取材日:2024/5/7
こんにちは、hospass運営局です。“病院はパスする時代”を創造するべく、医療職限定でチームを組み活動を進めています。
理学療法士の資格を持ちつつ、コンサルティング業、治療家育成のための技術セミナー業、講演活動まで幅広く事業展開をしている小田嶋さんを取材させて頂きました!
- 小田嶋さんが理学療法士を目指したきっかけは、愛情深く育ててくれた曾祖母・祖父母の存在があったため
- 小田嶋さんが経営をするうえで大切にしていることは「人」と「自立」
- シニア層、未来を担う子ども達の笑顔を守るために徒手治療家として本気で取り組み続ける
理学療法士を目指そうと思ったきっかけを教えてください。
大好きな曾祖母と祖父母の存在がきっかけです!
私は、新潟県燕市という洋食器の製造業が盛んな地域で育ちました。
中小企業が日本一多いと言われる地域で両親も会社を経営しており、共働きで忙しく幼少期は曾祖母、祖父母の家で過ごしていました。深い愛情で育ててもらったので、今でも感謝の気持ちでいっぱいです。
曾祖母からは「あなたは人の役に立つ人になるよ」「優しい子だよ」と言われていたので、幼い頃から将来は人の役に立ちたいという想いがありました。
ある日、祖父が着替えているとき、コルセットを辛そうに巻いている姿を目撃しました。大好きな祖父がつらそうな姿をしているという事実がとてもつらく印象に残っていたんです。
それがきっかけで、高校生の頃にはリハビリテーションの仕事に興味を持つようになりました。
リハビリテーションのなかでも理学療法士を選んだのは、曾祖母が入院したときに理学療法士と関わる機会があって身近に感じたからです。
念願の理学療法士になるためにリハビリテーションの大学に進学し、一生懸命勉強しました。技術だけではなく人との関わり方も学びたいと思ったので、認定心理士の資格も取得しました。
転機となったのは、4年次の実習です。実習先の茨城県の病院の先生と、先生の友人で東京の病院で勤務されている方と出会い、お二人とも患者さまを第一に考え、愛を持って接していてこんな大人がいるんだと尊敬しました。
尊敬している先生のもとで働き、人間性も磨きたいと思い、卒業後は東京の回復期リハビリテーション病院に就職しました。
規模が大きい病院で、2014年〜2017年の勤務で15000例もの患者さまを担当させていただき、非常に学びになりました。
整体院を開業したきっかけを教えてください。
尊敬する先生に背中を押していただいたことがきっかけです。
病院で勤務していた頃から、いずれ独立したいと考えていました。自己研鑽は欠かさずにしながら、常に治療家として患者さまにできることを考えて全力で取り組んでいましたね。
あるとき、実習でお世話になっていた尊敬する先生に開業したい旨を伝えたところ、技術は申し分ないと背中を押していただき、2017年に地元新潟県で『整体院晴々』を開業しました。
整体院の名前は、尊敬する祖父の名前からインスピレーションを受けて決めました。加えて患者様と治療家に光が当たるようにという願いも込めています。
実は独立を決めたとき、最初に相談したのは祖父です。経営者として人を大事にし、従業員と真摯に向き合い、成果も出していた祖父を尊敬していたので、最初に祖父に伝えたいと思いました。
そんな祖父から言われた一言が、経営はお金じゃなくて人だということ。今まで以上に周りの方を大切にしようと思いました。
整体院の集客は、ありがたいことに口コミで広がって行うことができました。整体院の開業と同時期にYouTube発信も始めました。現在はInstagram、TikTokでも発信をしていますが、SNSは見ていただく方のニーズに合わせて投稿しています。
現在の事業と始めたきっかけを教えてください。
自分の経験を踏まえ、本当に治せる治療家を育成したいと考えたためです。
現在の事業は整体院の経営のほかに、コンサルティング業、技術セミナー、講演活動などです。
整体院を開業して以来、周りの治療家に頼られたり、質問されることが増えるようになったので、求められることに一つひとつ丁寧に向き合った結果、会社を立ち上げることにつながりました。
私自身、治療家として働くうえで、人間性と技術が必要だと思い、病院に勤務しながらセミナーや自己啓発にもお金をかけて積極的に参加していました。
患者さまに接するなかで、常にできることに全力で取り組んでいました。
ですが技術セミナーに行っても、それだけで治せる治療家にはなりませんでした。
だからこそ、この経験をもとに本当に治せる治療家を育成したいと考えて、技術セミナーを始めることにしました。
もともと人に向けて話すことは好きですし、大学で講演をした経験もあったので、オフラインとオンラインのセミナーの形にしています。
前回オフラインで開催したセミナーでは、ありがたいことに山口県から東京都まで来てくださる方がいらっしゃいます。
2021年には、『合同会社Uni』を設立しました。
現在は整体院を8店舗経営をさせていただき、店舗の院長先生には、あえて業務委託にてお願いしております。
業務委託にこだわっているのは、発生した収益を、可能な限り報酬として渡したいからです。
事業に詰まっている想いを教えてください。
患者さまに愛をもって真摯に向き合うことができる徒手治療家を増やしたいです。
弊社の目標として、医療費削減を掲げています。
2022年の医療費で、75歳以上に使われている金額は18兆円にも上るといわれています。一方で、未来を担う子どもにかけられている教育費などは4兆円程度。この現状は打破しなければいけないと考えています。
そのために我々のような徒手治療家が、目の前の患者さまに愛をもってしっかり治療ができるようになれば、自然と医療費は減っていくと思います。
現状は、どうしても学ぶことや一歩踏み出すことを怖いと感じる治療家が大多数だと思います。
ですが、愛をもって真摯に向き合うことができる治療家が増えれば増えるほど、無関心だった治療家の意識が変わり、今度は学ぶ治療家が大多数になると思います。
たとえるならば、悪玉菌・善玉菌・日和見菌です。
腸内には悪さをする悪玉菌、良い影響を与える善玉菌のほかに、より多くの菌に影響を受ける日和見菌がいます。日和見菌は、悪玉菌が多ければ悪玉菌の働きに影響を受け、善玉菌が多ければ善玉菌に影響を受けます。
治療家も同じです。患者さまに真摯に向き合う善玉菌のような治療家が、学ぶことを避ける悪玉菌のような治療家よりも多ければ、無関心な治療家が一歩踏み出せるようになると思います。
一歩踏み出す方が多ければ、必ず世界が変わると思います。
また、私が経営者として大切にしていることは、チームのスタッフ一人ひとりが自立できるようにサポートしたいということです。
スタッフ各々が治療家としての目的を定め、目的に対して行動し、家族や周りの大切な方々を守ることができたら、豊かになると思っていますし、そのように考えられるスタッフチームを創ることが、経営者としての使命だと考えています。
社会に発信したいことを教えてください!
弊社が掲げる”知識・愛情・還元”のミッションと医療従事者が動き続ける必要性です。
中学生に対して、夢の叶え方セミナーを開催した際、「本当にやりたいことが見つかりました」という嬉しいお声をいただきました。
技術セミナーでは、「今まで治せなかった様な難しい症状が治せるようになりました」というお言葉もいただきました。
一方で、本気でシニア層や未来を担う子どもたちにできることをするためには、私はまだ何者でもないと感じています。
より世間の方に私の話を聞いてもらうためには、もっと事業を展開する必要性があります。人とのご縁を大切にしながら、ゆくゆくは整体院を全国展開したいです。
社会に発信したいことは、弊社が掲げる”知識・愛情・還元”のミッションです。
知識は、治療家が専門性を極めるための技術面での知識だけではありません。
治療家は、患者さまから先生と呼ばれることが多いですが、先生と呼ばれることに驕ってはならない。先生と患者さまである前に一人の人対人です。
本当の意味で患者さまに寄り添うことができるように、コミュニケーションのための知識も必要です。
愛情とは、「誠」であると考えております。他社に嘘をつかない、そして最も大切な自分に対して嘘をつかない。どんな方にも至誠を尽くすことこそが、愛情の根源であると思います。
最後に還元は、自分がいただいた豊かさや勇気を、周りの方にすべて還元するということです。
これらのミッションを、実現し続けたいです。
最後に読者の方に伝えたいことは、自分たちが何のために医療従事者になったのかという目的を忘れないことです。
抽象的でも良いので、何で医療従事者でありたいのかを考え続けてほしいです。
そうすれば、シニア層や未来を担う子どもたちが笑顔でいるために、医療従事者が動き続ける必要があると気づくことができると思います。
小田嶋 庸介(おだじま ようすけ)
理学療法士として整体院の経営、コンサルティング業、治療家の技術セミナー業、講演活動など幅広く従事。シニア層、未来を担う子どもたちの笑顔を守るために活動中。