取材日:2023/03/10
こんにちは、hospass運営局です。“病院はパスする時代”を創造するべく、医療職限定でチームを組み活動を進めています。
介護福祉士の資格を持ちつつ、現在は介護福祉士とお笑い芸人として活動されている内田さんを取材させて頂きました!
- 内田さんの感じる介護福祉士の面白さとは?
- 笑い声に包まれる瞬間が最高!
- 「介護あるある」で介護業界を笑いの世界に
介護福祉士になろうと思ったきっかけを教えてください。
夢を追いかけるための選択肢でした。
僕は小さな頃からお笑い芸人に憧れていました。テレビで見るお笑い番組がとにかく好きで、見ては何度も何度もマネをしていたことを今でも覚えています。そのため、学校では覚えたお笑い芸人のマネをよく披露していました。その時に友人が笑ってくれる姿は、まさに僕がお笑いにハマっていく瞬間でした。
ハマってしまった僕は、そのままお笑い芸人を目指すことを決意します。
しかし、母は簡単には許してくれませんでした。女手一つ一人息子の僕を育ててくれた母です。今思えば「息子の夢を応援したい気持ち」と「不安の気持ち」で悩ませてしまったなと思います。
ただ、僕も夢を諦めたくはありませんでした。色々な案を提案し、なんとか母に応援してもらえるように必死だったと思います。すると、母から介護福祉士の提案があり「国家資格でもあり、介護需要は高まりつつあるので、働きながら挑戦ができる」と母からの精一杯の応援を受け取りました。
その話を持ち掛けてくれた時は、すごく嬉しかったのを今でも覚えています。こうして、お笑い芸人の道へ挑戦するために、介護福祉士の専門学校へ進学することになりました。
介護福祉士になってみた感想を教えてください。
利用者様とのコミュニケーションに面白味を感じます。
もともと夢を叶えるために始めた介護のお仕事。当然ながら嫌な業務もあり、最初は「人のシモのお世話をするのは嫌だ」と思っていました。さらに、指導者が厳格な性格だったため、息をする暇もなく忙しい日々を送ることになります。
当時は「早く仕事を辞めてやる」と本気で考えていましたが、夢を諦めることはしたくなかったので、必死に介護の業務に励みました。今振り返れば、厳しい指導をしてくれた指導者にも、あの時辛くても諦めなかった自分にも感謝をしています。
介護福祉士の仕事をしていく中で、辛い思いだけでなく、面白味にも気づいていくことができました。僕が特に面白味を感じる部分は、利用者様とのコミュニケーションをとることです。当然ではありますが、1人1人に違った個性があります。長く生きてこれたからこそ、その個性は色濃く、リアクションも十人十色です。
1人1人の個性に合わせ、自分のコミュニケーション技術を試してみる。声のかけ方、機嫌の取り方、表情の作り方、利用者様に合わせたアプローチをすることが「コミュニケーションの面白味」だと感じています。
介護福祉士の仕事のおかげで、自分が改めて人と話すことが好きなことにも気づけました。最初は夢を叶えるために始めた介護のお仕事でしたが、今はこれからも続けていきたいお仕事です。
芸人活動について教えてください。
笑い声に包まれる瞬間が最高に幸せです。
介護福祉士のお仕事をしつつ、2014年に念願の東京NSCに入学しました。入学当初は、周りのレベルの高さに愕然としたことを覚えています。ネタを披露した経験がない自分に対して、周りは大学の文化祭や落語研究会などで披露することに慣れている人達ばかりでした。
本当に面白い人達ばかりが集まっていたので「これから大丈夫かな?」と不安と焦りの気持ちが出ていたと思います。しかし、自分のやれることを1つずつ努力していき、少しずつ前に出ることに慣れていきました。
実際にお笑いのライブに出演してみると、天国と地獄のような日が存在します。多くのお客さんが見てくれているライブ会場の中で、シーンと空調の音しか聞こえなくなった瞬間は、まさに地獄です。(笑)
逆に、ウケて多くの笑い声に包まれた時には、天国にいるかのように幸せな気持ちになります。僕はこの笑い声を聞いている時間が、1番大好きです。何度すべっても、何度挫けたとしても、この笑い声を聞く度に「あー。芸人になってよかった」と思えます。
まだまだ未熟な僕ですが、これからもっと認知度を高めて、テレビやメディアの出演を増やしていきたいです。そして、多くの人を笑顔にし、笑い声で溢れる世の中をつくっていきたいと思っています。
介護あるあるについて教えてください。
介護福祉士の日常を面白おかしく動画にしています。
新型コロナウィルスが流行し、僕たちのお笑いライブは中止が後を絶たない状況でした。悔しい想いを噛みしめながら「どうしたらいいだろう」と頭を抱える日々が続いていきます。そんな時に、SNSを始めるお笑い芸人が増えていきました。
この流れを逃さないためにも、僕もSNSでの発信を始めることを決意します。しかし、初めての試みだったため、何を発信したらいいか分かりません。必死に僕だけの強みと流行を考え、辿り着いたのが「介護あるある」でした。
「介護あるある」は、介護福祉士の日常を面白おかしく動画にしています。これは、介護福祉士とお笑い芸人の二面性を持つ僕だけの強みです。実際にTiktokを始め、InstagramやYouTube、様々なSNSを使って発信をしてみました。すると、瞬く間にフォロワーさんが増えていき、今ではSNS総フォロワー約3.5万人まで増やすことができています。
発信を続けていると「意外と共感してくれる介護福祉士さんがいるんだな」と気づきました。共感してくださった人達から「共感できて面白いです」「思わず笑ってしまいました」などのコメントを寄せられると嬉しい気持ちになります。視覚的に嬉しい言葉を貰うことができるので、お笑いライブとはまた違った喜びです。
まだまだ、介護福祉士の人手不足は否めません。離職する方も多い業界だと思います。僕は「介護あるある」をこれからも追及していき、少しでも介護業界を明るくしていきたいです。そして、疲れてしまった介護福祉士達へ「介護あるある」を届けていき、クスっと笑って元気の出る動画をこれからも提供していきます。
最後に読者に伝えたいことはありますか?
無理な時は「休憩」と「回り道」が必要です。
自分のやりたいことや夢があり、目標に向かって努力をできる人は、素晴らしいと思います。ただ、それだけが正解だとは思わないで欲しいです。何かを得るために挑戦するということは、何かを犠牲にして取り組まなくてはいけません。
もちろん、上手くいかないこともたくさんあるし、辛い出来事の方が多いと思います。だからこそ「限界だなぁ」と感じたら休憩したっていいんです。無理な道を進むのではなく、遠回りをして別の道へ進んでも問題ありません。
1番大変なのは、自分の心が折れてしまうことです。折れてしまっては、次の一歩を踏み出したくても踏み出せなくなってしまいます。そうならないためにも「休憩」と「回り道」を確保しておくことは、大切にして欲しいです。
そして、気負わずに、軽い気持ちで挑戦できる人が増えればいいなと思います。皆さん、一緒に挑戦する道を長く歩んでいきましょう。
内田 うっちー(うちだ うっちー)
2011年に介護福祉士の資格を取得。2014年東京NSC20期として入学し、夢だったお笑い芸人の活動がスタートする。現在は介護福祉士とお笑い芸人の二刀流で活動しており、お笑いライブの出演や「介護あるある」のSNS発信を通じて、多くの人に笑いを届けている。