臨床検査技師の選択肢を増やしたい【こよ / 臨床検査技師】

こよ(臨床検査技師)

サッカー漬けの学生時代を経て「資格と安定」を理由に臨床検査技師の道へ。学生時代は勉強が苦手だったが、病院で働き始めてから学びにハマり、微生物領域を軸にSNS発信を開始。少数精鋭コミュニティも運営し、転職でマーケも習得しながら「臨床検査技師の選択肢を増やす」挑戦を続ける

記事の見どころ
  • 父親が臨床検査技師、サッカー漬けからの現実的進路選択:志よりも「資格・安定」から入った等身大のストーリー
  • 現場で覚醒した学びと教育の才能:学生時代はギリギリ→働き始めて勉強が面白くなり、教える側へ
  • 微生物特化×SNS×コミュニティの戦略:伸びる領域に絞り、少数精鋭コミュニティも運営しながら“病院の外”を開拓

臨床検査技師になった経緯を教えてください。

僕が臨床検査技師を目指したのは、「志が高かったから」というより、現実的な理由が大きいです。

父が臨床検査技師で、家ではずっと「安定した職がいい」「資格がある仕事がいい」と言われて育ちました。大学2年までサッカー漬けで、正直“将来の自分”を深く考える余裕もなくて。

進路を決める段階で「医療職」「資格」って聞いたときに、パッと思い浮かんだのが臨床検査技師だった。というのが本音です。

とはいえ、興味がゼロだったわけでもなくて。中学生の頃、父の職場に寄って一緒に帰ることがよくあって、検査室に入っている環境は見ていました。「医療業界ってかっこいい」みたいなイメージがありました。そこが、最後に背中を押した気がします。

これまでの経歴教えてください。

僕はAO入試で面接のみの検査学科に入りました。

大学時代は“遊びまくってた”と言っていいくらいで、勉強はギリギリ。勉強も最後の1年、夏くらいからようやく本腰を入れた感じです。

新卒の就活も一筋縄じゃなくて、当時は成績が下位だったこともあり「お前は受かるか分からないから就活するな」と言われて、国家試験に受かってから就活を始めました。

ただ国家試験後には良い病院の枠はもう埋まってしまってて。一度大学院に進んだんですが、入学して数か月後に“名古屋の大規模病院”で求人が出て、大学院を辞めて現場に入りました。

ここが臨床検査技師としてのスタートです。

現場に入ってからは、働きながらゴリゴリ勉強して学会発表も毎年やると決め、資格試験にも挑戦して。

学生の頃は勉強嫌いだったのに、働いてからの方が勉強が面白くなったんですよね。自分で勉強したことを誰かに教える、というやり方がハマったのも大きいです。

「相手の点数を上げる感覚」が楽しくもあって、しかも自分は“勉強が分からない側の気持ち”も分かる。そこが後の活動にも繋がっていきます。

今の活動に至ったきっかけを教えてください。

SNSを始めたきっかけは、実は学生の頃から「YouTubeやりたいな」とずっと思っていたことです。

でも、やらないまま時間が過ぎ、転機になったのは年が近い上司との雑談でした。

僕が「YouTubeやってみたいんですよね」と伝えたら、上司が「やってみたらいいじゃん」と軽く背中を押してくれて。病院勤務だから副業禁止だよな…と悩んだ僕に対しても、「やりたいならやってみたら?」と一言。その瞬間にスイッチが入りました。

最初は横動画で、撮影も編集も全部自分。知らない編集アプリを入れて、スマホで手探り。昼休みに、誰かに見られないように編集してました。大変というより、純粋に楽しかったです。

Instagramは、最初から「微生物で発信する」と決めていました。微生物以外の分野も解説してみたけど、自分でも「これは伸びないな」って分かるくらい反応が薄くて(笑)。

逆に微生物の投稿は伸び方が分かりやすかった。散歩しながらフォロワーが増えていくのを見て、「増えてる、増えてる、やった!」ってテンションが上がってました。

そして、YouTubeが少し落ち着いた頃に検査学生国家試験応援コミュニティも立ち上げました。人数は少数精鋭で、ちゃんと関わって、ちゃんと価値を返す形にこだわっています。

その後、働き方も大きく動きました。

最初の名古屋の病院を3年半勤務して、4年目に獣医療のベンチャー企業へ転職します。

微生物検査もできて、マーケティング業務もやらせてもらえる環境がちょうどあった。そこで動画コンテンツのサブスクや、キャンペーン設計、集客の考え方など、SNSを“仕事として伸ばす”力が一気に強くなりました。

教えてもらった部分もあるけど、半分以上は自分で勉強して、やりながら覚えた感覚です。

結果として、臨床検査技師という軸を持ちつつ、発信・教育・マーケにまで視野が広がっていった。いま僕が個人でも活動できているのは、この流れがあったからだと思います。

今の活動を通して、これからやりたいことを教えてください。

今の個人活動の中心は、Instagramでの情報発信です。

微生物の解説、感染症の解説、検査学生向けの国家試験対策。やっていることは幅広いけど、根っこにあるのは一つで、「検査技師の選択肢を増やしたい」という思いです。

実際、検査学生も、働いている検査技師も、「病院以外の道がある」と発想を持っていない人が多い。病院の人間関係がしんどい、仕事が面白くない、そういう悩みが出たときに「じゃあ検査技師辞めるしかないか」と思ってほしくないんです。

病院の外側から医療を支える立場だってあるし、発信者でもいい、国家試験対策でもいい、人材系でもいい、セミナーやコンサルでもいい。検査技師でも“何でもできる”ということを示したい。

そしてもう一つ、すごく大事にしているものが「そもそも臨床検査技師を知ってほしい」ということです。仕事を説明したときに「検査技師?詐欺師?」といじられることがあるんですけど、あれ、地味にめちゃくちゃ腹が立ちます(笑)。

まだ世の中に知られていない職業でもあるからこそ、僕がロールモデルになれたらいいなと思っています。

「自分がやりたい方向に動けるんだ」と少しでも思ってもらえたら、それで十分です。

最終的には、検査技師が「仕事楽しい」「胸張って言える」職種になってほしいです。医療の中心で、発展の一翼を担える職業なんだって、もっと誇れる世界を作りたい。

そのために、まだ誰もやっていないことが多い領域を、探り探りでも開拓していきます。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

医療職って、現場にいると視野が狭くなりやすいと思います。

毎日やることが多くて、外の世界を見る余裕がない。だからこそ僕は、「病院しかない」と思い込む前に、一回だけ選択肢を広げてみてほしいです。検査技師という資格は、病院で働くため“だけ”のものじゃない。自分で使い方を決めていいんです。

もちろん、大前提私は病院で働く臨床検査技師の皆様はとてもかっこいいと思ってますし、とても尊敬しています。

だからこそ職業を知らない人が周りにいるなら、まずは知ってもらうところから一緒にやりたい。

臨床検査技師が当たり前に尊敬されて、憧れられて、なりたい人が増える世界を作りたい。その一歩目が、情報発信だと思っています。

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