食薬から始まる!健康な習慣【大久保 愛/ 薬剤師】

大久保 愛(おおくぼ あい)

薬膳が生活の一部である環境で育ち、それをきっかけに薬剤師と国際中医師を取得。その後、調剤薬局と漢方薬局を経営し、臨床経験をもとに『食薬』という概念を作り予防医学を普及しつつ、AIを活用した漢方相談システムCrowdSalonで特許を取得。現在では、食薬アドバイザーなど専門家の育成も行っている。

hospass運営局

こんにちは、hospass運営局です。“病院はパスする時代”を創造するべく、医療職限定でチームを組み活動を進めています。

薬剤師の資格を持ちつつ、現在はCrowdSalon®を中心に、食薬を多くの人に提供している大久保さんを取材させて頂きました!

記事の見どころ
  • 同じ悩みを抱えている人を救いたかった大久保さん
  • 独立し、漢方や食薬を広めていくことを決意!
  • 周りの人の健康を手助けしていきたい

薬剤師を目指したきっかけを教えてください

大久保 愛

同じ悩みを抱えている方を救いたかったです。

私は幼少期からアトピー性皮膚炎に悩まされていました。肌が紫外線やプールの塩素にも耐えられないほど、重い症状に苦しんでいたことを今でも覚えています。

地元が秋田なので週末には山に薬草を取りに行き、煎じ薬や軟膏、入浴剤などを作り、試行錯誤していました。西洋医学も取り入れていましたが、症状も重いためになかなか良くなりませんでした。

その原因に気づくことができなかったため「自分のアトピー性皮膚炎を根本的に改善する策を見つけたい」と思い、薬学部に進学しました。

その後は、薬剤師の国家資格を取得。きざみ生薬を中心に取扱う老舗漢方薬局と調剤薬局をダブルワークしていました。臨床の現場で漢方治療と食養生の組み合わせが重要であることや、調剤薬局では異常を取り除くだけであり、本来の健康を取り戻すことは難しいと理解しました。

そして、食事や生活指導に力を入れていて症例数の多い漢方薬局に転職。今から15年くらい前は食事療法も今ほど明らかになっていることが少なく、自分の体でトライアンドエラーを繰り返し、よかったものを漢方相談に取り入れるようにしていました。

その中で、実験台にしている自分の体調はどんどん良くなるので、このときアトピー性皮膚炎が改善しました。

最終的に私のアトピー性皮膚炎を改善したのは、甘いものを控え、キャベツを1週間に一玉、3ヶ月食べるというものでした。この経験をまとめたものは「ズボラ腎活(ワニブックス)」として出版されています。

そして、様々なタイミングが重なり、恵比寿で漢方相談とトレーニング、整体、エステができるお店と名古屋で漢方相談、調剤薬局、整体、エステができるお店を作り独立することにしました。

現在の事業を始めたきっかけについて教えてください。

大久保 愛

漢方や食薬を多くの人に知ってもらいたかったです。

独立当初は、東京と名古屋で2店舗同時オープン。名古屋の薬局の近くには北京中医薬大学日本臨床研究所があり、そこで理事をさせていただいていました。その経緯もあり、国際中医美容師という新しい資格取得のお話をいただきました。

国際中医美容師では漢方医学の考え方を使い体質を見極め、ツボやマッサージ、吸玉、カッサ、食事、パックなどを活用して健康で美しくなりたい人のサポートができるものです。国際中医師だけでは分からなかった内側と外側からの養生を学ぶことができ、日頃の患者さんへのアドバイスに活かすことができました。

現在では、アトピーで悩んだ経験や国際中医美容師取得などの経験を活かし「美肌研究ブランドiMINE Labs」で基礎化粧品ラインナップを作り、TVショッピングで販売しています。

同じ患者さんを何年もみていくと、毎年同じ時期に同じ不調に悩まされることがわかってきました。そして、季節によって共通して皆が感じる不調のことも理解しました。

この不調が起こる行動習慣や気候との関係を見つけだし、マニュアル化したのが、1ヶ月で七万部突破のベストセラーを記録した「心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)」の食薬習慣シリーズです。

この食薬をマニュアル化するときに使った考え方についてご紹介します。まず、抽象的であるがために、家庭でも取り入れやすい漢方医学の考えを柱としました。

そして、対策をより具体的に提案するために、現代の分子栄養学を融合することで、家庭で予防医療をより効率的に習慣化できるようにと考えてつくりました。

古代より伝わる経験則により成り立つ漢方医学を現代の予防医学で翻訳し続けることは、経験則である漢方医学が現在の経験も積んでいることだと考え、今後も進化させ続けていこうと思っています。

食薬に関する事業について教えてください。

大久保 愛

食薬の専門家を育成したり、商品開発を行っています。

最初は漢方薬の処方がメインでしたが、漢方薬の認知度の低さに気づきました。名前が難しいために記憶に残りにくく、敷居が高いという印象が根強いています。

このままでは広く認知させることは難しいと考え、漢方薬や医薬品だけでなく「口に入るものすべて」に解釈の範囲を広げました。このシフトチェンジにより、漢方や食薬の普及を図り、より多くの人々の健康をサポートすることができるようになったかと思います。

これにより一対一のビジネスから、一対大勢へ影響を与えるビジネスへと変化しました。食薬の専門家の育成、食薬を習慣化するためのシステム・プラットフォーム作り、食薬を取り入れた商品開発など、食薬に関する事業を大きく展開することが可能となります。

特に食薬の育成には力を入れており「食薬アドバイザー®」資格養成をすることで同じ志をもつ仲間を増やしています。自分や身の回りの人の健康管理ができるようになる食薬マイスター、「食薬」の指導ができる食薬アドバイザーの2種類で展開しています。

この事業には、資格受講者のご自宅が「台所が薬局のような役割」を果たせるくらいになれば良いという想いを込めました。1年間毎月食薬キットの教材も届きます。受講することで台所が変わり、それによって意識や体も変わる。そして、食事で自分自身の体調を整えられることを目指しています。

CrowdSalon®について教えてください。

大久保 愛

食薬を広めるためのシステムです。

食薬を多くの人に広めるためには、まずは自分の影響力を高めるのが必須条件でした。ほかにも、人材育成やファンサイトの構築、物流管理など、食薬を広めるシステムづくりが必要不可欠だったんです。

このデジタルとアナログを融合して「CrowdSalon®(クラウドサロン)」を開発しました。CrowdSalon®では、オンラインで漢方薬や食薬について相談できるシステムを提供しています。特許も取得しており、CrowdSalon®ならではの活動が可能です。

またファンサイトの機能をもたせることにより、心と体、美容についても相談できる専門家を見つけることができます。そして、日々の食事のコンサルティングや適切な漢方薬の提案をすることを可能としているのです。

さらに、処方された漢方薬は全てこちらで手配するため「手間が省けてすごく便利!」と利用者の方々から嬉しい声をいただいております。

CwrowdSalon®を開発したことにより、食薬を広めるためのシステムづくりを完成させることができました。これからも食薬を通じて、この意識を広めていきたいと思います。

hospassを通して読者に届けたいことを教えてください!

大久保 愛

食薬を通じて周りの人の健康を手助けしていきたいです。

私の会社の名前であるアイカは、愛の花をイメージしています。自分や身の回りの大切な人へ。愛情というモチベーションをもとに、植物が根をはり、タネを飛ばして遠くでもキレイな花を咲かせていくように、近くの人から遠く離れた人まで健康で楽しく幸せな毎日を送ってもらうよう影響を与えたいという思いから付けました。

また、知識と思いやりがあることで根っこが丈夫で皆を魅了するお花を咲かせるように、コンテンツやプロダクトが注目を集め、より大きな影響を与えていけたらと思っています。この花を育てるうえで「食薬」は欠かせないものであり、すでに具現化できつつあります。

どんなに高価なものや欲しかったものが手に入ったとしても、自分や身の回りの人が健康でなければ、人生における幸せは減っていってしまいます。

いつまでも元気で楽しく幸せでいるためには、食というものが大きな影響を与えます。薬ではないので、食は1日では良くも悪くも影響を与えません。ですが、食の習慣によって10年、20年後に健康状態や見た目に大きな差が生じます。

この差は、正しく自分を守る知識があるかどうかです。みなさんも自分と大切な人の未来を守るために食薬を身に着けて習慣化してみてはいかがでしょうか。

そして、一緒に食薬の輪を広げていけると嬉しいです。これからも私は「食薬」が文化として根付くように広めていきたいと思います。

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