取材日:2023/10/2
こんにちは、hospass運営局です。“病院はパスする時代”を創造するべく、医療職限定でチームを組み活動を進めています。
薬剤師の資格を持ちつつ、現在は健康増進に関する講座や腸内フローラの検査や解説、パーソナルコンサルティングなどのサービスを展開しマルチに活躍している藤戸さんを取材させて頂きました!
- 医療の道に進んだきっかけ
- 現在の活動内容
- 社会へ与えたい影響
医療の道に進んだきっかけを教えてください。
ある男性看護師の言葉がきっかけで、医療はカッコいいと思ったからです。
私の両親は薬剤師で薬局を開業しており、祖父は医者でクリニックを開業をしている医療家系で育ちました。そのため、医療に関する知識や話題が当たり前のように入ってくる環境だったんです。そして、上の兄弟3人は優秀でそれぞれ医学部、薬学部へ進学しました。
高校2年生の私は進路について悩み、昔から宇宙が好きだったので、JAXAやNASAを目指せる宇宙工学への進路を考えていました。宇宙工学への進路を考えていると親に伝えると、「それでは食べていけない」と反対され、進路について改めて考え直したんです。
そして中学2年生の頃、部活で前方宙返りをしたときに着地を失敗してしまい、右足関節を複雑骨折してしまったときのことを思い出しました。手術入院することになり、担当してくださった男性看護師の「これからは男性も看護師として活躍できる時代」という言葉が頭に残っていたんです。この言葉がきっかけで医療はカッコいいと思い、医療の道を選びました。
その後は看護師と薬剤師で進路を迷っていましたが、父から「車を買ってあげるよ」という言葉が最終決定打となり、地元の薬学部へ進路を決めました。医療家系だったこともあり、大学に入学後も専門の言葉は理解でき、勉強するうちに薬学の面白さに気づいたんです。
大学卒業後は、市中の病院に就職しました。実家から近いことや、実習中にお世話になった先生が働いていたことが入職した理由です。また私は小回りが利き、全体像を見ることができる病院に勤めたかったんです。10年は病院に勤めたかったのですが、両親が還暦を過ぎた頃から薬局の経営が心配になり、両親が元気なうちに戻る決意をして2019年に藤戸薬局へ就職しました。
現在の事業を始めたきっかけは何ですか?
なぜ人は病気になってしまうのか、病気の原点や根源的なことを考えるようになったからです。
市中の病院に就職後、担当の病棟以外の病棟業務や救急、集中治療など複数の科を経験したことで救える命と救えない命があることを痛感しました。また薬局では、慢性疾患の利用者がたくさんいらっしゃり、疾患を放っておかないようにお声かけをしますが、治療意欲が低く伝わらないことが多いんです。病気に罹って初めて健康を見直す方が多いため、非常にもどかしく感じていました。
そのような経験から、人はなぜ病気になってしまうのか、薬を多く使用しても治らないのになぜたくさんの薬を服用してしまうのか、考えるようになりました。病気の原点や根源的なことを考えているうちに、どうしたら本質的な改善ができるのかに興味を持つようになったんです。
調べるなかで、現在は「腸活」といわれる時代になっており、ヒポクラテスが残した「すべての病は腸から始まる」という言葉が本質的だと思いました。
薬剤師は抗菌薬の使用を提案し、医者と共に処方設計を行うため日常的に抗菌薬を使用しています。抗菌薬の治療の有益性は理解していますが、腸内細菌を殺してしまうリスクがあるのも事実です。
健康の本質には腸内細菌が関与していることが分かってきたことをきっかけに、人の健康に役立つことができる「腸」に目をつけ、腸を起点とした健康予防についてSNSで発信を開始し、その後事業を広げていきました。
現在の事業内容について教えてください。
健康増進に関する講座や腸内フローラの検査や解説、パーソナルヘルスコンサルティングなどのサービスを行なっています。
「腸内環境や微生物」ことに着目し、2022年に『GutHacks』を設立しました。健康増進に関する講座や腸内フローラの検査や解説、パーソナルヘルスコンサルティングなどのサービスを展開しているんです。個人様向けのサービスでは、一人ひとりに合った最善のアドバイスができるように丁寧なカウンセリングを実施しています。
オンラインを中心としたパーソナルヘルスコンサルティングサービスでは、健康面に不安を抱える方に対して、綿密で丁寧なカウンセリングやアドバイスを行なっています。薬剤師としての知識を活かし「増えすぎたお薬をどうにかしたい」といった相談へのアドバイスも行なっているんです。
健康に気を遣えずに働いている方や病院に通いたくない方、忙しくて病院に通う暇がない方に向けて、夜間でも参加できるオンラインのコンサルティングサービスを実施しています。
腸を基点とした健康予防セミナーや長期講座では、プラネタリーヘルスや予防医学、機能性栄養学など幅広い分野における科学的な根拠の情報をもとに、多角的な視点で腸を整えるための知識を提供しています。
店舗向けの腸内フローラ検査およびフィードバックサービスでは、ご自宅でできる腸内フローラ検査キットの解説サービスを行なっているんです。自分自身の健康リスクを腸内フローラの状態やバランスから把握することで、腸内環境の改善や健康管理の役に立てると思っています。
そのほかにもオンラインサロンや新規健康商品の監修、健康系コンテンツの監修、企業向けコミュニティ、講演会など多岐にわたり活動しています。
事業に詰まっている想いを教えてください。
誰もが笑顔で過ごせて、セルフケアや健康予防が当たり前の社会になってほしいです。
予防医療は社会に伝わりづらく、データが取りづらいのが現状です。最終的にデータを提示しなければ国は動いてくれないですし、社会的に提示できる資料がないと誰も納得しません。データがあって初めて社会に認識されると思っています。
日本の制度を変えるためには、論文を書く力や社会的に提示ができるものを残すしかないと思っているんです。私の活動を社会にアピールするために、データを論文化する必要があるので、現在は大学院に通って論文を書いたり、研究をしたり、スキルを身につけています。
日本の国民皆保険は素晴らしい医療制度ですが、病気に罹ってから病院に通うことをベースに作られています。そのため社会の健康予防に対しての認識が非常に薄く、ヘルスリテラシーを下げている。
だからこそ私は、「予防に勝る治療なし」という言葉に感銘を受けました。誰もが笑顔で過ごせて、セルフケアや健康予防が当たり前の社会になってほしいので、ヘルスリテラシーの向上を目指して日々活動しています。
社会が健康予防に目を向けるようになるには、私だけの力では限界があります。ですが医療者が一致団結して活動していけば、現状は変わっていくはずです。
事業を通して、社会にどのような影響を与えたいですか?
医療職の方は、医療現場以外の場所でも健康のゲートキーパーとして活動してほしいです。
薬剤師からの視点では、不必要な薬の新規導入を減らすことや、すでに内服している薬の量を一剤でも減らすことが使命だと思っています。それによって、いずれ日本社会の医療費の抑制や、国民一人ひとりの健康寿命の延伸になればと思います。
オンラインでのコンサルティングでは、一般の方と医療職の方で情報の格差が大きいのを感じているのが実情です。医療者は医療現場以外の社会に目を向けて、一般の方のヘルスリテラシーを高めてギャップを埋めていくことが大事だと思っています。ギャップを埋めることで、国民全体のヘルスリテラシーの向上を目指したいです。
またSNSを見ていると、一般の方で倫理観が欠けている内容で健康について発信している方がいらっしゃいます。利益のために、キャッチーな言葉を使用して巧みに消費者を引き付けようとしたり、信憑性の低い危険な内容を発信をしたりしている方もいます。資格を持っている医療職の方は、医療倫理を学んでいるので危険な内容の発信は行わず、善悪の線引きはできるはずです。
一人ひとりの健康をサポートするうえでも、正しい倫理観や正確な情報をもっている方が大切だと思います。そのためこの記事を見ている医療職の方は、医療現場以外の場所でも健康のゲートキーパーとして活動してほしいです。
藤戸 淳夫(ふじと あつお)
病院や薬局で働くなかで、なぜ人は病気になるかなど病気の原点に疑問を抱き
興味を持つ。「すべての病は腸から始まる」という言葉から、腸は健康の本質であることに気づき、2022年に「腸内環境や微生物」に着目し『GutHacks』を設立。
現在は健康増進に関する講座や腸内フローラの検査や解説、
パーソナルコンサルティングなどのサービスを展開しマルチに活躍中。