医療とエンターテインメントの融合を!健康の概念を変えたい【笑方箋もりしー / 医師】

取材日:2022/11/11

笑方箋もりしー(しょうほうせんもりしー)

小児科に実習に行った際に、エンターテインメントの力で
医療を変えたいという想いを抱く。
現在、医師として働きながら同じく医療に従事する2人のメンバーと
音楽ユニット笑方箋(しょうほうせん)を結成。
医療とエンターテインメントを融合させた音楽活動を行っている。
hospass運営局
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こんにちは、hospass運営局です。“病院はパスする時代”を創出するべく、医療職限定でチームを組み活動を進めています。

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医師の資格を持ちつつ、現在は医療とエンターテインメントを融合させた音楽活動をされているもりしーさんを取材させて頂きました!

記事の見どころ
  • 医療の道に進んだきっかけ
  • 現在の活動を始めようと思ったきっかけ
  • 活動を通して社会に与えたい影響

医療の道に進んだきっかけについて教えてください。

生きることと死ぬことに興味があったことに加え、自分の身体を人任せにできないと考えたからです。

物心ついた時には、家庭環境があまりよくなかったため、生きることと死ぬことに興味がありました母がアルコール依存症で家に居場所はなく、学校も好きになれず不登校気味でした。母親という身近で大好きな存在がお酒を飲むことで大嫌いな存在になる。それがそれまで生きていた人が急に死ぬという、「生と死」にリンクしていました。

また、「死」に対して漠然とした恐怖がありました。中学生の時に十二指腸潰瘍と診断されたんですが、治療がうまくいきませんでした。いろいろな病院に行きましたが、医者からは「なんだろうね」と言われ、自分の身体の治療を医者任せにするのは怖いと思いました。自分の病を自分で治療出来るようになりたいという想いが医師になろうと思ったきっかけです

対人関係が苦手で不登校気味になり、対人恐怖症にもなりました。周りからの視線が怖くなって、高校3年生の時に心療内科に2年間通って薬を飲みましたがあんまりよくならなくて。自分の人生は他人任せではなく自分で変えていくしかない、自分で治していかないといけないと改めて感じました。

医学部の受験に失敗して一度は医者の道を諦めた時期もありましたが、幼い頃から自分の根本にあった生と死、自分や人の健康への関心が医師になりたいという気持ちをさらに強め、2014年に医学部を再受験。医学部への入学を果たすことができました。

現在の活動を始めようと思ったきっかけについて教えてください。

エンターテインメントの力で医療を変えたいという思いが一致しました。

大学5年生の3月、小児科病棟での実習中にある出来事がありました。外来で嘔吐や頭痛を訴えていた子どもの症状に対して、小児科の指導医から「あの子は心身症」だと聞きました。薬だけの治療に限界を感じ、エンターテインメントの力で何かしたいと考えたのです。

その時知人から、私と似たような「ディズニーランドみたいな病院をつくりたい」という夢を持つ人がいると紹介して頂いたのが“とっきー”(音楽ユニット笑方箋メンバー)でした。とっきーは「世界一わくわくする病院をつくりたい」という夢を持っていて、我が家で朝まで語り合い意気投合。「一緒に音楽をやろう!」という話に胸が高まりました

医療×音楽をやる上で、もう1人メンバーが欲しいと考え、当時自分が九州の代表をしていたIFMSA-Japan(国際医学生連盟日本)という学生団体の後輩に声をかけました。彼の名は“がじゅまる”。医学部再受験前の歯学部時代に、東京でバンドや芸能活動をしていました。

彼に「世界一わくわくする病院をつくりたい、音楽と医療を融合させて、僕らだからできることがあると思うんだけど、誰か知らない?」と問いかけました。わざとらしいいじわるな質問に彼は「自分じゃだめですか?」と熱意を込めて応えてくれ、2019年に音楽ユニット笑方箋(しょうほうせん)を結成しました

事業に込めた想いについて教えてください。

医療×音楽でみんなを明るく元気にしたい!

音楽の方向性としてはFUNKY MONKEY BΛBY’Sさんのような“みんなを応援して明るく元気にしていくという世界観”を目指しています。FUNKY MONKEY BΛBY’Sさんのカバー曲を歌っていた時期もありましたが、オリジナル曲を出したいと思い制作を開始。それぞれが表現したい思いを歌詞とメロディーにしています。

笑方箋は3人だけでなく、応援してくれる人たちもメンバーだと思っています。誰かを笑顔にしたい、誰かの健康を守りたいという想いー笑方箋イズムーが日本中、そして世界中に広がっていってほしいと思っています。

活動を通して社会に与えたい影響について教えてください。

医療、健康の概念を変えたいです。

2022年にリリースしたCD「笑顔ノミカタ」という1st mini album発売時、「笑顔の味方キーホルダー」を作ったんです。「席譲りますマーク」という妊婦やお年寄りも声をかけやすい、意思表示のキーホルダーの存在を知って、それいいな!と思って。「笑顔ノミカタキーホルダー」をつけていたら、「“あの人は笑方箋イズムを持っている良い人なんだ!困ったら助けてもらおう!”と思ってもらいたい」という想いを込めてキーホルダーを作りました。

病院には健康を損なってから行くというのが一般的だと思いますが、病院に行く前に、例えば誰かに話を聞いてもらうことで心が健康になることがあると思うんです。誰でも誰かの主治医で、誰かを笑顔にできるし、誰かを健康にできることを伝えていきたい。今までの医療や健康の概念を変えていきたいです。

今後の目標と展望について教えてください。

ディズニーランドみたいな病院をつくりたいです。

2023年4月より小児科医1年目として、こども病院で働いていますが、いずれは発達障害や不登校の子どもたちを見たいと思っています。そして2030年、地元愛知県でディズニーランドみたいな病院をつくることが、私がずっと掲げているビジョンです。テーマは「わくわくするような病院」です。病気というマイナスを治療で“0にする”だけでなく、エンターテインメントを通して、プラスの力になるような病院をつくりたいと思っています。

不登校や心身症の子どもたちを薬だけで改善するのは難しいと感じています。子どもには家と学校の2箇所しか居場所がないように見えるんです。それなら、家でも学校でもない第3の居場所をフリースクールという形で提供し、ディズニーランドみたいな病院に併設したい。薬や手術の力では解決できなくても、フリースクールに来れば解決できる。いつでも遊びに来ていい場所をつくり、学校の勉強だけでなく学校では学べないような生きる上で大切な力を育みたいです。

どこに相談して良いかわからない子どもたちが安心して話せるような場所にしたいと思っています。

その場所をエンターテインメントと医療を融合させていきたい。ディズニーランドはスタッフが笑顔でいられるような環境が魅力的だと思うんです。音楽などのエンターテインメントの力を使ってスタッフも患者さんも笑顔でいられる環境をつくり出していきます

音楽やダンスなどのエンターテインメントは、年齢や性別、人種を超えて楽しめるものです。私のビジョンに共感してくれる仲間と共に、患者さんもスタッフも本当に笑顔になれる場所をつくっていきます。

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