「本当にやりたいこと」にチャレンジできていますか?【岸野 祐 / 作業療法士】

「本当にやりたいこと」にチャレンジできていますか?【岸野 祐 / 作業療法士】

取材日:2024/1/31

岸野 祐(きしの ゆう) 

作業療法士として総合病院、訪問リハビリステーションにてリハビリに従事。
現在は産後骨盤矯正専門院を開業しつつ、Instagramで発信。
健康の先にある美容、さらに健康が人々に連鎖する仕組みを作るべく活動中。

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んにちは、hospass運営局です。“病院はパスする時代”を創造するべく、医療職限定でチームを組み活動を進めています。

作業療法士の資格を持ち産後骨盤矯正専門院を開業、現在はInstagramの発信もされている岸野さんを取材させて頂きました!

記事の見どころ
  • 岸野さんが作業療法士を目指したきっかけは看護師である祖母の一言!
  • 産後骨盤矯正専門院の開業は、女性高齢者のリハビリ提供に、ある疑問を感じたため。
  • 大切なことは、本当にやりたいことができているのかを自問自答し続けること。

作業療法士を目指そうと思ったきっかけを教えてください。

岸野 祐

看護師だった祖母に勧められたのがきっかけです。

もともと医療従事者を目指したわけではなく、一般の大学に進もうと考えて大学受験をしましたが、失敗した経験があります。

浪人することを決めたとき、改めて自分の将来を考えました。看護師だった祖母に進路について相談したところ、勧められたのがリハビリ職でした。

今後日本で高齢化がさらに進むだろうという理由から、自分のなかでもリハビリを仕事にしたいと思ったんです。

理学療法士と作業療法士で迷いましたが、私自身図画工作や細かい作業が好きなので、自分の特性から作業療法士を選びました

作業療法士の専門学校に入学し、順調に勉学に励んでいたのですが、実習で単位が得られず留年してしまったんです。

座学は正解がありますが、実習は患者様の生活や想いが関係するので、自分のなかで座学で得た知識が落とし込めずに悩みましたね。

ですが、せっかくここまできたから諦めたくないと思い、再度自分で知識を現場に落とし込めるように意識をして実習に取り組み、無事卒業できました。

学生時代に学んだ解剖生理学が、今の仕事でも役立っていると思います。

作業療法士になってからはいかがでしたか?

岸野 祐

リハビリが楽しい一方で、もどかしさがあったんです。

卒業後、総合病院のリハビリ科に入職しました。実際に作業療法士として勤務をし始めてから、たくさんの患者様に携わり、研究や勉強会に参加したり、多くを学ばせていただきました。

一方で、患者様のためのリハビリではなく、病院のためのリハビリになっているのではないかと思ってしまうことがあり、もどかしさを感じたんです。

3年ほど病院勤務を経て、患者様の生活に合わせたリハビリがしたいと考え、訪問リハビリステーションに転職しました。

訪問リハは、病院で行うリハビリとは違う楽しさを感じていましたが、自分のやりたいことが明確になり始めました。

その後は訪問リハビリステーションに勤務しつつ、独立のための準備を行い、2023年に独立したんです。

父が経営者をしていたこともあり、元々どこかに勤め続けるつもりはなかったんですよ。

病院と訪問リハビリステーションの現場経験から、改めて自分で何かをやりたいという気持ちを強く持つようになりました。

現在行なっている活動と、始めたきっかけを教えてください。

岸野 祐

産後骨盤矯正専門の整体院です。そのほか、美容整体院として小顔矯正、リンパケアなどを行なっています。

病院でも訪問リハビリでも、高齢者のリハビリテーションに従事していました。私自身の経験では、男性より女性に対するリハビリの方が効果を出すことが難しかったです。

女性はどうしても筋肉が付きにくい特徴がありますが、そもそも骨格がゆがんでいる方が非常に多かったんです。

すでに困っている方のリハビリが必要と考える一方で、このリハビリを行うのは私でなくても良いなと考えるようになりました。

女性のほうが男性よりも長生きします。さまざまな患者様を見て、何もしないで迎える90歳と、早期に身体を調整して迎える90歳では、身体に生じる影響が違うと感じました。

根本からケアをしたいと考えたとき、妊娠・出産が一つのターニングポイントだと気づきました。

妊娠・出産は、皆さんが思っている以上に身体に与える影響は大きいです。そのため、産後骨盤矯正専門の整体院の開業に至りました。

実は、産後骨盤矯正に特化することを決めたのは訪問リハを辞めてからなんです。

まさに背水の陣で準備をしていき、2023年8月から開業してからは、たくさんの20代〜40代前半の女性の方々に来ていただき、徐々に軌道に乗ってきました。

今の事業と集客について教えてください。

岸野 祐

HOTPEPPERとInstagramで集客を行なっています!

集客はHOTPEPPERとInstagramで行なっています。Instagramを始めた当初は、全然勝手が分からずフォロワーも50人ほどでした。

試行錯誤の後に、1000再生の動画が100万再生されるようになり、フォロワーの数も増えて、その数に相関して集客できた形です。

「Instagramを見て来ました」と患者様に言われたとき、ありがたい想いと同時に、本当にInstagramでお客様が来るんだと驚きを感じましたね。

私のなかでは、テレビを見て来たというイメージに近いですね。

またリピータープランを用意していて、ありがたいことに効果があったとおっしゃってリピートされる方もいらっしゃいます。

HOTPEPPERからもお客様に来ていただけましたが、事業を始めてすぐは売上で使用料を賄うことができませんでした。

ですが、私のなかでお金の心配はあまりなく、お金がなくなったら働けばいいと思っていたんです(笑)

理学療法士や作業療法士は、たとえば10年目と伝えるとどこの現場でも重宝される傾向にあります。

独立していたということもプラスの経験として捉えていただけると思っていたので、やりたいこととやっていることを一致させたいと思っていました

国家資格を持つ強みかもしれません。なんとかなるさ精神でここまできた結果、訪問リハビリも楽しかったですが、今が一番楽しいです。

今の活動に詰まっている想いを教えてください。

岸野 祐

健康の先に美容を重ねて、生活の質を上げられる方を増やしたいです。

産後の骨盤矯正だけではなく、美容に関する小顔矯正なども行なっています。

これは実際に自分で体験して、自分が若く見られたり、綺麗になったりすることが単純に嬉しいと感じたことから始めました。

私の院に来られる方は、最初は身体が痛いというお困りから来院される方がほとんどです。

痛みがなくなって身体が整うと、美容にも目が向けられるようになります。

私は健康が土台になり、その先に美容があると思っています。そのどちらも提供できることが、患者様にとっての喜びにつなげられると思っていますし、私自身も嬉しいです。

今の事業を始めて気づいたことは、医療従事者にとって当たり前の知識が一般の方には馴染みがないということです。

たとえば、肩甲骨の回し方一つとってもそうですし、医療職として知識がある以上、知らない方々に伝える責任があると思います。

私が大事にしている言葉のなかに「知らないことを教えられないのは当たり前だが、知っていることを教えないのは犯罪と一緒だ」という言葉があります。

この言葉のように、相手の方が何を知らなくて何を知りたいのか、そこを汲み取ったうえで私の知識を伝えていく。

これが、社会的な責任だと考えています。

ですので、今の活動に一番詰まっている想いは、健康と美と社会貢献、またそれに賛同してくれる方とのつながりです。

社会に与えたい影響を教えてください。

岸野 祐

自分が動くことで誰かが救われ、その救われた方が誰かを守るという連鎖が起こり、この社会でたくさんの方が救われることを期待しています。

Instagramと院を通して、私が知識を伝えている対象はママさんが多く、その方はもちろんですがその先の周りの方々も幸せにしたいと思っています。

近年、ジェンダーについて問われることが増えてきていますが、ママさんが担っている家庭での役割がどうしても大きいのが現状です。

なので、家庭で役割を持っているママさんが健康になることはもちろん、健康に関する知識を知ることで周りの大事な方々も健康にすることができる自分になりましょうと伝えています。

私が個人的に関わることができる人数には限りがありますが、関わった方から連鎖が生まれたら嬉しいです。

今後の展望としては、フランチャイズ展開を考えています。私から学びたいという方にどんどん伝えて、その方にも展開してほしいです。

医療従事者の読者に伝えたいことは、本当にやりたいことができているかを自問自答し続けてほしいということ。

もし何かをやろうと迷っている方がいたら、一歩踏み出してみてほしいです。

私自身も独立するまで10年の歳月がかかったので、迷いや不安があることもよく分かりますが、私が特別だからできたわけではありません。

今働いている組織のなかで、自分のやりたいことやビジョンがあるならば、ぜひチャレンジしてみてほしいと思います。

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