよかったと思います。
だからこそ皆さんも違和感を感じたら、どうかその気持ちを大切にして挑戦してみてください。その一歩は、あなた自身のキャリアを豊かにし、看護師としての視野を大きく広げてくれるはずです。
戸塚美晴(看護師)
救命救急センターや訪問看護管理職を経験。現在は「ゼロイチ在宅クリニック」で訪問診療の現場で患者様やご家族に寄り添っています。安心して自宅で過ごせる環境づくりを支え、最期までその人らしい日々が送れるようにサポートしています。