認知症への理解を広げたい!【栗田 優祐 / 介護福祉士】

認知症への理解を広げたい!【栗田 優祐 / 介護福祉士】

取材日:2024/5/16

栗田 優祐(くりた ゆうすけ)

介護福祉士として勤務しつつ、介護に関する情報をSNSで発信。世間の方の認知症への理解を広げるため、介護をする方の悩みを解決するために活動中。

hospass運営局

こんにちは、hospass運営局です。“病院はパスする時代”を創造するべく、医療職限定でチームを組み活動を進めています。

介護福祉士の資格を持ち、現在も介護福祉士として勤務しつつ、認知症をはじめ介護に関する情報をSNSで発信している栗田さんを取材させて頂きました!

記事の見どころ
  • 栗田さんが介護福祉士を目指したのは、幼馴染と友人がきっかけ
  • 発信の幅が広がっても、現場のリアルを届けるために介護福祉士として働き続けたい
  • 人々の認知症に対する理解を広げて、インクルーシブな世界をつくりたい

介護福祉士を目指そうと思ったきっかけを教えてください。

栗田 優祐

介護職として活躍していた幼馴染と友人がきっかけです!

友人から介護の資格取得のために学校に行くことを聞いて介護に興味を持ちました。

もともと幼馴染が介護職として活躍していたこともあり、友人と一緒にニチイ学館の講座で介護の資格取得を目指すことを決めました。

人と関わることが好きだったのですが、高齢者と関わる機会がなかったので、ふと高齢者の生きる世界を知りたいと思ったんです

実習と現場のギャップとしては、現場では忙しさに追われて、実習で学んでいることほど丁寧に対応しきれていないというもどかしさがあったことです。

一方で、良い意味でのギャップとして、認知症の介護は、座学で決まったやり方を学んでいたのですが、現場では十人十色、今日の対応と明日の対応が違うことを感じました。

一人ひとりに合わせた介護を提供できるのは楽しいですし、私のやりがいにつながっています。

実は、友人から介護の話を聞いたときの私の仕事は、ダンススタジオの経営です。高校生からダンスを続けており、大学を卒業した後、ダンスの大会を運営する会社に就職しました。

6年ほどダンサーとして活動していたなかで、先輩からダンススタジオのオープンの声かけをいただき、スタジオのオープンに携わりました。

ダンス業界では、スタジオオープンが一つの目標になっていることが多く、ダンスに関して一つの区切りができていたタイミングでしたね。

現在の活動内容と始めたきっかけについて教えてください。

栗田 優祐

TikTokで介護に関する発信を行なっています。

2020年にコロナ禍で外に出歩けなくなったことがきっかけで、TikTokを利用して介護で使う漢字や認知症に関する知識、ニュースを動画にして発信を行なっています。

自分が外出先でコロナに感染し、さらに利用者さまに感染させてしまうリスクを考えると、外に出ることはできなかったです。人と会わずに何かできることはないかと思い、ダンスをしながら介護に関する発信をスタートしました。

自分が介護の現場で働くなかで、覚えられないことや難しいことを発信していたところ、投稿を見ていただける方が増えていきました。

介護現場で使う漢字のクイズをしていたところ、インフルエンサーのあぃりDXさん(元看護師)の目に留まり、アカウントを紹介いただいたことで一気にフォロワーの数が増えました。

認知症の方との関わり方や介護の具体的な方法を投稿し始めると、DMでの反響が大きかったです。DMで具体的な相談に乗りながら、投稿内容も実際に寄せられた悩みが解決できるように作成するようになりました。

私が発信を始めた頃は、介護関係の発信をしていたアカウントは10人程度でした。私の発信を見た介護関係者や、実際に家族の介護に携わっている方から「こんなに楽しい介護の動画を作ってくれてありがとう」と言っていただけて、すごく嬉しかったですね。

今の活動に詰まっている想いを教えてください。

栗田 優祐

社会の方の認知症への理解を深めたいです。

メディアでも認知症が取り上げられることは増えてきたと思います。ですが、認知症を知らない方が情報を得ることで、かえって認知症を怖いものとして捉えてしまうことが多いです。

なので、医療従事者が知っている情報を、一般の方にも知ってほしいと思っています。正確な情報を知っていることで、認知症が身近なものだと感じられると思うので、分かりやすく伝えることを大切にしていますね。

もし、一般の方が認知症の症状を知っていれば、認知症の方を救うことができる方が増えると思います。たとえば、道を徘徊している高齢者を見かけたときに、変わった方がいるなと避けるのではなく、助けることができるはずです。

認知症を患っている方は、常に不安を抱えています。認知症に理解を示して声をかけてくれる方がいるだけで、認知症の方も安心して街の中で生活することができると思います。

これは認知症に限らず、障害を持った方も同じです。障害や病気を患ったからすぐに施設や病院に行くのではなく、障害や病気を理解し合って支え合うことができる、インクルーシブな社会になったら良いなと思っています。

今後の展望について教えてください。

栗田 優祐

SNSの幅を広げて、より多くの方に情報を届けたいです。

今後の活動として、SNSの幅を広げたいです。最初にTikTokを選んだのは当時流行っていたコンテンツだったからで、動画編集にも興味があり、TikTokは編集がしやすかったことも選んだポイントです。

InstagramやYouTubeにも動画を発信しているのですが、まだ工夫の余地があると思っています。InstagramならInstagramを使うユーザーに届きやすい形のコンテンツを作成したいですし、SNSの媒体に応じて試行錯誤を続けたいです。

発信活動の幅が広がったとしても、介護福祉士の仕事が好きなので、これからも続けていきます。それに、現場を離れると正しいリアルな情報の発信ができなくなると思います。自分が現場で見たことや感じたことを吸い上げて、これからも発信し続けたいです。

加えて、介護をしているわけではない子どもたちにも、認知症の実際を伝えたいと思います。介護の資格取得の講座を受けて感じたことの一つが、受講者の年齢層の高さです。

自分の親の介護に生かすために資格取得を決めたという方もいらっしゃいました。そのため、若い世代にも認知症について知る機会を作りたいです。

中高生が認知症と耳にしたときに、理解してお家で優しく接することができるようになるなら、自分が伝える意義があると思います。

メディアを通して社会に伝えたいことを教えてください!

栗田 優祐

認知症をケアしている方々の悩みを解決したいです。

私の発信を見た方から、「暗い印象の介護が明るいものに見える」という声や、「誰に相談したらいいのか分からなかったから助かる」など認知症を支える方からのお声もいただきました。

認知症を患っている方の介護をする方々は、日々迷い戸惑いながら向き合っていると思います。私の発信を、日々認知症と向き合っている方が介護の悩みを払拭するために使っていただけたら嬉しいです。

最後に、この記事を見ている方のなかに、もし何かやりたいことに迷って進めないという方がいらっしゃるのであれば、環境に負けないでほしいです。

やりたいことがうまくいかないと悩んでいたら、「環境に負けるな。」と中学時代の恩師からお言葉をいただきました。

自分がやりたいことに対して一歩踏み出せない、やりたいことができないことを家族のせいや職場のせいにしてしまう方が多いと思います。ですが、環境は関係ありません。

何かやってみることで環境が変わることはありますし、環境が悪いならば、むしろ一歩踏み出して自分から環境を変えてみるのも一つの選択肢です。

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