医者が”ヒマ”する町づくりに貢献したい!【佐田 建 / 薬剤師】

医者が”ヒマ”する町づくりに貢献したい!【佐田 建 / 薬剤師】

取材日:2024/7/22

佐田 建(さた たつる)

薬剤師としてドラッグストア併設薬局、門前薬局での勤務を経験。現在は個人事業主として医者が“ヒマ”する町づくりをするために幅広く活動中。

hospass運営局

こんにちは、hospass運営局です。“病院はパスする時代”を創造するべく、医療職限定でチームを組み活動を進めています。

薬剤師の資格を持ちつつ、個人事業主として講演やコラム執筆、SNS発信などの活動をしている佐田さんを取材させて頂きました!

記事の見どころ
  • 佐田さんが医療従事者を志したのは、物と向き合う仕事ではなく人と向き合う仕事がしたかったから
  • 佐田さんが個人事業を始めたきっかけは、薬局に来る患者さまの意識の違いに気づいたから
  • 薬の専門家として、地域の方々と連携して医者が“ヒマ”する町づくりを推進するために活動中

薬剤師を目指そうと思ったきっかけを教えてください。

佐田 建

物と向き合う仕事ではなく、人と向き合う仕事がしたいと思ったのがきっかけです!

物心ついた頃から人と話したり、人に教えたりすることが好きだったので、漠然と物と向き合う仕事ではなく人と向き合う仕事がしたいと思っていました。

高校生の頃、文系科目より理系科目の方が得意で、周りの方から「医療従事者が向いているのでは?」と勧められたこともあり、医療系の仕事を志すようになりました。

実は、最初は医学部志望だったのですが、前期・後期日程で国公立の医学部に落ちてしまったんです。

その後は、中期日程という珍しい受験方法で受かった岐阜市立岐阜薬科大学に進むことを決めました。同級生には、私と同じように医学部を志望していた方もいましたね。
大学では、一番過酷な研究室に所属することになり、アトピー性皮膚炎に関する研究に従事しました。社会人になってからの日々を踏まえても、当時が一番過酷な日々でしたよ。

薬剤師になってみていかがでしたか?

佐田 建

人と向き合う仕事ができました!

2012年に大学を卒業後、ウィンダーランド薬局(現:ウエルシア薬局)に就職しました。

選んだ理由としては、“やりたいことをやりたい人が何でもやる”という社風に魅力を感じたからです。

私は、薬剤師としての核となる専門的な業務をしつつ、チャンスがあれば幅広く仕事をしたいと思っていたので、やりたいこととマッチしました。

就職してからは薬局業務はもちろん、小売業として薬局の店舗の運営にも興味をもっていて、実際に店舗経営にも携わらせていただくことができたんです。店長やエリアマネージャーと直接関わり、多くを学ぶことができてすごく勉強になりましたね。

実際に薬剤師になってみて、学生時代に医療従事者になりたいと志したときに感じた”人と向き合う仕事”ができた実感はありました。

2015年に退社し、コンビニ併設の薬局を立ち上げるということでお声がけいただき、現職の『有限会社ブリケンコーポレーション』に転職しました。小売業としての運営を経験していたことが、キャリアにつながったんです。

現在の事業内容を教えてください。

佐田 建

SNS発信を中心にご依頼をいただき、さまざまな業務に携わっています!

ブリケンコーポレーションに在籍をしつつ、個人事業主として講演、健康番組の出演、コラム執筆などをご依頼を受けて行なっています。

ご依頼がある講演内容は、食事と薬にまつわることが多いです。最近は、熊本の薬剤師会からInstagramを経由して、薬局以外で活躍する薬剤師として取り上げていただきました。

静岡県内の大型ビジョンで流す健康チャンネルの動画にも出演させていただいています。

SNS発信に関しては、TikTokのショート動画をメインにしつつ、月に1回ロングバージョンを投稿しています。ショート動画に着目したのは、SNSのアルゴリズムから研究し、流行るコンテンツを考えたのが理由です。

SNSは、おもにブランディングの目的で活用しています。今の時代は、論文をたくさん書いて発表すること以上に、SNSを活用したほうが医療関係者以外の多くの方々にも私の想いが届きます。

方向性に賛同してくれた地元の事業者とともに、薬局で取り組んでいる活動を通じて地域の健康づくりに貢献したいです。

現在の事業を始めたきっかけを教えてください。

佐田 建

薬局ごとに患者さまの健康への意識の違いがあることに気づいたからです。

個人事業を始めたきっかけは、前職で勤務していたドラッグストア併設の薬局に来る患者さまと、病院の前の門前薬局に来る患者さまの健康への意識の違いに気づいたからです。

たとえば、風邪を引いた患者さまがいたとします。ドラッグストア併設の薬局に来る方は、薬剤師に対して「風邪を引いてしまった。治すためにどうしたらいい?」と問われる方が多いです。

そのように、ドラッグストア併設の薬局に来る方にはセルフケアの意識が高い方が多い印象がありました。ですので栄養剤を紹介したり、セルフケアのための知識をお伝えしたりする機会が多かったんです。

一方で、門前薬局に来られる方は、「風邪を引いてしまった。主治医に言い忘れたから風邪薬を処方してもらえるように頼んでくれない?」とおっしゃる方が多くいらっしゃいました。

つまり、門前薬局に来られる方の多くが、医療ありきのスタンスだったんです。

私は、ドラッグストア併設の薬局からキャリアがスタートしたので、セルフケアを行う方が当たり前だと思っていました。ですが、門前薬局に来られる患者さまを見て、圧倒的に医療ありきで病気を治そうとする方が多いことに気づきました。

医療を用いることはもちろん大切ですが、それよりも自分たちでできることをしたほうが、巡り巡ってその方のためにもなります。

薬を扱う専門家だからこそ、医者が“ヒマ”する町づくりを提案したいと考え、まずは地域に根付いた活動をすることを決意しました。

現在の事業に詰まっている想いを教えてください。

佐田 建

地道に医者が“ヒマ”する町づくりに貢献したいです。

地道に、私が薬剤師として勤める静岡県の地域ローカルの仕組みを整えて、医者が“ヒマ”する町づくりに貢献したいです。

まずは、目に見える範囲から始めることを大切にし、いずれはローカルな仕組みを全国に広げることを目指しています。

医師は、もちろん必要な職業です。ですが、医師が忙しすぎる現状があります。

セルフケアできる方が増えれば、いい意味で医師が暇になり、必要な方に必要な分だけ医療を提供できるようになります。

薬局で実際に行なっている活動の一つが、年に1回の健康祭りと月に数回の健康相談会です。受診するほどではないが知りたいことを提供できる場所とすることを目的としています。

相談会は私が対応しているのではなく、理学療法士でサロンを開業している方や体操教室を開業されている方など、地域で活動される方々が講師をしてくださる形です。

地域の方々の今ある不安や悩みを改善することで、数年後、数十年後に通院する方が減るかもしれませんし、健康寿命延伸に貢献できるかもしれません。そんな想いで携わっています。

このような活動を行うために、薬局で勤務する1人の薬剤師が声をかけたとしても賛同してくださる方は少ないと思います。

ですが、SNSでブランディングをできていれば、周りの方から信用を得て、活動に結びつく機会が増えますよね。

社会に与えたい影響について教えてください。

佐田 建

”とりあえず受診する”という方を減らしたいです!

受診するか、自分で対処をするかを決める境界線が、その方によっては受診することへ判断基準が前倒しになっています。

受診するための正しい判断基準は、もう少し後ろ倒しであることを知っていただきたいですし、受診の前にできるセルフケアがあることを伝えたいです。

ですが、私が伝えられることには限りがあります。なので、方向性が同じ地域の専門家の方と協力して浸透させていきたいと思います。

最後に読者の方に伝えたいことは、やってみなければ分からないということです。

やりたいことがあって、考え続けていたとしても頭でっかちになってしまう。その結果、起こりもしていない不安に潰されてしまい、余計にやりたいことへの一歩めが踏み出しにくくなってしまいますよね。

何かしらに貢献できると自分が思う活動ならば、一歩踏み出してほしいと思います。

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