介護はネガティブなものじゃない!生活の延長線上にあるものだと伝えたい!【中浜 崇之/介護福祉士】

取材日:2022/12/15

中浜 崇之(なかはま たかゆき)

理学療法士を目指し専門学校に入学するも1年で退学。2年間様々職種を経験したが、専門学校時代に経験したデイサービスの実習を通して介護・福祉に興味を持つ。特別養護老人ホーム、デイサービスに勤務し、
その後デイサービスの立ち上げや特別養護老人ホームの管理職を務める。
現在は法人を設立し、人材育成や介護福祉事業関係者へのコンサルティングなど多岐に渡り活動している。
hospass運営局
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こんにちは、hospass運営局です。”病院はパスする時代”を創出するべく、医療職限定でチームを組み活動を進めています。

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介護福祉士の資格を持ちつつ、現在は法人を立ち上げ、介護現場の人材育成や、仕事と介護の両立に向けた法人サポートやコンサルティングなど、多岐に渡り活動している中浜さんを取材させて頂きました!

記事の見どころ
  • 現在の事業を始めようと思ったきっかけ
  • 現在の事業に詰まっている想い
  • 現在の活動を通じて社会に与えたい影響

介護福祉士になろうと思ったきっかけを教えてください!

理学療法士の病院実習として行ったデイサービスで、利用者さんに喜んでいただけたことがきっかけです!

もともと高校生までサッカーをしていたので、スポーツに関わる仕事がしたいと考えて理学療法士を目指しました。

専門学校で担当だった先生がケアマネージャーを兼ねていたので、デイサービスへ実習に行くことになりましたが、最初はデイサービスに全然興味がありませんでした。しかし、実習に行った時に利用者さんから、「若者が来た!」ということだけで喜んでもらい、すごく印象に残ったんです。

実は1年程で専門学校を退学し、その後はサッカー部のコーチをやったり、アパレルで働いたり、日雇いの仕事をしたりと様々な職業を経験しました。2年程経過したある日、将来続けられる仕事をしようと考えた時、ふと学生時代のデイサービスの体験が楽しかったことを思い出し、ホームヘルパー2級の資格を取って介護の世界に入りました。

現在行っている事業を始めようと思ったきっかけを教えてください!

利用者さんの生活に対して「違和感」を覚えたことがきっかけです。

当時働いていた特別養護老人ホームでの利用者さんの生活をみて、私たちの日々の生活との違いに違和感を覚えました

例えば、私が働いてた特別養護老人ホームでは、週1回近所の売店の商品を注文できたのですが、売店の商品リストがないのです。せっかく買い物するのに商品を選べないのは、すごくつまらないと思いました。そこで、近所の売店にお願いして、商品を写真に撮って商品カタログを作ったら利用者さんに喜んでもらえました。ちょっとした工夫だったのです。

利用者さんのご家族から「入所させたくは無いけれど、親を特別養護老人ホームに入れてしまった」という声を聞いたこともあります。

特別養護老人ホームに入りたくて入っている人は少なく、福祉へのネガティブなイメージが、利用者さん、ご家族、そして従業員全員にとって当たり前になっているのです。

在宅で暮らせる可能性を広げないと、施設に入りたくないのに入らなきゃいけない人がいる。ご家族は親を施設に入れたくないけど入れてしまったと罪悪感を抱いてしまう。このような人たちを減らすためには在宅での生活を長く続けられる環境を作らないといけないと考えるようになりました。

多くの利用者さん、ご家族との出会いの中でどうすればもっと利用者さんに喜んでもらえるか、利用者さんだけではなくご家族の生活に寄り添うことができるのか、ということにチャレンジしていきたいと考えるようになりました。結果として、上司をはじめ周りの方々と関わりが生まれ、特別養護老人ホームの管理職として経営に携わることや、デイサービス事業の立ち上げにも携わらせていただき、現在の法人を立ち上げることに繋がりました。

現在行っている事業に詰まっている想いを教えてください!

長生きが喜びになり、誰もが自分らしく歳を重ねて最期を迎えることができる社会にしたいです。

2つの考えを事業の軸としています。

1つ目は「誰もが自分らしく歳を重ねることができる世の中にしたい」という想いです。介護の現場を通じ、自分が歳を重ねた時に自分らしく生活ができない環境は理不尽だと感じました。食べ物や飲み物、洋服、旅行、誰かに会うことなど、これまでの習慣に関して、「歳なんだから控えなさい」と言われたり、急にぜいたくなものとして扱われるのは悲しいことです。高齢者になっても、最期まで自分を持ち続けられるような社会を創りたいと考えています。

2つ目は「介護を一般化したい」という想いです。私にしかできないことを考えたときに、介護の現場業務や管理職、福祉以外の様々な職業の経験を活かすことだと思いました。例えば、介護・福祉の現場の従業員やご家族の想いを、現場の外側に発信することに加え、介護・福祉現場では難しい実情の管理職教育に関しても、経験したからこそ、携わることができると考えます。

現状、親が介護になること=ネガティブな状況と思われていますが、そうではありません。ネガティブなものと捉えられているからこそ、介護への理解も進まないのです。介護と仕事を両立できる体制を整え、介護は長生きの象徴で豊かさをもたらすものであると伝えたいです。

今後行っていきたい活動はありますか?

介護・福祉に関するプラスな発信をしたいです!

今後はYouTubeとwebサイトで積極的に面白いコンテンツを発信したいと考えています。福祉や介護はしっかりしなければいけない、真面目じゃなければいけないという世間からのイメージがあり、介護職自身も同じように感じている。しかし、介護職も仕事を離れれば面白いものを見たいのです。介護に関するポジティブな発信を、少しふざけたYouTubeという形で配信しようと考えています(笑)。

もう1つは、65歳以上でおしゃれな高齢者の写真を集めて、webサイトで発信することです。歳を重ねても自分を維持しているのは素敵なこと。おしゃれな高齢者を見かけてお声がけすると、「私なんて・・・・・・」と断られることも多いですが、多くの方に「歳を重ねてもこんなに素敵な生き方ができる」という姿を魅せたいですし、元気な高齢者はたくさんいると伝えたい。高齢者が自分らしく生きる姿に、若者も夢を感じると思うので、是非発信したいと考えています。

自身の活動を通して、社会にどのような影響を与えたいですか?

介護の仕事を前のめりで楽しんでやる人が増えると嬉しいです!

現状、介護の現場には「やってあげてる感」、「やらされてる感」を感じて働いている人が多い印象です。これは介護職が、「介護はネガティブなもの」という勝手なレッテルを貼っているためだと感じています。

私自身が様々な職業を経験して言えることは、介護だけが大変というわけではなく、どんな職業も大変で、大変な内容が違うだけということ。実際、転職した介護職が介護現場に戻ってくるということもあります。

介護をやりたいからやっている、介護を前のめりで楽しんでやっている、そして自分を大事にしながら、介護・福祉に携わることができる人が増えてほしい。そのために、私の事業を通じて、介護職、利用者さん、支えるご家族、そして世の中全体に、歳を重ねることは豊かなこと、介護は生活の延長線上にあるもので、「長生きすること=喜び」であると思ってもらいたいです。

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