取材日:2022/8/8
こんにちは、hospass運営局です。“病院はパスする時代”を創出するべく、医療職限定でチームを組み活動を進めています。
理学療法士の資格を持ちつつ、現在は地域包括支援センターで活動している北井さんを取材させて頂きました!
- 医療の道に進んだきっかけ
- 現在の活動内容について
- 現在の活動に詰まっている想い
医療の道に進んだきっかけを教えてください!
祖父のリハビリで出会った理学療法士に憧れたからです!
私が中学生の頃、祖父が脳卒中で倒れてしまい、リハビリを受けることになったんです。祖父は頑固な性格だったのでリハビリに消極的で、最初はこのままだと歩けなくなると言われていました。ですが、担当の理学療法士の方が諦めることなく根気強く関わってくれたんです!
その結果、祖父のリハビリに対する向き合い方が少しずつ変わっていき、どんどん元気になって最終的には歩けるようになるまで回復しました。その光景を目の当たりにして、祖父の心を開き身体の機能を回復させた理学療法士の技術に感動したのを今でも覚えています。この出来事がきっかけで、理学療法士を目指そうと決意しました。
家族内に医療従事者はいなかったですし、理系の脳がないと厳しいのではと周囲から反対されましたが、1度も決意がブレることは無かったです。理学療法士になりたい! その一心で勉強し続け、大学に進学しました。
現在の活動を始めようと思ったきっかけを教えてください!
もっと早く行動できていたら……と悔やむ声を多く聞いてきたからです!
大学の講義で介護予防の重要性を学ぶ機会があり、介護予防に興味を持ち始めました。また祖父の影響もかなり大きく、病気にならない人を増やしたい、いつかは介護予防の分野で働きたいと学生の時点で決めていましたね。
卒業後、まずは幅広い知識や技術の習得が必要だと思い、回復期病院へ就職しました。実際に現場へ出て、病気になってしまった人へのケアを通して介護予防の重要性をより実感したんです。症状に気づいていたのに「自分は大丈夫だ」と放置した結果、リハビリが必要になってしまった。もっと早く受診していたら、という声を私が担当した患者さんから嫌というほど聞いてきました。
多くの方が、病気や障害を負ったことを機に健康と向き合い始めます。「自分は大丈夫」と思い込んでいる方が非常に多いのが現状です。ただ、何かあってからでは遅いんです。健康な時からの予防がいかに重要なのか、もっと多くの方へ届ける必要があると感じたことが、現在の活動に繋がっています。
北井さんの活動内容について教えてください!
地域包括支援センターで、高齢者向けの介護予防事業を行っています!
臨床4年目になるタイミングで、学生時代から念願だった地域包括支援センターに転職しました。主に、体操教室の講師や健康度を評価する測定会の開催、参加者の健康相談・アドバイスを行っています。
体操教室・測定会の参加者は、比較的元気な方々が多いです。しかし、測定会を終えると「思っていたより筋力が落ちていた」と皆さん驚くんですよね。「自分は大丈夫」と思っていても、知らぬ間にフレイル(虚弱)状態へ進行している。この状況が1番怖いんです。
だからこそ、体操等の定期的な運動や測定会のような客観的評価の機会を重要視しています。そして必要な方には個別で運動の方法や生活面のアドバイスを実施しています。身体の専門家である理学療法士だからこそアプローチできる点を意識して活動しています。
活動に詰まっている想いを教えてください!
その人らしく健康で幸せに暮らせるよう、お手伝いがしたいです!
活動する中で、身体機能の変化を他人事と捉えている方が本当に多いなと感じています。私から見て明らかに大丈夫ではないと感じる方も、「自分は大丈夫」と思い込んでいるんです。対処が遅れてしまうと、本当は身体機能は良くなるはずだったのに回復しないなんてこともあります。
やはり、皆さん元気でいたいですし、現実を受け入れたくないと思います。私自身もその1人です。ですが、人は年齢を重ねると必ず衰えるもので、自分が気が付かないうちに老化が進んでいるんですよね。だからこそ活動を通して、元気なうちから介護予防・対策できる人を増やしていきたいです。
現在は高齢者を対象に活動していますが、本来であれば、働き盛りで若い頃からの介護予防が必要です。若いうちから積み重ねた習慣は本当に強い。なので、ゆくゆくは若い層まで対象を広げていきたいです。
活動を通して社会にどんな影響を与えたいですか?
理学療法士・地域包括支援センターの役割をもっと多くの方に知ってほしいです!
病院から地域へ出てみて、理学療法士はこんなに知られていないんだと驚きました。実際、地域包括支援センターで働く理学療法士は全国でもかなり珍しいです。やはり、病院で働くイメージが強いですよね。そもそも地域包括支援センターの存在を知らない。そんなことも多々あります。私はここを変えていきたい。
高齢化が進むことで、介護予防の需要は高まり続けていきます。私は、地域包括支援センターこそが介護予防の真髄であり、より多くの方に支援を届けられる場所で、地域の繋ぎ役だと思うんです。理学療法士は身体の専門家として、看護師や保健師とは違う医療の側面から福祉業界へ貢献できる。そう確信しています。
私の活動をきっかけに、理学療法士の職域が広がり、地域包括支援センターで働くことが当たり前になってほしいです。また、地域活動を通じて地域住民・医療・介護事業所などとの繋がりを大切にし、顔の見える関係を作ることで地域の方にとって気軽に相談できる場所と感じてもらえるよう活動を続けていきます。