取材日:2024/7/5
こんにちは、hospass運営局です。“病院はパスする時代”を創造するべく、医療職限定でチームを組み活動を進めています。
歯科医師の資格を持ちつつ、現在はご主人とともに医療従事者の復職支援事業を展開している小野さんを取材させて頂きました!
- 小野さんが歯科医師を志したのは、家族が歯科医師として活躍していたから
- 復職支援事業の立ち上げには、歯科医師のご主人の想いが込められている
- ブランクがある方が1歩踏み出せるようにサポートしたい
歯科医師を目指そうと思ったきっかけを教えてください。
父が歯科医院を開業していたことがきっかけです!
私の父は名古屋で歯科の開業歯科医院をしており、患者さまの治療をしている姿を幼少期から見て育ちました。
実家で歯科助手としてのバイト経験も積んでおり、父が口腔内の痛みを改善することで、患者さまから喜ばれている姿を見て、私自身も歯科医師を志しました。
また、私には一緒に父の仕事姿を見て育った兄がいます。学生時代から2歳上の兄の歯科医師を志す姿を見ていたので、歯科医師になりたいという想いには、兄から受けた影響も大きかったですね。実家の歯科は、その兄が継いでいます。
加えて、私自身も幼少期に歯科矯正治療を受けて、嚙み合わせの大切さを身に染みて感じていたことも、歯科医師を目指した理由ですね。
実際に歯科医師として勤務をされていかがでしたか?
2拠点生活を行ないつつ、充実した日々を送っていました。
歯科大学を卒業後1年は、歯科大学附属病院で経験を積んだんです。この期間は、開業歯科医院とは違った歯科医師としての働き方を知ることができた貴重な時間でしたね。
その後、開業歯科医院に勤務するタイミングで結婚をしたことで、名古屋の開業歯科医院と主人がいる大阪の2拠点生活を2年間続けました。2拠点を選択したのは、名古屋での開業歯科医院で学べることが多く、兄からも学ぶことができていたからです。
第一子を出産した後は、実家の開業歯科医院で勤務を開始しました。勤務をしている間は実家の母に子どもを見てもらい、週末は大阪に帰宅する形で。
第二子を出産した後は、名古屋ではなく大阪市内で勤務を希望していて、たまたま歯科検診の先生からお声がけをいただき、勤務先が決まりました。
託児所を設置してくださったこともあり、キャリアを続けることができましたね。また、訪問歯科に女性歯科医師の需要があると知って、訪問歯科医としても勤務しました。
そして第三子の出産し、3人の子どもの子育てをしながら常勤で歯科医師として働くことが難しいと感じていたころ、主人に事業の相談を受けました。
現在の事業内容と始めたきっかけを教えてください。
主人に相談されたことがきっかけです!
2024年4月に、主人とともに医療従事者のための復職・転職のサポート事業を立ち上げました。
私の主人は、10年以上歯科衛生士学校で教鞭をとっています。そこで教育に携わった卒業生たちも、結婚や出産をきっかけに復職せずに辞めてしまうという話をよく耳にしたそうです。
それが理由で、日頃から担当者がこの業界のことをよく分かってくれる歯科専門の人材紹介業者はないものかなと思っていました。
ないなら自分たちでやるしかないという想いから、転職.復職支援ができる紹介会社を設立することを決意しました。
私自身も3度の妊娠・出産を経験したので、ブランクが空くことによって新たな人間関係の構築、治療に対する不安があることは痛いほど分かります。
共感できるからこそ、悩んでいる方のサポートができればという想いがあるんです。
私が求職者の方と面談を行ない、希望の働き方のカウンセリングを担当し、主人が歯科医院側と交渉します。
求職者と私、開業歯科医院と主人がそれぞれ同じ立場だからこそ、ミスマッチを減らせると思います。事業を始めてまだ数か月ですが、すでに求職者からも開業歯科医院からも大変喜ばれており、やりがいをとても感じているんです。
今は事業を拡大するというよりは、信頼できる方を信頼できる開業歯科医院につなげることを何よりも大切にしています。
事業を行なううえで大切にしているポイントは、ベストマッチに全力で取り組むことです。
具体的には、面接では求職者の方に付き添って、求職者の方が伝えたくても伝えられないことを代わりに聞くことを徹底しています。実際に入職後も、メンタル面のサポートも継続しています。
よく、家族と事業を継続する秘訣はと聞かれますが、ズバリ報・連・相を徹底することです。
また、私たち夫婦は性格も真逆なので、補い合って事業を行なうことも心がけていますね。
現在の事業に詰まっている想いを教えてください。
求職者の方と歯科医師それぞれに寄り添う気持ちを大切にしています。
求職者と歯科医師のマッチングは、結婚と同じです。家族よりも接する時間が長い職場もあるはずです。大事なことだからこそ、求職者にも歯科医師にも寄り添う気持ちを大切にしていますね。
弊社の取り組みを通じて、求職者にとって働きやすい環境を提供することで、仕事へのやりがいをもちながら、 子育てと仕事の両立を望まれる方々のサポートができたらと思います。
そうして離職率が下がるのであれば、歯科医院にとっても患者さまにとっても助けになるはずです。
歯科医療従事者は、今後の高齢化社会においてもより必要とされる職種だと思います。 少しでも患者さまに笑顔を与えられるやりがいのある職種として、皆さんが輝けるようサポートしていきたいです。
現在は関西圏を中心としたサービスとしていますが、ありがたいことに関東や東北からの依頼もあり、信頼できるほかの人材紹介会社さまとの連携をとっています。
今後の展望について教えてください。
歯科医療従事者の方に弊社のサービスを認知していただくために活動を続けます。
会社を立ち上げたばかりなので、まずは歯科医療従事者に弊社のサービスがあると知ってほしいです。
今後はセミナーや実技演習を行ない、ブランクがあり職場復帰を躊躇している方々のサポートにも力を入れたいですね。
“ここに来ればすべて学べる”という環境を提供しようと考えています。分からないことがあったときにすぐに質問できる環境、情報提供できる環境を整えたいです。
加えて、近年フリーランスの歯科衛生士も増えているので、フリーランスのサポートにも注力したいと考えています。フリーランスの方々から意見を聞くと、保証が薄く不安という声を多く耳にします。
一方で、素晴らしい技術をお持ちの方も多いです。
なので、弊社とフリーランスの方で契約をおこない、実技セミナーの手助けをいただきたいと思っています。フリーランスの方の利益にもつながると思います。
コロナ禍を経て、フリーランスの働き方は増えているのですが、歯科医師サイドからは認知がされておらず、良いイメージも持たれていないことが現状です。
歯科医師サイドのフリーランスに対する意識改革を進めるためにも、SNSも注力しています。
社会にどのような影響を与えたいか教えてください。
歯科業界の底上げを行いたいです!
現在、28万名が歯科衛生士の国家資格を取得していると言われています。ですが、その半数となる14万名が、資格を保持しながら就業していない”潜在歯科衛生士”です。理由としては、子育てやライフイベントの変化が挙げられます。
潜在歯科衛生士の方が復職できるようにサポートすることで、歯科業界の人手不足の解消に貢献し、歯科業界の底上げをしたいです。
弊社のサービスを知っていただくことで、歯科医院側も衛生士側も、働き方に関して考えるきっかけになると思います。
また、未来の歯科医療従事者を目指す方を増やすために活動したいです。具体的には、歯科医療従事者として輝く方々を、自分自身のInstagramで発信することも計画しています。
最後に読者の方に伝えたいことは、勇気を出して1歩踏み出してほしいということです。
私もそうでしたが、少しでもブランクがあると復帰に向けた1歩を踏み出すことをためらってしまう方が多いと思います。
ですが、1歩踏み出すことで広がる世界もあります。だからこそ、私はブランクで悩んでいる方のサポートをし続けたいと思います。
小野 真由(おの まゆ)
歯科医師として3人の子どもを育てながら、勤務した経験を持つ。仕事と育児の両立の難しさを実感し、歯科医師であるご主人とともに、歯科医療従事者の復職支援事業を立ち上げ展開中。