地域看護の経験を活かして、介護美容を広めたい!【寺田 眞弥 / 看護師】

取材日:2024/05/16

寺田 眞弥(てらだ まや)

看護学校を卒業後は訪問看護ステーションへ就職。より地域に貢献するため、地域包括支援センターで活動。地域看護師として働いた経験を活かし、高齢者のQOLを高めるべく介護美容事業を展開している。

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こんにちは、hospass運営局です。“病院はパスする時代”を創造するべく、医療職限定でチームを組み活動を進めています。

今回は看護師、保健師の資格を持ち、現在は地域看護の経験を活かしつつ、介護美容事業を展開している寺田さんを取材させて頂きました!

記事の見どころ
  • 祖母の生き様を見て目指した「地域看護師」
  • 介護美容が高齢者のQOLを高める?
  • 安心して介護美容を受けられる環境を作るために!

看護師を目指そうと思ったきっかけを教えてください

寺田 眞弥

地域で暮らすことを望む高齢者を支える仕事をしたいと思いました!

私は高校2年生の時に、大切な祖母を亡くした経験があります。祖母は病院が好きではなく「最後まで自宅で過ごしていたい」と望んでいました。そのため、急変して病院に運ばれて、数日で病院で亡くなってしまったことがとてもショックだったのを覚えています。

そんな祖母の姿を見て「地域で暮らすことを望む高齢者を支える仕事をしたい」と思うようになり、看護師の道を進むことを決めました。

そんな強い想いで入学してみましたが、看護学校の洗礼とも言える実習に心が折れたことがあります。特に病棟看護の実習では、業務量が多く、毎日ついていくだけで精一杯。自分が思い描いていた看護とのギャップに悩むことがありました。

寺田 眞弥

患者さん1人1人とじっくり向き合う時間が少なく、看護の本質を見失いがちだったと思います。

そんな中でも訪問看護の実習では、地域で生活する人々と密接に関わることができました。まさに「これが看護の本質だ」と感じる瞬間が多く、より地域に密着した看護を提供することへの強い意欲を持つようになったかと思います。

患者様の生活環境に寄り添い、1人1人のニーズに応じたケアを提供することには、もの凄くやりがいを感じました。さらに、患者様との信頼関係を築くことで、質の高いケアを提供できる場になると確信した瞬間にもなりましたね。

この訪問看護実習での経験が大きく左右し、1年目から訪問看護師として働くことを決意します。なかなか勇気がいることではありましたが、看護業界では稀に見る「新卒訪問看護師」として地域に貢献する道を進みました。

臨床現場に出てどのように感じましたか?

寺田 眞弥

地域看護を提供できた経験は、私の誇りです。

新卒で訪問看護師として働き始めましたが、現場は学生時代の理想とは異なる現実を突きつけるものでした。初めは先輩と同行しながら訪問を行っていましたが、当然のことながら徐々に1人で対応する機会が増えていきます。

1人で訪問することに大きな責任感と不安が伴い、プレッシャーを感じることも多かったです。それでも、じっくりと向き合う時間が確保され、1人1人の希望に寄り添いながらやるお仕事にはやりがいを感じていました。

寺田 眞弥

ただ、私にはどうしても責任が大きすぎましたね。

多忙な業務とプレッシャーの中で体調を崩すこともあり、一度は看護師の仕事から離れることを決意しました。半年ほどアパレル業界に飛び込みましたが「私は地域で暮らしたい高齢者を支えたいんだ!」と初心を思い出し、もう一度夢を追いかけることを決めたんです。

それから地域で働くことについて今一度よく考え、情報収集を行いました。そんな時に、大学でお世話になっていた教授から「地域包括支援センター」でのお仕事を進められることになります。

地域包括支援センターは地域に密着した看護を提供する場であり、私が目指していた方向性に非常に合致していました。そのため、地域包括支援センターでの就職活動を開始し、再び看護職に戻ることができたんです。

私にとって多くの困難を伴いましたが、それ以上に地域看護の本質を深く理解し、自分の進むべき道を見つけるための貴重な学びとなりました。この経験こそが、今では私の誇りです。

現在の活動について教えてください

寺田 眞弥

地域看護師としての経験を活かし、介護美容とトラブルフットケアのどちらも行っています!

私なりの「地域看護」を追及している時にInstagramの広告で、介護美容を学べるスクールを知りました。自分自身が好きな美容と高齢者支援を結びつける道を見つけ「私の理想はここにあるかもしれない!」と介護美容の業界へ飛び込んでみることにしたんです。

介護美容事業は高齢者の生活の質を向上させるため、美容ケアを提供することを目的としています。介護美容であれば、看護師として高齢者に寄り添ってきた経験を活かしながら、多くの人の生活の質の向上を高められると思い始めました。

寺田 眞弥

現在は、ネイルケアを中心とした介護美容とトラブル爪などのフットケアの二刀流で行っています。

介護美容の事業ではネイル、エステ、メイクセラピーなど、幅広く対応が可能です。いつまでも女性が女性らしくあるために、丁寧に対応をさせていただいております。サービスを受けた方の笑顔を見ると、私自身も幸せな気持ちでいっぱいです。

それに加えて、看護師としての経験を活かして、巻き爪やトラブル爪などのフットケアも含めて活動中しています。高齢者の見た目を整えるだけでなく、健康維持や生活の質向上をすることが目的です。

また、介護美容に関心のある初心者に向けてセミナーも実施しております。私が今まで「地域看護師」として培ってきた経験を活かし、介護美容のセラピストとして現場で活躍できる人材を育成していくために挑戦中です。

これからも「安心して介護美容を導入できるような環境を作りたい」という想いを伝えていきたいと思います。そして、高齢者の生活の質を向上させるため、介護美容を通じて活躍していきたいです。

活動に詰まっている想いを教えてください

寺田 眞弥

介護美容を多くの人に届けていきたいです。

私は訪問看護や地域包括支援センターで「地域看護師」としての経験を築いてきました。この経験は他の医療従事者では得られない、地域ならではの視点を養うことができたと思います。

ご家族との信頼関係の構築、地域ならではリスク管理、地域に根ざしたコミュニティなど、高齢者の方々が住み慣れた地域で安心して暮らせる環境を作りをすることが可能です。これは他の介護美容で働いている人には持っていない、私だけの武器だと確信しています。

また、医療従事者だからこそ高齢者の身体的なニーズや健康上のリスクを的確に把握し、病気やケガのケアを行うことも得意です。そのおかげもあり「安心して任せられるわ」と地域の高齢者やその家族、同じ同業者の方々からも信頼をして、お仕事を任せていただいております。

ただ、介護美容の業界では、私のように医療従事者としての知識や経験がない人が多いのも現状です。だからこそ、もっと介護美容が安心して受けられるサービスだと普及していくためにも、伝える側としての発信も行っていきたいと思っています。

セミナー講師やInstagramを始めとして、サービスを提供する側が自信を持って届けられるような人材を育てていきたいです。そうすることで、サービスを受ける側も届ける側も「安心」しながら介護美容に取り組んでいけると思っています。

私は私自身の強みである「地域看護」の経験を活かして、介護美容を多くの人に届けていきたいです。そして、多くの高齢者が安心して地域で暮らせるように支えていきたいと思っています。

これからのビジョンを教えてください

寺田 眞弥

介護美容の普及のために、提供者と伝達者のどちらも行っていきます!

私は介護美容のサービスを有料老人ホームなどの施設だけでなく、地域のサロンや個人宅などさまざまな現場に届けたいと思っています。

しかし、現状の利用していただいている方は、金銭的に余裕のある高齢者の方がほとんどです。難しいことではありますが、この壁を突破していきたいと考えています。

そのためにも私自身のスキルアップ、介護美容の認知拡大、地域や行政との連携など、私にできることを1つ1つクリアしていくことが必要です。これは、地域看護師として経験してきた私だからこそできる、1つの使命だと思って取り組んでいます。

そう熱意をかけられるほど「介護美容」は素晴らしいサービスです。介護美容がより多くの人々に利用していただくことができれば、介護現場や地域社会全体にポジティブな影響を与えることができると信じています。

そんな素晴らしい「介護美容」のサービスを多くの人に知っていただくためにも、私が先陣を切って発信していきたいです。私を通じて「介護美容を知れて良かったわ!」と感じられる人が、これからも増えると嬉しく感じます。

ぜひ、興味のある方はご気軽にお声かけください。高齢者の方々の笑顔と安心をお届けいたします。

記事を通して読者に届けたいことを教えてください!

寺田 眞弥

「自分らしさ」を大切にしてほしいです。

私は「変わり者」というレッテルを受けて来たと思います。新卒から病院勤めではなく、訪問看護や地域包括支援センターで働くことを選んできました。自分らしさを大切にしてきましたが、周囲からの非難の目はもちろん、自分の選択に自信がなくなる日もあったかと思います。

それでも今振り返れば後悔は1mmもありません。「地域看護師」としての強みを手に入れて、大好きな「介護美容」という職業に出会うことができた。こんなにも最高なことはありません。

人と違うレールに進むということは「変わり者」というレッテルを受け入れなければならないし、怖いことだと思います。それでも、自分のやりたいことがあるのであれば「自分らしさ」を失って欲しくないです。

自分を信じて進んだ先にこそ、明るい未来が待っていると思います。また、自分が明るく、元気に活動することで、サービスを受ける側、一緒に働く仲間にさえもポジティブな影響を与えられると思います。

そのためにも私は「私らしさ」を追及して、日々挑戦中です。ぜひ「自分らしさ」を大切にして、ワクワクする方へ挑戦していきましょう。

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