幸せな助産師を増やし、しなやかに生きられる社会に!【ララン 絵理子 / 助産師】

幸せな助産師を増やしたい!助産師がしなやかに生きられる社会に!【ララン絵理子 /助産師】

取材日:2023/5/2

ララン 絵理子(ららん えりこ)

産科病棟で働いた後、1年間語学留学して帰国。帰国後は産科病棟で英語圏を中心とする外国人患者さんを担当。退職後は外国人向け出張助産所『Tokyo Midwife』、英語・産科業界初となる助産師向け英語コーチング『じょさんしEnglish®️』を開業し活躍中。

こんにちは、hospass運営局です。“病院はパスする時代”を創造するべく、医療職限定でチームを組み活動を進めています。

今回は、助産師の資格を持ち、現在は助産師向けの産科英会話レッスン等幅広く活躍しているラランさんを取材させて頂きました!

記事の見どころ
  • 事業を始めたきっかけ
  • 事業に詰まっている思い
  • 社会に与えたい影響

医療の道に進んだきっかけを教えてください。

ララン絵里子

75歳まで現役で助産師だった祖母の影響です。

私の祖母は小さいクリニックの師長をしていました。お産のため電話で呼ばれると、祖母は高級車を飛ばし、現場にかけつけました。75歳まで現役でお産を取り続けている姿は、自由で生き生きしていて、すごくカッコよく魅力的だったんです。小さい頃にそんな祖母の姿を見て助産師になりたいと思いました。

大学卒業後、大学病院の産科病棟にオープニングスタッフとして就職しましたが、実際私が考えていたほど分娩介助の経験を積めなかったんです。そこで分娩介助を極めるため1年で大学病院を退職し、分娩件数の多い総合病院に転職しました。

総合病院では様々な症例を取り扱っており、数多くの分娩介助に立ち会うことができました。入職前から3年働いたら海外に行くと決めていたので、必死で助産師としての技術を身に付けました。その結果自身の課題を1つずつクリアして自信をつけることができ、2年で退職しました。

現在の事業を始めたきっかけは何ですか?

ララン絵理子

言葉や文化の壁で心細い外国人ママたちの力になりたいと思ったからです。

3年で仕事を辞めてオーストラリアに1年間語学留学に行きました。最初はルームメイトとの会話もままならない状態で悔しい思いもしましたが、助産師の資格を強みにベビーシッターのバイトをしながらその土地で出会った方々とたくさん会話して、少しずつ英語力に自信をつけていきました。

帰国後は英語が活用できる産科病棟に就職し、助産師として英語圏を中心とする外国人ママを担当していました。出産・育児は人生の一大イベントなので、言葉や文化の壁で心細さを感じる外国人ママたちをたくさん目の当たりにしました。そういった問題を解決したいと考え、外国人ママたちにフォーカスした出張助産所を開業しました。

ですが、最低限必要なことが話せてもその方が本当に大切にしたいことや、言葉の真意を理解するのは難しかったんです。活動していく中で、改めて言葉のコミュニケーションの重要性を実感しました。

また、英語対応の病院でさえも英語が話せる方が数人しかおらず、会話ができずに困っている外国人ママやもどかしさを感じる助産師さんが多かったんです。その現状をなんとかしたいと考え、英語・産科業界初となる助産師向け英語コーチング事業を開始しました。

現在の事業内容について教えてください。

ララン絵理子

外国人ママのための出張助産所、助産師向け英語コーチングを行っています

1つ目は出張助産所「Tokyo Midwife」です。病院内で英語でのコミュニケーションが取れずに困っている外国人ママが多く、さらに退院後に英語でケア・サポートしている施設も意外と少なかったんです。

「Tokyo Midwife」では、外国人ママたちをサポートするために、育児や授乳相談を受けたり、妊娠中や産後の出張ケアを行ったり、一時的に乳児を預かったりしています。また、外国人ママ一人ひとりに合わせた個別ケアや、国籍を問わずに行政と連携し、地域の産後ケア・新生児訪問も行っています。

2つ目は助産師向け英語コーチング「じょさんしEnglish®️」です。英語対応ができずにもどかしさを感じる助産師のために、助産師が3ヵ月間で英語を使った産科ケアができるようになるコースを作りました。オンラインスクールで助産師の方々一人ひとりのレベルに合わせて完全オーダーメイドの学習プログラムを作成し、二人三脚で伴走しています。今後は病院やクリニック向けの産科英会話プログラムの提供を検討しています。

事業に詰まっている想いを教えてください。

ララン絵理子

助産師さんたちに英語を話せることで広がる世界を味わってほしいです。

言葉や文化の壁で心細さを感じる外国人ママたちの力になりたいと考えたのが原点ですが、現在は助産師に英語で広がる世界を知ってほしいと思っています。英語を話せれば出会えない人に出会えたり、深い関係が築けたり、活躍の舞台を日本から世界に向けることができます。英語の習得によって、もっと自分自身の世界が広がるということを感じてほしいです。

そしてどんな自分も大切にして、助産師がしなやかで生きられる社会にしていきたいです。たしかに人生は幸せなことだけじゃないと思います。しかし大変なことがあっても、自分の軸を持ちつつ柔軟に対応し、自ら進んで道を切り開いていくためのサポートをしたいと思っています。

私は病院に勤めていたとき身を粉にして働いていましたが、今はすべての時間を自分のやりたいように自由に使えるようになりました。自分の道は自分で切り開いていける、自分らしく生きられるということも知ってほしいと思っています。

事業を通して、社会にどのような影響を与えたいですか?

ララン絵理子

自分を大切にできる幸せな助産師を増やしたいです。

外国人ママたちのサポートをしたい想いが根底にあるので、言葉や文化の壁で心細さを感じる外国人ママが一人もいない社会にしたいです。

助産師のサポートとしては、自分を大切にして働き方に縛られず自分で自由に選択してしなやかに幸せに生きられる社会にしたいです。視野の狭い世界で生きていると自ら選択肢を狭めてしまい、理不尽な環境でも働き続けないといけないですが、視野を広げて他でもやっていけるという自信がもてれば、もっと人生は自由なんだと気づけるはずです。

どうしても結婚、出産、育児はディスアドバンテージになりやすいのが現状です。キャリアを積むうえで、家庭と仕事の両立のために職場に頭を下げ肩身が狭い思いをする助産師が多い今の現状を変えていきたい。

今後は「助産師さんがしなやかに幸せに生きるためのサポート事業」を検討していて、助産師が女性として、妻として、母として全ての自分を大切にできる社会を実現したいと考えています。

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