- 腰痛のリハビリを受けたことをきっかけに、理学療法士を目指した。
- 異業種への転職での失敗談。
- ギグワーク(在宅Webワーク)で社会問題を解決したい!
理学療法士を目指したきっかけを教えてください

高校の部活で腰痛を発症し、理学療法士によるリハビリを受けたことです。
僕の父親が医療法人の本部に勤めていて、小さい頃から「医療」という世界が身近にありました。なので、医療職に対する抵抗感は一切なく、むしろ「良い仕事なんだろうな」というイメージが自然と刷り込まれていました。
高校の部活で腰痛を発症し、理学療法士によるリハビリを受けた経験があります。当時、進路に迷っていたこともあり、理学療法士になることを決意しました。
星野リゾートのSNS発信をはじめたきっかけは?

コロナ禍での自宅待機と減給をきっかけに、家でできる副業をはじめました。
都内の総合病院に就職した1年後にコロナ禍になってしまって……。新人は家で待機するか、オペ室や医療事務のお手伝いを短期的にすることになり、給料も当たり前のように減りました。当時、東京で1人暮らしをしていたので、減給の影響は大きかったです。将来に不安を感じて家でできる副業を探しました。
学生時代から星野リゾートでの旅行が好きで、ブログで発信している方もよく見ていましたね。僕もいつかブログかYouTubeで発信したいと、うっすら思っていました。
コロナ禍をきっかけに、職場の同期が、彼が好きだった無印良品の発信をInstagramで始めてフォロワー10万人達成していたのです。

身近に発信している方の影響もあって、Instagramでの発信をはじめました。
星野リゾートの旅行記を載せると決めてから、毎日とにかく投稿をしながらPDCAを回していました。コロナ禍で旅行に行きたいニーズは高まっていて、発信をはじめた当時、旅行情報コレクターは世に多くいたと思います。旅行系の発信している方はたくさんいましたが、1つのホテルに特化して発信したことでポジションメイクできたと思っています。
アカウントが軌道にのり、半年で1万フォロワー達成することができました。自身で身につけたSNSスキルをもっと有効的に活用できるフィールドがあるのでは?と考え転職に踏み切りました。
異業種への転職で感じたことは?

需要と供給を考えて行動することの大事さ。
最初は「理学療法士じゃない仕事に就きたい」ことしか考えていなかったので、正直めちゃくちゃ落ちました(笑)
有名な会社かどうかも分からないまま、広告が出ていた条件が良いところに応募したら、エージェントから「紹介できないですね」と面と向かって断られましたね。
たくさんの企業を受けたけど全然受からなかったので、やっぱり理学療法士に戻ろうかなと思い、訪問リハの採用面接を受けました。そしたら、1社目で受かったのです。いつでも理学療法士の仕事に戻れるなと確信を持てたので、内定を断らせていただきました。
そこから改めて、企業や社会が必要としている人材は何かを分析しました。プロフィールをきっちりつくり込んで、SNS関連の会社に応募したら、4社からすぐに内定をもらえたのです。
需要と供給を考えて行動すれば、マッチングするのだと思います。半年で1万人のフォロワーを獲得したアカウントの実績は、大きな強みになりました。
今はどのような活動をされていますか?

企業のSNS運用代行とSNS運用代行講座を行っています。
自分のアカウントを運用しながら、企業のInstagrmを運用しています。企業の中には病院の採用に関わるアカウントも運用しており、発信内容が採用したいターゲット層とミスマッチがないように意識していますね。
企業は現在30社ほど担当しており、これまでに累計100アカウントを担当しました。その中でチームを組んで運用しています。チームを組成する上で、自社でSNS運用代行者育成スクールを展開し、品質の担保やギグワーカーを輩出しています。今までに100人以上の方に参加していただきました。
病院の採用目的のSNS運用案件であれば看護師のチームで固めたり、沖縄の歯科医院のSNS運用代行であれば沖縄在住の方でチームメンバーを固めたりしています。
SNS運用代行は企業との期待値のズレが生じやすいです。運用代行をする上で企業との期待値を調整することも重要であるため、講座内でもしっかりと説明させていただいております。
今の仕事に込めた思いを教えてください

ギグワークがひとつのスタンダードとしてつくれたらと思っております!
企業の「やりたいけどできていない仕事」を、ギグワーカーで解決できるような未来を実現したいです。
現在、僕と一緒にSNS運用代行の仕事をしている元作業療法士の方は、妊娠を機に退職して生まれたお子さんが重症心身障害児でした。毎日の送迎やケアが必要で、医療職として現場に復帰することが難しくなってしまった方です。「家で仕事をできるようになりたい」と僕のスクールに参加され、今では送迎の合間やちょっとした隙間時間を使って運用代行の仕事で大きく活躍しています。
同じように、家族の介護や生活支援で時間が制限され、働きたくてもパートやバイトのシフトを増やせない方は多くいます。オンラインのギグワークを紹介できれば解決できるケースがたくさんあると感じています。送り迎えの待ち時間、通院の合間など、短い時間でも成立する仕事を巻きとり、活躍できる場を広げていきたいです。

障害者の家族がはたらく領域も増やしていきたい。
重症心身障害児や生活支援が必要な方のご家族で、満足に就労ができていない方たちを対象とした支援事業と、その方たちのマンパワーにより解消できる企業や社会問題をマッチングできないかと考えてます。
就労支援はあくまでも障害者が働くところですからね。障害者の家族がはたらく領域も増やしていきたいですね。ギグワークが一般的に認められる社会を目指して、1つのスタンダードがつくれたらと思っております。
何かをはじめたいと思っている医療職に一言

誰もがロールモデルを辿る必要はない。
SNSが発展した今の時代、ロールモデルとなる方は探せばたくさん見つけられます。まずは、気になる方の話を聞くことがファーストステップとして良いと思います。
一方で、モデルケースの方に出会うと「やればできるよ」と簡単に背中を押されてしまうケースもあると思うんですね。それで気軽に始めた結果、挫折する可能性も非常に高いと思っていて。誰もがロールモデルを辿る必要もないですし、誰もがインフルエンサーを目指す必要もありません。

まず実績や経歴をつくることが大事だと思います。
インフルエンサー育成スクールが存在しますが、その中には発信内容が本質的ではないと感じるものもあります。例えば、発信者自身が好きでなかったとしても、星野リゾート自体に価値があるので発信コンテンツに向いている、と指導しているところを見かけます。しかし、本当に好きではないテーマの発信を無理に勧めるのは、本質的ではないと思います。
僕みたいに「発信したい」という確固たる源泉がある方はチャレンジした方が良いと思います。大切なのは、「なぜ、今の働き方を辞めたいのか」という原動力です。
もし、確固たる実績や経歴があって辞めたいと考えているなら、すごく良いチャレンジになると思います。「一旦、別のことやってみたい」と漠然と考えている段階であれば、まずは何か1つ確立した実績をもつことから始めたら良いと思います。





宮下侑也(理学療法士)
都内の総合病院に就職して1年後にコロナ禍に。自宅待機や給料の減額など将来に不安を感じたため家でできる副業を探し、Instagramの発信を開始。
半年で1万フォロワー達成し、2年後に病院からSNSマーケ会社へ転職。3年勤めたあとに株式会社ゲンチアンを設立し独立。