取材日:2022年1月27日
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医師の資格を持ちつつ、現在は大学の教授、会社経営者として活躍されている清水雄介さんを取材させて頂きました!
- 医師を目指したきっかけはなんですか?
- 形成外科医を選んだきっかけはなんですか?
- 今後どのようなことを目指していますか?
医師を目指したきっかけはなんですか?
最初は医師を目指していませんでした。
幼い頃は全く医師を目指そうとは思っておらず、美術系の仕事に進みたいと思っていました。絵の中では自分を自由に表現できる、誰にも遠慮せずに自由に表現できる点が好きだったのです。しかし画家や漫画家として生活していく自信は有りませんでした。
中高一貫校に進んでいた私は、まずは医師になって生活の基盤を固めてから自分の好きなことをやれば良いだろうと考え、内部進学で医学部に進学しました。小さい頃から自分に自信がなかったので、「まずは人に必要とされる人間になろう!」と考えたことも大きかったです。
誰かに必要としてもらうことが自分のアイデンティティを確立させることにつながると感じていました。
形成外科医を選んだきっかけは何ですか?
昔から美術が好きだったことと、手先が器用だと思っていたので、形成外科医の道に進みました。
内科は主にお薬で治療をしていきますが、外科は主に手術で治療をしていきます。自分の手で直接患者さんを治療することができるので、そこに興味を感じました。中でも形成外科は「失われたものを再建していく、新しいものを創りだしていく」という分野です。例えばがんで摘出した乳腺や舌、顎を元の姿に再建する手術、生まれつき唇が少し割れているお子さんの唇をきれいに治すなどの手術を行っています。
私はもともと美術が好きで、手先が器用だと思っていたので、仕事のほとんどを手術が占める形成外科を選びました。診療科は大きく分けて19個あるのですが、形成外科は1番小さい診療科です。多くの人が選ばない診療科という点でも興味がありました。
大学卒業後は複数の病院に就職し、10年間で10回以上の転勤を繰り返して、のべ12の医療機関に勤めました。形成外科だけでなく、一般消化器外科、耳鼻咽喉科などの形成外科に関連する診療科でも研修を行い、様々な経験を積んできました。苦労も多かったです。自分の意見をしっかりともちながらも与えられた周りの環境に自分を適応させていくことがとても大事だということを学びました。
現在の活動を始めたきっかけはなんですか?
新しいことに挑戦することが好きでした。
2014年に現在勤務している沖縄の琉球大学に新しく形成外科ができることになり教授選考が行われました。形成外科医は全国で5000人以上いるのですが、教授職に就いているのは100人程度です。一般的に外科系の教授の年齢は50歳〜60歳台が多いのですが、私は当時41歳でした。それまで自分が教授になれるとは全く思っていなかったのですが、当時の上司にその「教授選考に挑戦してみよう」と言われてやる気になりました。経験不足は否めませんでしたが、自分の実績、今後のビジョンなどについてしっかりとプレゼンテーションし、結果的に教授として選んでいただくことができました。教授選考に挑戦したことは私の人生の大きな挑戦の一つです。
2015年に沖縄へ赴任した後すぐに、当時の琉球大学医学部長から「再生医療に挑戦してみませんか?」と誘われました。私は外科医だったので細胞を使う再生医療について全くの素人だったのですが、新しいことに挑戦することが好きだったので、チャレンジを開始しました。
現在最も力をいれている事業内容について教えてください!
細胞や組織を琉球大学病院から製薬企業に提供できる新しい仕組みを整えているところです!
人の幹細胞を使った「再生医療等製品」のニーズが世界中で急拡大しています。しかし再生医療等製品の開発のために必要な人の細胞や組織を製薬企業が入手することが法律的、倫理的に大変難しく、大きなハードルとなっています。
そこで人の細胞や組織を琉球大学病院から製薬企業に提供できる新しい仕組みを整えているところです。製薬企業が安心して人の細胞を使った再生医療等製品の開発ができるようになり、多くの患者さんを救われれば良いなと考えています。
今後、どのようなことを目指していますか?
一度に多くの人に貢献できる仕組みを整えたいと考えています。
形成外科医は一人一人を手術して、一生に何千人かの治療に当たることができますが、再生医療等製品を開発できれば、一度に何千人、何万人の人を助けられます。そのために現在行っている琉球大学から企業へ細胞や組織を提供する仕組みを充実させたいと考えています。
また形成外科医として発展途上国での手術にも携わってきました。その仕組みを整え、現在『医療が届いていない世界の人たちにも、必要な医療を届けられる仕組みを作りたい』と考えています。
気を抜くと私は自分のことしか考えなくなってしまうので、できるだけ誰かのために行動できるよう心がけています。最近は「人の視線は気にするな」「自分のやりたいことをやろう」という意見も増えています。ですが私は「他者の評価」や「他者からどう見られているか」も大事にしたいと考えています。なぜなら自分だけが自分を認めるのではなく、他者からも評価されているということは、自分が良い働きをしているか否かの判断材料になり、自分を律することができるからです。今後も自分だけでなく他者に喜んでいただける結果を出していきたいと思っています。