看護師も病院を超えて活躍できることを知ってほしい!【藤井 和紀 / 看護師】

藤井 和紀(ふじい かずき)

人命救助スキルを獲得するために看護師を志す。看護師として働く中で医療職のマネーリテラシーの低さに気づき、金融に関する勉強を開始。現在は、看護師の起業支援や人命救助スキルを伝える活動を行っている。

記事の見どころ
  • 祖母を看取った経験から、医療の道に進みたいと強く思うようになった
  • 看護師の多くが給与面での悩みを抱えていると気づく
  • 看護師の生活を豊かにすることで、日本でも存在する飢餓や貧困をなくしていきたい!

看護師になろうと思ったきっかけを教えてください。

藤井 和紀

祖母を看取った経験からでした。

母が看護師をしていたため、自分もなんとなく医療系の道に進むと思っていました。

高校2年生のときに祖母を看取った経験をしてからは、より一層医療関係の道へ進みたいと思うようになりました。認知症の祖母の病状がどんどん状態が悪化していき、最終的に在宅で看取る経験をしてもっと自分にできることがあったんじゃないかと強く感じたことを覚えています。

最近は「なんで医者ではなく看護師なんですか?」と質問をもらう機会が増えましたが、看護師を選んだ理由は、身近な方に対してすぐサポートできるようになりたい想いが強かったからです。

医療職にもたくさんの専門職がありますが、当時から看護師一本で突き進んできました。他の職種に目移りすることはなかったです。

人命救助に興味があったため、看護の学校卒業後は救急の分野に進みたいと思っていました。

看護学生時代のエピソードを教えてください。

藤井 和紀

恵まれた環境でしたね。

「男性の看護学生は大変でしたか?」とよく聞かれます。

自分の経験を振り返ってみると、男性だから大変ということは少なかったと感じています。社会人経験を経て入学してきた同級生もいたので、コミュニケーションもスムーズでした。

とはいえ、男性看護学生ならではの悩みもありました。

セクシャリティの部分に直結する場面もあるため、できる限りで配慮してもらう形で介入していました。

実習期間は大変でしたが、今となっては良い勉強だったと感じています。あっという間でした。

大変なこともあった学生時代でしたが、恵まれた環境があったからこそ国家試験合格までスムーズに進めたと思っています。

現在行っている事業について教えてください。

藤井 和紀

看護師の生活を豊かにしたくて活動しています。

最初は看護師を兼業する形で、別の病院でバイトをしていました。ちょうど医療職の複業が流行りはじめた頃で、同僚にも複業をしている人がいました。

僕も含めて、看護師の多くが給与面のことで悩みを抱えていましたね。今すぐ困るほどではないけど「生涯を通して同じ額しかもらえないのではないか」という漠然とした不安があるんだと思います。

そんなときに同い年で起業されている方と偶然つながり、医療職のマネーリテラシーの低さに気づかされ「このままではまずい」と感じてファイナンシャル分野の勉強を始めました。税金のことを勉強して実際の生活に落とし込んでいくと、生活にも少しゆとりが出たことを覚えています。

現在は僕が身につけた金融系の経験や知識を活かして、看護師に対する起業支援を行っています。

看護師が事業を行うのはハードルが高いように感じる人が多いと思います。看護師が起業するハードルを下げるためのコンサルティングを行えることが、僕の強みですね。

また数えきれないほどの急変対応をしてきた経験が少しでも誰かの役に立てばと思い、オンラインコンテンツの販売もしています。

特にTikTokは、かなり反響がありました。

看護師向けの動画はたくさんありますが、実際の医療現場を視聴できるアカウントは珍しくてとても好評です。

リアルな人命救助の様子を届けることは、社会的にも価値あることだと感じています。

現在の事業に詰まっている想いを教えてください。

藤井 和紀

人命救助スキルを多くの方に届けたいです。

SNSでの情報発信や講座を通して、人命救助スキルを多くの方に届けていきたいです。

これまでBⅬS(一時救命処置)、AⅭⅬS(二次心肺蘇生法)、PALS(小児二次救命処置)のインストラクターとして、たくさんの方に人命救助のスキルをレクチャーしてきました。受講生は総勢150名を超えたと思います。

受講生が身につけたスキルを実際の臨床に落とし込み、患者さまを救っていくという連鎖が起きると嬉しいです。

今後はもっと効率よく人命救助のスキルを多くの方に届けられるように、仕組みづくりを頑張っていきたいと思っています。現在は日本語バージョンの動画しか出していませんが、これから外国語バージョンも作成して、海外の方にも人命救助スキルを届けていきたいです。

最終的には、僕の提供するコンテンツを通して学んでいく方が増えて「かずきさんのおかげで大事な人を助けることができました」といった声を聞くことができたら本望です。

社会に対してどのような影響を与えたいですか?

藤井 和紀

飢餓や貧困をなくしたいです!

世界中から貧困と飢餓をなくしたいというビジョンがあります。

栄養サポートチーム(NST)に所属していた時期があり、世界中にはご飯を食べられない患者さんがたくさんいることを知りました。集中治療室(ICU)で勤務していたときには、年金だけでは生活できない高齢者が自ら命を絶とうするケースにも遭遇しました。

貧困や飢餓は、海外で起こっている問題と捉えている方が多いですが、実際に日本でも貧困、飢餓は問題視されています。僕は自分のできることから貧困や飢餓の問題に立ち向かうことが大切だと考えます。

ただ自分ひとりでは手を差し伸べられる人数に限界があると思うんです。

看護師の起業支援はもちろんですが、これまで以上に世界経済について学び発信していきたいです。まずは周りの大切な人から手助けして、だんだん大きな輪になっていくと嬉しいですね。

小さな積み重ねをしていくことで、大きな問題解決へと前進できる気がしています。

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