日本のみんなの歯を守りたい!【野尻 真里 / 歯科医師】

取材日:2023/2/7

野尻 真里(のじり まり)

研修医の頃から予防歯科を学び、うずら歯科にて一般診療と訪問診療を行っている。現在は歯科商品の監修をしたり、雑誌などで歯科に関する記事を多数執筆したり、オンラインサロンを開催したり、予防歯科について発信をしている。
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こんにちは、hospass運営局です!“病院はパスする時代”を創出するべく、医療職限定でチームを組み活動を進めています。

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歯科医師の資格を持ち、現在は日本の歯科の予防意識があがるよう、メディアや媒体で正しい歯科知識を発信し活動している野尻真里さんを取材させて頂きました!

記事の見どころ
  • 医療の道に進んだきっかけ
  • 現在の活動のきっかけ
  • 活動内容や詰まっている想い
  • 社会に与えたい影響

医療の道に進んだきっかけを教えてください!

姉が医学部に進んだことで、医療職を意識するようになりました。

もともと手に職をつけたいと考えていて、専門職に憧れがありました。医療職を意識し始めたのは、姉が医学部に進んだことがきっかけです。ちょうどその頃、テレビでしっかりとしたかっこいい女性歯科医師を見て、私も歯科医師になりたいと思うようになりました。

両親に歯学部への進学を相談しましたが、学費が高かったので一度は諦め、他の医療職になろうと職場体験にも行きました。ですが私が受験をする頃に、母校の大学が学費の価格改訂をしたんです。おかげで歯学部を受験することができました。

入学して実際に学んでみると、勉強内容は難しかったですが、興味がある内容ばかりでとても楽しかったです。大学生活はテストばかりでとても忙しく、特に5年生くらいからは、国家試験に向けて朝早くから夜遅くまで勉強を頑張っていました。

現在の活動を始めたきっかけを教えてください!

歯がほとんどない20歳の女性患者さんに出会ったことがきっかけです。

大学病院で実習をしていた時、20歳の女性患者さんに出会いました。歯がほとんどない状態で、入れ歯を勧められて涙を浮かべている診療でした。

ときどき歯科受診はしていた患者さんでしたが、なぜ虫歯になっていくのか、どうやったら予防できるのか、適切なアドバイスをもらえていなかったんです自分の歯のリスクを知らず、予防に向き合う場がなかったことで、次々に悪い歯を抜かれ、ほとんど歯がなかったんです。

大学では予防を学ぶことはほとんどありません。ですが歯科医師にできるのは、歯を削ったり抜いたりする工事のようなことなのだろうかと、疑問に感じました。歯を悪くならないように守るために、何ができるかを考えられる歯科医師になりたいと強く思いました。

予防歯科にたずさわりたいと思い、研修医の頃から熊谷崇先生(予防歯科の第一人者)のもとで修行をされた院長のいるうずら歯科医院で勤務をしています。現在は一般診療を行いながら、訪問診療も行っています。

活動内容や詰まっている想いについて教えてください。

一生涯、口から食べられるサポートをしたいです。

研修医が終わった頃から、歯科医師として歯に関することを発信し始めました。みんなの歯を悪くしたくないという想いを持ち、さまざまな媒体で歯科に関する記事を執筆したり、歯科商品の監修をしたり、オンラインサロンを開催したりしています。今後Youtubeでの発信も考えています。

あなたの口の中は、どこを治療してあって、どこが磨き残しがちですか?」この質問に答えられる人は少ないと思います。自分の口の中に関心をもち、まずは知ってもらうことが大切だと考えています。

虫歯などのトラブルが起こらない一次予防だけでなく、早期発見・予防できる歯は長期の経過観察で一生自分の口からごはんが食べられる二次予防も大切だと思っています。認知症が進むと入れ歯の使用は難しくなりますし、歯がないと誤嚥性肺炎のリスクもあがります。

一生歯がある状態はとても大切なことなんです。そのため、将来的にもっと予防特化型の医院を作ろうと考えています。子どものうちからの歯の教育と、亡くなるまで自分の口からごはんが食べられる、医院に通える間だけではなく、通えなくなっても口から食べることを生涯サポート病院も作りたいです。スタッフを育てる病院でもありたいと考えています。

社会にどんな影響を与えたいですか?

日本人の歯に対する予防意識をあげていきたいです。

世界と比べると、日本人は歯に対する意識が低いと言われています。今の日本は、痛みなどトラブルが起きてから歯医者に行く人が多いと思います。ですが海外では予防意識が国民に根づき、悪くならないために歯医者に行く人が多いんです。

日本でも、歯科の予防先進国であるスウェーデンのレベルと同じくらい予防意識が上がってほしいと思っています。今の日本の状況を変えられるように、スキンケアと同じくらいオーラルケアや歯への関心をあげられるような存在になりたい、という想いから私はメディアに出ています。

歯科医師である私のことを何かで知ってもらい、私の書いた記事を読んで、痛くなる前にまずは気軽に歯医者に行ってみようかな、という気持ちになる人がひとりでも増えてくれたらいいなと思っています。トラブルが起きる前に行くことで、歯医者に行くことが怖くて痛い、苦手なことではなくなると思います。

hospassを通して伝えたいことを教えてください!

痛くなる前に歯医者に行くことが大切。自分の口の中に関心を持ってほしいです!

どうしようもなく悪くなってから、痛くなってから歯医者に行くのではなく、痛くなる前に受診をしてほしい。歯に関心を持ってほしいです。

検診を受けて生活習慣病の疑いがあったら、定期的に受診しますよね。歯も身体と同じように考えてほしいんです。永久歯が抜けてしまったら、そのあとは二度と生えてきません。今ある歯で一生食べていくために、悪くしないことが大切です。

全身と同じように、自身の口の中や歯に関心をもってもらい、歯科受診を身近に感じてもらいたいです。自身の歯のリスクを知って適切なアドバイスを受けて、必要なケアができるようになれば、トラブルが起きることが少なくなります。予防意識があがり、痛くなる前に歯医者に行くことがあたり前の日本になってほしいです。

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