想いの先にある想いを大切に!日本と世界の医療・福祉をつなげたい【松橋 沙江子/看護師】

取材日:2023/3/1


松橋 沙江子(まつはし さえこ)

様々な病棟での看護師経験を活かし、「自分にしかできない看護を創りたい」という想いの元、訪問看護ステーション、精神障害者グループホームを立ち上げて経営中。現在は日本と世界の医療・福祉をつなげるためにも活動されている。
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こんにちは、hospass運営局です。“病院はパスする時代”を創出するべく、医療職限定でチームを組み活動を進めています。

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看護師の資格を持ちつつ、現在は訪問看護ステーション経営、精神障害グループホーム経営に加え、世界の医療にも目を向けて活動している松橋さんを取材させて頂きました!

記事の見どころ
  • 事業を始めたきっかけ
  • 事業に詰まっている想い
  • 社会に与えたい影響

医療の道に進んだきっかけを教えてください!

母が看護師だったことがきっかけです。

看護師を目指したきっかけは母が看護師だったからです。自主性を大切にする母だったので、看護師を勧められたわけではありません。中学生の頃、自営業の父を支えながら看護師として働いていた母を見て「すごく忙しそう」と思い、むしろ看護師になるのは嫌だと思ったこともありました。ですが、高校生になると看護の専門学校に推薦で行くために勉強を頑張っていました。

専門学校を卒業して看護師になってからは、金髪で入職したこともあり、先輩に目をつけられました(笑)。今思うと、中学生の頃から女性特有の馴れあいや群れることも好きではなく、思ったことは口にしていたため、後輩には慕われ先輩からは理解されるまでは煙たがられることが多かったです。結局毎回、先輩とも打ち解けて協力し合えるから笑い話になります。

病院は「ここで学びきったな」と思ったタイミングで転職しているので、現在までに5〜6病院を経験し、ほとんどの診療科を学ぶことができました。

現在行っている事業を始めたきっかけを教えてください。

自分にしかできない看護を創ろうと思ったからです。

最初は看護師長や部長を目指したんです。理由は、「こうやったらいいのに」という若い方の看護に対する意見が、ルールにしばられて許されない環境があったからです。私も「誰のための看護なんだ」と思うことがあると先輩に立ち向かっていました。

そんな時、恩師から「実力を付けて上に上がらないと人を動かせないよ」と言われたことをきっかけに、自分で組織を作りたいと考えるようになりました。

実際に看護師長まであと1歩というところまでキャリアを積んだのですが、1つの病院の看護師のトップになっても何も変わらないのではと感じました。その結果、型にとらわれず、自分の看護ができる環境を作るために起業しました。

現在の事業について教えてください。

訪問看護ステーションと精神障害者のグループホームを経営しています。

最初は訪問看護ステーションの会社を立ち上げました。実は、在宅看護に興味があった訳ではなく、私が設立できる会社が訪問看護ステーションでした。共同経営者に声をかけていただき、ピースがハマって道ができたようでした。

始めてみると、病院での経験を活かしながらも在宅看護は難しく、結局共同経営者との決別もありました。一時はお客さまも激減してしまい、お金もなかったので、周りには倒産するしかないと言われました。しかし、経営方針を見直し、SNSを一新してから、立て直すことができました。娘の生活を守らなくてはいけないということが、諦めなかった原動力の1つです。

精神障害者のグループホームは2023年1月から始めました。もともと私の経営する訪問看護ステーションの従業員には、「心と体はひとつ」という趣旨のもと、精神看護ができるように資格は取ってもらっていました。グループホームと業務委託を結んでいたご縁もあり、グループホームを立ち上げました。訪問看護を提供している当社だからこそ可能な組み合わせで、他にはない独自のサービスだと言い切れます!

現在の事業に詰まっている想いを教えてください。

「想いの先にある想い」に気づいて看護をすることを大切にしています。

私が従業員に必ず伝えていることがあります。それは、「想いの先にある想いに気づく大切さ」です。例えば、足が痛いということに目を向けて痛み止めを処方するのは対症療法になります。これも必要ですが、私たち看護師は、足の痛みが改善されたらこの人はどうなりたい・どうしたいと思っているのかという患者像を捉えることが看護でありサービスであると考えています。

もし、「足が痛いけれど、歩きたい」と思っている患者さまがいたら、歩けるようにするために看護師としてできることを行う訪問看護ステーションでありたい。だからこそ、従業員には訪問のたびにひとつプラスして看護をしてきてほしいと伝えています。

ご自身の事業を通して、社会にどんな影響を与えたいですか?

今後の日本と世界の医療・福祉を繋ぎたいです。

高校生の頃、あるドキュメンタリー番組を見たときに、フィリピンのごみの山で生計を立てる子どもの映像に衝撃を受け、将来海外に学校や病院を設立して医療を提供したいと思いました。

この想いを周りに伝えていたら、タイにいる看護学生・介護学生・医療系の認定を受けている学校と繋がる機会をいただいたんです。これを機に、日本で人材が足りないところに、海外で学んでいる学生を繋げるという仕事と日本の医療従事者が、海外の医療を知るための医療ツーリズムを考えています。始めはタイからと考えているのですが、ゆくゆくはアジア圏全体でこの活動をしたいと考えています。

私が学んできた中で、海外の医療はサービスだと医療従事者自身が感じていると知りました。日本の今後を担う世代の方には、実際に海外渡航することで、日本の医療はどうなっていくべきかを考えて、日本の医療も大事にしてほしいと思っています。

伝えたい想いについて教えてください。

ありがとう」とこれだけ言われる仕事は看護師の他にないと思います。

私が必ず後輩に伝えていることがあります。それは「ありがとうとこれだけ言われる仕事は看護師の他にない」、「患者さまの最期の記憶に残ることができるのは看護師」ということです。

これだけ人に影響を与える職業だからこそ、看護師が嫌になる時もあると思います。そんな時こそ、とても誇らしく、素敵な仕事であるということを思い出して、また看護師として頑張ろうと思ってもらえたら嬉しいです。

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