野球を楽しいと思えるきっかけを作りたい!【六車 有志/ 理学療法士】

取材日:2023/04/26

六車 有志(むぐるま ゆうじ)

学生時代の怪我で野球を断念した経験から、理学療法士を目指す。臨床では患者像に大きなギャップを感じ、野球の現場に携わる。投手に特化したノウハウを学び、投手のパフォーマンスを向上する事業を行いたいと考える。現在はスポーツクリニックで勤務する傍ら、様々な投手指導に特化した事業を展開してマルチに活躍中。

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こんにちは、hospass運営局です。“病院はパスする時代”を創造するべく、医療職限定でチームを組み活動を進めています。

理学療法士の資格を持ちつつ、スポーツクリニックで勤務する傍ら、様々な投手指導に特化した事業を展開している六車さんを取材させていただきました!

記事の見どころ
  • 六車さんは学生時代の怪我をきっかけに野球人生を諦め理業療法士を目指した!?
  • 臨床でのギャップが現在の事業のきっかけになった?
  • 日本の野球人口を増やしていくために野球の魅力を伝えていきたい。

理学療法士を目指したきっかけについて教えてください。

六車 有志

野球で悩んでいる方たちを助けたいと思ったからです。

僕は小学生から野球を始めて、高校生まで投手としてプレーしていました。学生時代は怪我が多く、野球肩になり痛みを我慢して練習していたんです。そのため、球速やコントロールが安定せずパフォーマンスが低下した状態が続きました。

病院や接骨院に通院しましたが、電気治療を受けたり医者から「安静にしてください」と言われるだけで、悔しい思いをしていたことを覚えています。「なぜ痛みが出ているのか、どのようなトレーニング方法が効果的なのか」具体的な解決策が分かりませんでした。

その後も自分の思うようなプレーができなかったです。大学で野球を続けるか葛藤しましたが、怪我の影響から断念しました。

それでも将来は「野球には携わっていたい」と考えていたんです。皆さんには野球を心の底から楽しんで欲しいですし、僕のように悩んでいる人を1人でも多く助けたいと思い、理学療法士の道へ進みました。

理学療法士の専門学校に入学後は、勉強に遅れをとらないように必死だったと思います。今まで野球中心の生活だったために同級生との学力には差があり、このままでは卒業できないと焦りが強かったです。

そのため学生寮に住んでいた同じクラスの友人に「勉強を教えてほしい」と頼みました。それから毎日コツコツと3年間続けた結果、クラスの中で1番の成績になることができたんです。卒業式では成績が優秀だった方に送られる校長賞をいただき無事に卒業することができました。

現在の事業を始めたきっかけを教えてください。

六車 有志

自分が思い描いていた患者像と大きく違っていたからです。

野球で怪我をした方のリハビリを行いたいと考えて、スポーツ整形にも取り組んでいる整形外科病院に入職しました。しかし、臨床では骨折をした高齢の方が多く、自分が思い描いていた患者像と大きく違っていたんです。

そのため、整形外科クリニックへの転職することを決意しました。また、仕事終わりや空いている時間を使って、とにかく野球の現場に足を運んでいたかと思います。

野球の現場では、臨床で携わることができなかった投手のパフォーマンスを向上させることに特化した指導が行えるようになりました。そのことで全国で悩んでいる投手の方たちにノウハウを指導したいと思います。

投手だった経験や悩んでいる方のパフォーマンスを向上するサービスを提供したいと考えて、投手にフォーカスした事業を行おうと思ったんです。

また、僕は昔から投球動作の勉強会やセミナーに参加していました。だからこそ、みなさんが悩んでいることを理解できますし、自信を持って投手に関することを伝えることができると思います。投手に関する悩みであれば誰にも負けない自信があるので、悩んでいる方はぜひお声掛けください。

現在の事業内容にについて教えてください

六車 有志

スポーツクリニックで勤務する傍ら、様々な投手指導に特化した事業を展開しています。

投手のパーソナル指導では「PITCH DESIGN KAGAWA」の代表をしており、投球動作分析から選手1人ひとりに合った投球動作指導を提供しています。これまでに延べ1万人の投手を指導してきた実績があり、140km/h以上投げる投手を数多く指導してきました。

野球肘や野球肩といった怪我のリスクを下げつつ、投球動作に必要な身体機能を高め、パフォーマンスを上げる投球動作指導やトレーニングを行っています。基礎から投げ方を教わりたい、投手のレベルをさらに上げたいと思っている方にお勧めです。

直接指導できない方に関してはオンライン指導を実施しており、投球動作指導を行いフォームの確認や修正を行っています。

また、野球の現場に足を運ぶきっかけとなった高橋野球塾ピッチングクリニックでは今でも活動を続けているんです。元プロ野球選手の高橋 浩司さんが塾長を務めており、プロの世界で厳しい経験をしたことを子どもたちに伝えています。僕は専属コーチとして基本や基礎を大切にしながら、1人ひとりに合った投球指導を行っているんです。

その他にはInstagramで投球動作に関する情報発信やセラピストに向けてセミナーを開催しています。投手で悩みを抱えている方に僕の活動や想いを届けているんです。

現在の事業に詰まっている想いを教えてください。

六車 有志

野球が楽しいと感じられるように手助けや指導をしたいです。

野球は楽しいスポーツですが、不調な状態が長期間継続することで辛くなり辞める方もいます。投手は自分からゲームを主導するポジションで、パフォーマンスが低下すると孤独を感じることや冷たい視線を浴びることがあるんです。

そのよう投手の方に、野球が楽しいと感じていただけるきっかけを作れるための手助けをしたいと思います。僕の指導がきっかけで野球が楽しいと感じていただくことや、もっとうまくなりたいと前向きになってくれる選手が増えてくれると嬉しいです。

また、活動を通してプロ野球選手とお話をさせていただく機会がありました。その方は小学生、中学生、高校生のときはエースとして全然活躍できず3、4番手だったんです。それでも夢を諦めずに努力を続け、大学生のときに上達してプロ野球選手になりました。

この話を聞いてから「僕自身も野球を諦めずに続けていたら・・」と思い、何度も後悔したこともあります。だからこそ教え子たちには、私の想いの分まで夢を叶えていただきたいですね。

活躍している選手には僕みたいな経験をしてほしくないという想いがあり、野球を諦めず続けてほしいです。僕が野球で叶えられなかった想いを、将来の可能性のある選手たちに伝えたいと思います。

そのため最終的な目標はパーソナルジムを運営して野球選手のトレーニングや、フォーム指導を行い香川県のレベルを上げていきたいと思います。香川県からプロ野球選手を輩出できるよう育成していきたいです。

事業を通して社会にどのような影響を与えたいですか?

六車 有志

野球に関わる全ての方に自分の想いを届けたいです。

野球というスポーツの素晴らしさや楽しさをもっと全国の方に知ってほしいです。また、野球はチームプレイを通して、人としても成長できるので小さいお子様にお勧めのスポーツだと思います。

現在、日本の野球人口は減少傾向にあるので、野球の魅力が伝わるような活動をすることで社会に影響を与えられる存在になりたいです。

現役の野球選手、保護者、指導者で色々な悩みがあると思います。そのような方たちの力になりたいと思っているので、僕の活動をどんどん広げていきたいです。野球に関わる全ての方に自分の想いを届けられたらいいなと思います。

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最後にhospassの読者に一言お願いします。

理学療法士は素敵な仕事ですが、勤務をしていると3〜5年で働き方に違和感を感じる方もいるかもしれません。特に僕のように、スポーツの世界を夢見ている方はギャップが生じやすい業界なのかなと思っています。その違和感に気づいたときはスルーしないでほしいです。

自分の将来を考えたときに理学療法士の経験、スキル、知識を組み合わせることで将来の選択肢が広がると思います。現在、自分のやりたいことや趣味があれば伸ばしていけるよう行動してほしいです。

僕の活動を知っていただくことで、若い理学療法士の方に勇気を与えたいと思います。

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