腎臓病で悩む方を笑顔にしたい!【磯崎 祐聡 / 看護師】

腎臓病で悩む方を笑顔にしたい!【磯崎 祐聡 / 看護師】

取材日:2024/5/8

磯崎 祐聡(いそざき ゆうと)

看護師の資格を持ちつつ、腎臓病療養指導士と腹膜透析認定指導看護師も取得。資格を生かして院内外問わず幅広く活動しており、現在はyoutubeを通して腎臓病の方のための情報を発信している。

hospass運営局

こんにちは、hospass運営局です。“病院はパスする時代”を創造するべく、医療職限定でチームを組み活動を進めています。

看護師の資格を持ちつつ、現在は腎臓病についてのyoutube配信に注力している磯崎さんを取材させて頂きました!

記事の見どころ
  • はじめは理学療法士を目指していた磯崎さん。看護師になろうと思ったきっかけとは
  • 登録者14万人超え!youtube配信をはじめた理由とは
  • 腎臓患者さんへの偏見をなくしたい!活動に込められた熱い想い

看護師を目指そうと思ったきっかけを教えてください!

磯崎 祐聡

病院見学で看護師の方が働いている姿を見たことがきっかけです。

高校時代にお付き合いしていた彼女が看護学部を目指しており、病院で働くことを意識し始めました。

身内に医療職はおらず、小さい頃から健康優良児で病院のお世話になることも少なかったので、それまで意識したことはなかったです。

彼女が看護師なら、私は理学療法士になろうと考えていました。ですが、病院見学で看護師の方が働いている姿を見て、患者さまにとって一番身近な看護師に惹かれるようになったんです。

大学に入学してから勉強や実習は苦ではありませんでしたね。大変だったのは、附属病院がない学校だったので、実習先まで2時間かかることくらい。

勉強や実習は、楽しかったです。もともと化学や生物、物理が好きだったのもあり、人の身体の仕組みを知れることにワクワクしていました。

大学の教員から看護師の関わりが患者さまに良い影響を与えられると教えていただき、より看護師への想いが強くなりました。

大学卒業後の経歴を教えてください。

磯崎 祐聡

急性期病院に勤務し、その傍らでyoutubu配信を始めました。

大学卒業後は地元の急性期病院へ入職し、腎臓・糖尿病内分泌・血液内科の混合病棟に配属されました。

実際に憧れの看護師として働いてみると、思っていた感じと違うなとリアリティショックを受けました。当時は厳しい新人教育が当たり前で、日勤のはずなのに帰宅時間が日付を跨ぐことが多々あったんです。

業務後の振り返りに6時間かかることもありました。疲れていて、先輩が何を言っているのかも分からなかったですね。看護師の世界って怖いと感じました。全部が全部そうではないと思いますが、こういう世界なのかというのが第一印象でしたよ。

もともと看護師は、患者さまのための仕事だと思っていましたが、実際は忙しすぎて業務をこなすだけになっていたんです。

自分のやりたいこととは違うと感じつつ、数年を過ごしました。制度が目まぐるしく変わっていくなかで、やらなくてはならない業務もどんどん増えて、やりたいことが年々できなくなっていく感覚でした。

そんななか、忙しい中でも何かやりたい。自分に知識をつけたら看護らしいことができるのではないかと腎臓の勉強を始めたんです。そして、腎臓病療養指導士と腹膜透析認定指導看護師という資格を取得しました。

2020年には、youtubeでの情報発信を開始しました。現在は腎臓病で悩む方がオンラインで繋がることができる患者会の立ち上げを企画しており、クラウドファンディングを行い、年内にサービスを開始する予定です。

現在の活動を行おうと思ったきっかけはありますか?

磯崎 祐聡

病院で勤務するなかで、腎臓病の方の日常生活に寄り添った情報を発信する必要性を感じました。

慢性腎臓病の患者さまが増えていますが、情報が少なくて困っている患者さまが多いと感じました。

実際に患者会のアンケートを見てみると、「自身の生活に踏み込んだ情報が欲しい」という意見があり、これは看護師が強い分野だと感じたんです。

youtubeだったら、どのように日常生活を送れば良いかのアドバイスを大人数に届けられるので、社会貢献の一環として配信を始めることを決意しました。

配信や動画編集は初めてだったので、動画での学習を中心に独学で勉強しました。現代はスマホやパソコンがあれば動画で学ぶことができるので、ありがたい時代ですよね。

youtubeを始めて1年は、チャンネル登録者も100人くらいしか増えず苦戦しました。

どんな情報が求められているのかを突き詰めて考えて、サムネイルを工夫し、ペルソナ(サービス対象の人物像)を意識し始めると、1年間で3万人、4万人とチャンネル登録者が増えていき、現在では14万人を突破しました。

ただ、視聴者に受けるコンテンツは限られていると感じたんです。

血糖値と腎臓は関係が深いのですが、血糖値が気になっている方は、腎臓がテーマだと動画を視聴しないんです。その逆も然りですね。

コンテンツを考えることと仕事の両立は大変ですが、「勉強になった」というお声をいただくと頑張ろうと思えます。

磯崎 祐聡

視聴者の声を聞き、患者会を立ち上げようと決心しました。

患者会を立ち上げようと思ったのは、視聴者の声がきっかけです。

今も腎臓の患者会は多数ありますが、透析を受けている方が対象の患者会が多いんです。活動も年に数回だったり、コロナ禍以降活動していなかったり。

透析が必要になる前に知識を身につけられて、コミュニティとのつながりもできるアクティブな患者会が必要だと思いました。

イメージしているのは、予防に特化した情報を収集できる患者会です。半年に一回集まってワークをしたり、zoomで情報交換したりして、予防の意識を高めることで悩みを解決できたらと思っています。

今後動いていきたいことはありますか?

磯崎 祐聡

今後もオンライン・オフライン問わず教育活動をやっていきたいです!

これまではYouTubeで話したり、ときどきリアルで視聴者の方や医療従事者の方と話したりするくらいしかおこなってこなかったので、活動の幅を広げていきます。

たとえば、地域密着で慢性腎臓病予防の暮らしの保健室や教育活動、一緒に全国で暮らしの保健室をやってくれる医療従事者コミュニティ、腎機能コーチングなどはここ1年以内に形にして軌道に載せていきたいなと考えています。

SNSの良いところは、1つの動画が多くの方に届くところかなと思います。しかし、それだけだとこれからもっと健康に意識をしないといけない30〜40代には、特に腎臓の分野は届きにくいので、オフラインで工夫をしてちょっとずつ認知させていきたいなと。

自分一人だと何年かかるんだということになるので、医療従事者の仲間を集め、お互い切磋琢磨して、それぞれSNSの活用もうまくなればもっとCKDの認知度は上がっていくのではと考えています。

そのうち「あいつは変なことしている!!!!」なんて言われそうですが、自分が必要だと思ったことをとにかく全部やっていくという感じですね。

ほかにもいろいろやりたいことはありますが、昨日の自分よりも成長できる活動を今後もやっていきたいです。

活動に込められた想いを教えてください。

磯崎 祐聡

看護で患者さまの力を最大化したいという想いです。

看護師は、もっと何かできるんじゃないかという考えが根本にあります。病院以外でも看護師の力は使えるはずなんです。

毎日患者さまの身の回りのお世話や薬剤管理に追われたり、熱量やストレスに見合わないお給料だったり・・・何のために仕事をしているのか迷っている方が増えていると感じます。

今ある知識を別の環境でも発揮すれば、価値を最大化できるはずです。私自身、youtube配信を始めてからそれを体感しています。

自分の力を生かして、生き生きと働く看護師が増えることで、患者さまの力も最大化できると思います。

一歩外へ踏み出したい方々のために、活動を通して一般の看護師でもここまでできるんだよということを示していきたいです。

活動を通して社会へ与えたい影響を教えてください。

磯崎 祐聡

腎臓病患者さまの生きづらさを軽減していきたいです。

腎臓に限らず、糖尿病や認知症もですが、自業自得や扱いにくい方といったマイナスなイメージを持たれていると感じています。医療従事者と話しても、医療従事者自身がマイナスなイメージを持っているんですよね。

なかには避けられない理由で患った方もいますし、透析になってから自分と向き合って生きている方もいます。

そういう情報こそ広まるべきなのに、なかなか世に出てこないんです。患者会やyoutube配信を通して、それを世の中に広めて偏見を無くしていきたいです。

完全に無くすことが難しいとしても、対応の仕方などを伝えることができたらいいなと思っています。

腎臓病で悩む方が、少しでも笑顔で幸せになれるように、これからも活動を続けていきます。

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