取材日:2024/6/7
こんにちは、hospass運営局です。“病院はパスする時代”を創造するべく、医療職限定でチームを組み活動を進めています。
鍼灸師・あん摩マッサージ師の資格を持ちつつ、現在はスポーツトレーナーとして幅広く活動している高島さんを取材させて頂きました!
- 怪我をした野球少年を救ったのは、鍼灸師の治療だった!
- Macはゴッドハンドを持っている!メジャーリーグでの成功
- 選手の成長のために、高島さんが大切にしていることとは?
鍼灸師やあん摩マッサージ指圧師を目指したきっかけは何ですか?
高校生時代の怪我がきっかけです。
高校生時代は野球部に所属して甲子園を目指しており、ゆくゆくはプロ野球選手になりたいという夢がありました。
しかし、上肢の怪我により選手生活を断念したんです。最初は原因も分からずさまざまな病院で診察を受け、半年経ってやっと原因を突き止めることができました。
手術とリハビリを行いましたが、痛みはなくなりませんでした。そこで、鍼灸師の方に診てもらったところ、痛みが取れたんです。鍼治療はすごい!と感動しましたよ。
ただ、手術が終わって痛みも取れたころには、高校球児としてのタイムリミットがきてしまっていました。原因の発見までに半年、手術とリハビリで半年かかってしまい、復帰する居場所はありませんでしたね。
もしも怪我をしてすぐに鍼灸の先生に出会い、リハビリや治療を並行すればここまで時間はかからなかったでしょうし、野球を続けられていたかもしれません。
若い子たちに私のような経験をさせたくないと思い、プレーヤーが難しいのなら支える側になろうと決意したんです。
専門学校での生活はいかがでしたか?
学校外でスポーツトレーナーになるための勉強をしていました。
地元の医療専門学校に入ったものの、スポーツにしか興味がなかったので、座学は苦手でした。鍼灸は東洋医学がベースであり小難しい話が多く、学校で得られる知識は私がほしいものではなかったんです。
スポーツトレーナーになるために何を勉強したら良いのか、当時の学校ではわからなかったため、学校は資格取得のための場という意識に切り替えました。
自分でプランニングしなければと思い、まずは先生のツテを頼ってトレーナーをしている方を紹介していただいたり、勉強会に参加したりしました。そこで何が必要なのかを明確にして、知識や技術を積み上げていったんです。
高校生時代に怪我の治療を受けた先生は有名な方で、その先生のもとで勉強したかったのですが、研修は受け付けていないと何度も断られました。
そこで患者として何度も通い、院長先生とお話しを続け、勉強させていただきました。
卒業後の経歴を教えてください。
プロ球団のトレーナーやメジャーリーグのトレーナーとして経験を積んだ後、拠点を日本に移して活動しています。
プロへの施術のオファーが来たら「すぐ辞めます。」と言って、まずは地元の整形外科病院に入職しました。整形外科病院はそんなわがままを受け入れて採用してくださったんです。
しかし、研修を受けた次の日にオリックスがトレーナーを探しているということで紹介され、すぐに退職しました。プロチームは、学校の卒業と合わないタイミングで人手が必要になることが多いんです。
あまりにも早い退職ですが、このタイミングを逃すわけにはいかないと思い、即決しましたね。
プロ球団のトレーナーとして就職してすぐに、治療だけでは戦えないと痛感しました。自信はあったものの、鍼灸治療のレベルは学生レベルだったんです。鍼灸治療だけでは改善しない部分が多々あるとも分かりました。
そこで、連携している整形外科の先生から治療やリハビリについて教えていただきながら、やるしかないとがむしゃらに取り組みましたね。
私のケアで選手の方々が改善していくのを実感できたので、非常にやりがいがあり楽しかったです。
オリックスには4年間勤め、途中で交換留学制度を利用しメジャーリーグの選手のトレーニングに参加しました。海外の選手は体つきはもちろん考え方も違い、目からうろこの連続でした。
退職後、2年間インターンでメジャーに行きました。個人でどこまでやれるのか、挑戦したかったんです。
最初は、ホーム側でケアすることも許されなかったのですが、「ゴッドハンドを持っている。」と選手からの口コミで広がり、アメリカのトレーナーにも認められるようになりました。
2年間のインターンを終了後、1年間VISAを取得して滞在しつつも、メジャーのオフシーズンは日本で怪我の治療を中心に自己研鑽に励みました。海外で成功できたことで日本での学びは間違っていなかったと確信を持てました。
帰国後はトレーニングルームをオープンし、鍼灸治療だけでなくトレーニング要素も取り入れて、治療・リハビリ・トレーニングを一連の流れで行なっています。日本での治療も口コミで評判が広がり、需要があることを実感しました。
現在の活動内容を教えてください。
広島を拠点に、全国各地でトレーニング・コンディショニング指導を行なっています。
プロ野球選手などのトップアスリートから学生、一般の方まで幅広く対応しています。すべてのプログラムを独自に作成しており、従来の治療院とは違うトレーナールームとして、競技復帰までを総合的にサポートしているんです。
おもな活動内容は、出張によるチームコンディショニングやトレーニング指導、専門学校での講師、病院でのリハビリテーション・コンディショニング、自身のトレーナールームでのリハビリテーション・トレーニング・コンディショニングです。
自分で怪我予防ができるアスリートを育成するために、専門のスポーツドクターや、競技指導者とも連携をとっています。
これまでの経験をもとに、治療と運動療法を合わせた独自のスタイルを確立しており、好評をいただいています。今後も、さらに発展させていきたいです。
活動の原動力となっている想いを教えてください。
多くのアスリートや若者を怪我から救いたい、関わっている方には良い結果を出してほしいという想いです。
私自身、怪我で野球を続けることができなくなり、つらい経験をしました。だからこそ、怪我によって競技を諦めるような子どもがいなくなるようにしたいんです。
そのためにも、怪我をしてしまう前の正しいトレーニング方法の指導も重点的に行なっています。
プロ野球選手やメジャーリーガーといったトップアスリートのサポートも大切ですが、未来の選手たちへの正しいトレーニング指導・サポートは、もっと大事な事業だと思い取り組んでいます。
治療やトレーニングは、変化が目に見えて分かりますし、結果が出ると嬉しいですね。人が成長していくのをみるのは面白いと感じています。
今後は、サプリメント事業を広げていこうと思っています。食事に対して意識が低い方が多いと感じていて。
食べるものから身体は作られます。食事が雑だと成果が上がりにくくなるんです。食習慣を一新することはなかなか難しいので、食事にサプリを足すことでコントロールできたらと思っています。
特に野球選手や高校生は寮生活の方も多く、寮の食事は変えられませんよね。そういった方にはサプリをおすすめしており、今後力を入れていきたいです。
活動を通して社会に与えたい影響はありますか?
自己管理できる選手を増やしていきたいです。
自律した選手に育ってほしいので、ただ治療するのではなくセルフでコンディショニングやトレーニング、プランニングができるように教えています。
まだまだ自己管理できる方は少ない現状がありますが、”してもらう”ではなく”自分でできる”ようになってほしいんです。
選手をリスペクトしているからこそ、早く治したいのなら自分でできるようになろうと伝えています。すべてこちらでやることもできますが、その方の成長にはつながりません。
セルフマネジメントができるようになれば、選手としてさらに力をつけることができると確信しています!
高島 誠(たかしま まこと)
鍼灸師・あん摩マッサージ師の資格を取得後、オリックス・ブルーウェーブ(現オリックス・バッファローズ)のトレーナー、MBLワシントン・ナショナルズのトレーナーを勤める。その後帰国し、日本のプロ野球選手だけでなく、少年野球や高校野球の選手たちのサポートを行なっている。