鍼灸師がキャリアを諦めずにお客様を笑顔にできるシステムを目指して【かえる鍼灸師 / 鍼灸師】

鍼灸師がキャリアを諦めずにお客様を笑顔にできるシステムを目指して【かえる鍼灸師 / 鍼灸師】

取材日:2023/3/24

かえる鍼灸師(かえるしんきゅうし)

教育・往診・自宅サロンと3つの軸で活躍しながら子育てにも奮闘中。Instagramではセルフケアの重要性と手軽さを発信し、多くのフォロワーから支持を得ている。今後はママ鍼灸師の新しい働き方を支援できるよう、企業向け訪問も拡大していく予定。

hospass運営局

こんにちは、hospass運営局です。”病院はパスする時代”を創造するべく、医療職限定でチームを組み活動を進めています。

鍼灸師として教育・往診・自宅サロンと幅広く活躍しながら、Instagramでも情報発信を行なっているかえる鍼灸師さんを取材させて頂きました!

記事の見どころ
  • 教員養成課程へ進んだきっかけ
  • 往診や自宅サロンを始めた経緯
  • Instagramに込めた想い

医療の道に進んだきっかけについて教えてください。

かえる鍼灸師

高校時代に鍼灸師さんから体の不調を指摘され、治療してもらったことで卒業まで何事もなく過ごせたんです!

母が看護師で、ケガや体調不良のときは病院に行って薬を飲むのが普通でした。ですが、高校時代に緊張性頭痛になり、肩こりもひどくなってしまい薬では良くならなかったんです。

治療法を探していたところ、盲目の鍼灸師の先生と出会い、部活動で酷使していた身体の不調を指摘されました。その先生に治療をしてもらい、高校卒業まで何事もなく過ごせたんです。その影響が大きく、高校卒業後の進路はスポーツ系に強い鍼灸師学校に入学しました。

実際に学校に入学してみて、基礎知識である解剖学や生理学などはモチベーションを持って勉強することが難しく、あまりいい学生ではなかったと思います。とはいえ、スポーツ系に強い学校だったので、スポーツの現場に出る機会が多くリアルな経験を積めました。

リアルな経験をしたうえで授業を受けると、その経験と勉強内容がリンクしていき、2・3年生の頃が一番面白かったです。

教員養成過程へ進んだきっかけを教えてください。

かえる鍼灸師

東洋医学を学び直したいという想いがあったからです。

教員になるつもりはなかったのですが、鍼灸の世界をもっと深く知りたいなと思ったのがきっかけで教員養成過程へ進みました

入学した学校はスポーツ系に強い反面、東洋医学の授業が非常に少なかったんです。鍼灸師を目指すスタートラインは同じなのに、学校ごとの特色でかなり大きな差が生まれてしまっていました。

私の場合はスポーツに特化したい希望は叶えられたのですが、東洋医学についてももっと学びたくなったんです。そのことを東洋医学の先生に相談したところ、教員養成課程であれば教員を目指さなくても、もっと学びたい方や治療の幅を広げたい方のために門戸が開かれていると教えてくださいました。

教員課程が終わった後は、地元の鍼灸師学校で職員として働いています。今でも同じ学校に勤めているのですが、地方の学校は地元出身の先生を求めているケースが多く、お声がけいただいたご縁で地元で立ち上げる鍼灸師学校の運営に関わることができました。

学校によっては副業が禁止されていて、臨床ができない場合もあるんですが、就職した学校では教員をしながら臨床もさせてもらっています。治療家として尊重してくれる今の学校にはとても感謝しています。

往診や自宅サロンを始めた経緯を教えてください。

かえる鍼灸師

地元での治療を続けるために往診を始めました。

教員養成課程のときに接骨院へ就職していたのですが、そこで鍼灸のブースを立ち上げたんです。お客様がある程度ついてきてくれるようになっていたので「地元に帰ってもその治療を続けたい」と思い、往診で治療を始めました。

接骨院に所属していた頃は、院長に守られたなかで治療をしていたので、自分一人で始めると様々なトラブルを経験しました。ベッドではなく布団で施術するしかなかったので、思うような効果を提供できなかったり、消防法の問題でお灸による施術ができなかったり。でもその経験ができたのはすごく大きかったと思います。

そして、往診を利用してくれていたお客様から「自宅で治療の場をオープンしちゃいなよ」と提案を受けて、自宅サロンをオープンしました。正社員の教員と往診、自宅サロンと3分の1ずつに分けて働いています。子育てもあるんですが、先輩ママからは「子育てなんて一瞬だよ」と言われたので、今の時期に種まきをしておかなければと思って、3軸で働いています。

Instagramを始めたきっかけや想いを教えてください。

かえる鍼灸師

「これを見ればいいよ」と、気軽に見られるものを作りたいと思ったのがきっかけです。

私は元々、文章を書くだけでなく、板書のようにイラストを書いたりカラフルなものを作ったりするのも好きでした。Instagramは写真ではなく文字なども含めた発信が見られたので、これなら自分にもできると思ったんです。

Instagramでは、病まないカラダづくりやカラダを変える養生ケアなどについて発信しています。カラダは、とてもささやかなサインではありますが、確実に私達に伝えています。まずはカラダの不調のサインについて知ってほしいです。

意外と自分のカラダの辛さに気づいていない方が多いと感じています。自分の不調のサインに気づいて、カラダを整えるきっかけにしてほしいです。カラダを大切にしていくことで改善できる不調もあるんです。

Instagramを見てくれている方のなかには、カラダを変えて調子を整えたいなと思っている方が多いんだなと感じています。なので、今後もセルフケアの重要性と手軽さについて発信していきます。

自身の働き方を広めることで社会にどのような影響を与えたいですか?

かえる鍼灸師

ママ鍼灸師と企業をマッチングして、育児もしながら鍼灸師を続けられる道を模索しています。鍼灸師を諦めず、家族との時間も取れる形が理想です。

コロナ禍で外出を控えている方が多く、治療院に通う方が減っている背景をヒントに、企業の福利厚生の一環として企業向けの訪問治療があれば、鍼灸治療を受けたいと思う方は多いだろうと考えていました。

首都圏では企業向けの訪問治療の前例があったので、私は保育園を中心に回り、保育士を対象に企業訪問を始めました。保育時間のうち、子ども達のお昼寝時間を利用して、全員を治療する形でスタートしています。終業時間中に横になって治療を受け、さっぱりして帰れるので、非常にニーズが高く、1回始めると継続してくださる方が多いんです。

鍼灸師として働く視点で考えると、主婦層の鍼灸師は資格を取ってもフルタイムで勤務できないケースが多くあります。そこで、臨床経験を積みながら隙間時間で企業訪問ができる環境があれば「ぜひ仕事がしたい!」と希望される方も多いと思います。そういった家族との時間も取りやすい働き方を広めたいです。

お客さまからの「良くなったよ」という言葉が、私の原動力です。この一言に尽きます。今後も子どもの成長を見守りながら、鍼灸師のキャリアを諦めない選択ができるような取り組みをしていきたいです。

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