- 母の助けになりたい気持ちで理学療法士を目指す
- 学生時代から医療×美容に興味を持つ
- 『リハビリビューティー』とは?
- 夢はあきらめないで大丈夫
理学療法士になろうと思ったきっかけを教えてください。
母の助けになりたかったんです。
母がリハビリを受けていたことが大きなきっかけです。
母は病院に通院してリハビリを受けていたのですが、几帳面な性格で必ずお風呂に入ってから出かけていました。
母は「リハビリを受ける前は体をきれいにしておかないと」と思っていたのかもしれませんが、お風呂に入る動作は身体的な負荷がけっこう大きいんですよね。
私としては正直「リハビリに行くだけでもしんどいのに、さらにお風呂に入ってからなんて」と思っていました。
理学療法士になって母に在宅でリハビリを提供できるようになりたいと思いました。
リハビリにも理学療法士、作業療法士、言語聴覚士とありますが「身体的なリハビリに特化した理学療法士がいいな」と感じたんです。
ほとんど理学療法士の道に決めていましたが、実は「看護師もいいな」と最後まで悩んだのを覚えています。
でも血液を見るのが苦手なんです。看護師になるには致命的だと感じたのもあり、理学療法士を選択しました。
最終的に理学療法士を目指そうと思ったのは「母の助けになりたい」という強い想いがあったからだと思います。
現在の事業を始めたきっかけを教えてください。
美容×医療っておもしろいかも。
理学療法士の学校に入学して、初めての実習でリハビリの見学をさせてもらったときに、キツそうな表情でリハビリを受けている患者さまを見かけました。
そこで「もっとリハビリの時間を楽しいものにできたら」と強く感じて、当時から興味のあった美容と掛け合わせることを思いつきました。
『リハビリビューティー』という言葉こそ思いついていませんでしたが、美容×医療の事業ができたらと考えていましたね。
学生のときから、しっかり自分のやりたいことが定まっていたように感じます。理学療法士の学校に入学した翌年には、並行して美容学校にも通い始めました。
平日は理学療法の勉強をして、週末は美容学校へ行く。今思えばハードな生活をしていましたね。学生時代に寝る時間は全然なかったです(笑)。
就職するときは「美容で就職するか、医療で就職するか」で悩みましたが、最初は医療で就職しました。
大きな病院だったので病棟やデイサービス、訪問なども経験させてもらえました。
将来的に美容×医療の事業で独立することを決めていての就職でしたが、医療現場での経験は今の事業にも活きていますよ。
美容については、独立前の数ヵ月間、知り合いのエステサロンに就職して経験させていただきました。
最初はボランティアで経験を積みつつ、介護系の交流会にも参加して情報を得ていました。そこから平成28年に、トータルビューティーサロン「リビュー」(現フェイシャルプロ)を開業することができました。
事業を開始していかがでしたか?
とにかく結果を出すため全力で走ってきました。
最初は右も左もわからず突き進んでいました。
テナントを借りたのはいいものの、お店作りや集客の仕方などわからないことだらけで大変でしたね。
初めは業務委託で美顔器の営業をしました。知人のエステサロンで数ヵ月働いたときに使用していた美顔器が気になりすぎて、Facebookで美顔器メーカーの社長へメッセージを送ったのが始まりです。
当時の行動力には驚きですね(笑)。
3ヵ月ほど集中して美顔器営業の仕事をさせていただき、現在もご縁ありお付き合いを続けさせてもらってるんです。
いろんな美容室やエステサロンへ営業に行く中で、お店作りのヒントを得られましたし、かなり勉強になったと感じています。
当時は日中は美顔器営業のお仕事は継続しつつ、夜間にサロン営業をしていました。
そこから、少しずつお客さまが増えてきたこともあり、サロン営業を日中へとシフトさせていきました。
さらに、ありがたいことに「一緒に働きたい」と言ってくれるスタッフがいて、私を含めた3人で事業を確立していきました。
サロンの安定した経営までは、3年かかりましたね。
経営もある程度は安定してきており、私が現場に入らなくても完結できるようになりました。
今はサロン経営と並行して、ずっとやりたかったリハビリビューティーの事業に取り組んでいます。
今は届けたい人にしっかり届くように、日々マーケティングと向き合っています。
実際に事業を始めてみてからは、時代の変化に応じてスタッフが成長して輝いていけるような仕組みを組織レベルで作っていくことが大切だと感じています。
リハビリビューティーについて教えてください。
リハビリビューティーとは「リハビリ×美容」の新たなアプローチです。
学生実習のときに感じた「リハビリを楽しく有意義な時間にしたい」という気持ちがはじまりでした。
リハビリビューティーという言葉は「リハビリ×美容という言葉をつなげたらよいのでは」と考えついて決めました。
リハビリテーションと美容を統合したアプローチで、身体の回復と精神の健康の両側面にアプローチし、サポートをしていくことを目的とした概念ですね。
リハビリテーションのプロセスに美容の要素を取り入れることで、モチベーションの向上を図り、患者さまや利用者さまの生活の質を向上することを目指しています。
キツそうにリハビリを受ける患者さまに対し「少しでも助けになれれば」と思いながら事業を進めています。
『リハビリビューティー』の概念を拡散するためSNS発信にも力を入れています。
これまでたくさんの経営者の話を聞いてきました。そのなかで、時代に沿った拡散の方法を選択することが大切だと気づき、SNS発信を始めてみたんです。
「伝えたいことを届けたい人にしっかりと届ける」簡単に見えますが難しさも感じています。
今後も試行錯誤しながらSNS発信を継続して、少しでも多くの人に『リハビリビューティー』の概念を知ってもらいたいと思っています。
事業を通して社会に与えたい影響や今後の展望について教えてください。
夢はあきらめなくて大丈夫。
まずは、社会全体により良いリハビリのケアを提供していくことが大前提ですよね。さらに、事業を通して社会に貢献していけたらうれしい限りです。
今後は各事業についてマネージャーを配置し、よりよい組織づくりを行っていきたいです。
私が現場に介入することもあるのですが、過度な介入になってしまっていたこともあるので、グッと我慢してマネージャーに託すことも大切なのかもしれません。
マネージャーの成長は組織としての成長につながるため、マネジメントについてしっかり勉強して実践していきたいです。
これまでいろいろな方に経営を教えてもらいました。その方々への恩返しも込めて前に進み続けていきます。
医療関係者で独立する人は増えてきていますが、まだまだ少ないように感じています。安定した仕事を続けていくことはもちろん素敵なことですが、もしほかにやりたいことがあるときは一歩踏み出してほしいです。
夢はあきらめなくて大丈夫。
高江洲 良子(理学療法士)
理学療法士としての病院勤務とサロンでの美容経験を経て、個人サロンを開業。現在はリハビリ×美容の新しいアプローチ『リハビリビューティー』事業を広めるために注力している。