このまま看護師でいいのかな?と悩んでいる看護師に届けたい!【岩藤 典子 / 看護師】

このまま看護師でいいのかな?と悩んでいる看護師に届けたい!【岩藤 典子 / 看護師】

取材日:2023/9/6

岩藤 典子(いわふじ のりこ)

都内の大学病院在勤中、鬱になりかけ退職。その際にエステの仕事に誘われ、
現在では南青山でエステサロン・スクールを開業。
看護師のセカンドキャリアを応援する活動も行っている。

hospass運営局

こんにちは、hospass運営局です。“病院はパスする時代”を創造するべく、医療職限定でチームを組み活動を進めています。

看護師の資格を持ち、現在はエステサロン・スクールを開業中。エステティシャンとして働きながらスクール生のサポートを行い、看護師のセカンドキャリアを応援している岩藤さんを取材させて頂きました!

記事の見どころ
  • 現在の活動内容を始めたきっかけ
  • 社会へ与えたい影響
  • 読者に伝えたいこと

医療職になろうと思ったきっかけを教えてください。

岩藤 典子

幼少期に出会った看護師さんがきっかけです。

幼少期は、喘息で入退院を繰り返していました。小学生になると家族の付き添い入院ができなくなり、家族は面会時間しか来れない病院だったので、長い時間を1人で過ごしていました。心細い思いをしていたときに、看護師さんが声をかけてくれたり、気にかけてくれたりして、看護師さんの存在にすごく助けられたんです。

私も誰かが心細い思いや寂しい思いをしているときに寄り添える人になりたい、こんな看護師さんみたいな人になりたいと思い、看護師を目指しました。それ以降はほかの職業を目指したことはなく、選択肢は看護師一本でした。

准看護師を取得してから、正看護師の資格を取りました。最初に勤務したのは、奨学金をもらっていた地元の新潟の病院です。1年ほど勤務したのですが、一緒に働いていた看護師のなかに、心疾患の専門的な看護師を志し、専門病院で働こうとされている方がいたんです。

その方の影響もあって、私もより専門的な知識を身につけたいと考え、東京の大学病院に転職をしました。そこで5年半ほど勤務し、眼科、脳外科・神経内科、NICUで経験を積みました。振り返ると、診療科によって雰囲気も求められるスキルも働き方も違ったんです。特にNICUは、細やかなケアを求められていました。

現在の事業を始めたきっかけを教えてください。

岩藤 典子

看護師としての働き方を悩んでいたときに、美容の魅力に気づいたからです!

エステを始めたきっかけは、病院での看護師の仕事に疲弊してしまったことです。大人と子どもではあまりに違いすぎて、仕事ができない自分が嫌になってしまいました。そのとき、自己肯定感も下がり、ミスも連発するようになってしまって…..。何で看護師になったんだろう?とまで考えていたんです。

そのため、退職してしばらく休んでからクリニックや企業、刑務所など、場所を変えて看護師としてまた働こうと考えていました。看護師以外で働くことは考えていませんでしたね。

悩んでいた一方、もともと美容が好きだったので、看護師として勤務していたときからネイルの資格取得を目指して学んでいたんです。ネイルは楽しかったのですが、仕事にすると考えるとピンと来なくて。ネイル以外で美容の分野で何かできないかなと考え、それをいとこに相談したところ、知り合いがエステで働きたい人を探していると声をかけていただいたんです。

病院で看護師をしていた頃は、具合が悪い方の看護や身の回りのお世話をしていましたが、エステに来られる方は皆さん元気です。実際にエステを始めてみると、元気な方がさらに美しくなるためにエステにいらっしゃいます。施術が終わると「きれいになった!すごい!」と喜んで帰ってくださることが、本当に嬉しいと感じました。

思い返すと、私が看護師を目指した根底には「人に喜んでもらいたい」という想いが強くあります。看護師として実際に勤務すると、「退院=happy」ではないと実感しました。ですがエステは、施術を受けた皆さんがhappyになって帰っていきます。私が本当にやりたいことは美容だったんだと感じ、エステを本格的にやることを考えました。

現在の事業内容を教えてください。

岩藤 典子

開業したサロンでエステサービスの提供と、エステスクールを行なっています。

エステを本格的に始めた後、「何かスキルアップできないか」と考えたときに彫刻リンパセラピストの資格を知ったんです。実際に彫刻リンパの施術を受け、手足の長さが変わったことを実感したので、彫刻リンパセラピストを取得しました。その後、彫刻リンパ講師の資格も取得したうえで2016年に独立をしました。

現在は、エステサロンとエステスクールを運営しています。エステサービスの提供はもちろん、エステ未経験の方や既にサロン開業している方へ、スクールで技術を学んでいただいた上でサロン経営のサポートもしているんです。スクール事業は、コロナが明けてからのほうが、需要が高まり事業が進んでいると実感しています。

そのほかの活動として、看護師が働きやすい社会を目指し、看護師のセカンドキャリアを応援する活動もしています。

事業に詰まっている想いを教えてください。

岩藤 典子

私と同じように悩んでいる看護師さんのサポートをしたいです!

私みたいに看護師になりたくてなったとしても、リタイアせざるを得なくなる方はいると思うんです。私自身、病棟勤務で疲弊した結果、看護師を辞めて「ほかの人ができていることもできないダメな人間なんだ」と思い込んだ時期もありました。

そんなとき、休むことも大切なんだ、看護師の資格に拘らず他の道に進んでも良いんだ、ということに気づき、自分を肯定することができました。そんな私と同じように悩んでいる方がいれば、その方のサポートをしたい。私のスクールを選んでくれた方をさまざまな形でサポートしていきたいと思っています。

実際にスクール生にも看護師さんがいらっしゃいます。看護師をやりながらサロンで働く方や、独立して彫刻リンパを行なっている方もいるんです。エステが楽しいという話を聞くと、一緒にできて嬉しいなと感じています。

お客様が仕事をするなかで疲れがたまってしまい、私のエステを受けにきてくださることももちろん嬉しいです。スクールに関しても、彫刻リンパの技術を使う使わないに限らず、エステを通して仕事を趣味のように一緒に楽しむことができる方が増えるのも嬉しいです。仕事は辛いものではなくて楽しいことと思える世の中にして、ワクワクしている大人を増やしたいと考えています。

最後に読者に伝えたいことはありますか?

岩藤 典子

キャリアを変えることをポジティブに捉えてほしいです!

今「このまま看護師でいいのかな」ともし迷われているのであれば、一度休んで考えてもいいと思います。もし、自分にミスが多いと感じる方がいれば、それは「看護師が向いていない」というわけではなく「働いている病棟が向いていない」「働いている病院が向いていない」と考えてほしいんです。

今いる病院・病棟が全てではありません。一つの場所で看護師が向いていないと感じるのはもったいないと思います。

病院から出てクリニックや老人ホームで働いてみたら楽しいと感じるかもしれないし、病棟・診療科を変えたら向いていると実感できるかもしれません。自己肯定感を下げないで働ける看護師が増えてほしいです。

もちろん、看護師にこだわらず、看護師を離れてみてもいいと思います。看護師の枠にとらわれる必要はありません。看護師を離れる方のなかには、「私はダメな看護師だった」という方もいらっしゃいますが、それは違います。

キャリアを変えることをもっとポジティブに捉えられる方が増えたら嬉しいです。もし美容に興味がある方がいれば、私がサポートしますよ。

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