- 高校時代のケガがきっかけで理学療法士を目指した
- 一歩踏み出したい気持ちのもと海外へ
- ベトナムの人々のエネルギッシュな働き方から思うこと
- 医療の国際発展を通じて、人々の幸せや健康を見直す機会を増やしたい
理学療法士になろうと思ったきっかけを教えてください。
人と接する仕事がしたい。体を動かすことが好きだった。2つが重なって理学療法士を選びました。
高校時代にハンドボールで腰を痛めたことがきっかけで、理学療法士の仕事に興味を持ちました。
もともと人と接する仕事をしたかったのと、体を動かすことも好きだったこともあり、理学療法士の仕事に興味を持っていたことがきっかけです。
特に家族や親戚に医療関係者はいなかったので、純粋に自分の気持ちと経験から選んだ道ですね。
大学時代に北原理事長の講演を聞いて、その病院に就職しようと思いました。
理学療法士としてのキャリアをスタートさせたのは、北原脳神経外科病院でした。
大学時代に北原理事長が講演に来てくれたのですが、特に日本の医療保険制度に関する課題が印象的でしたね。
また当時からIT技術を活用して患者の誤認を防ぐ取り組みや、職場の上下関係にとらわれないフラットな組織風土に魅力を感じたことを覚えています。
脳神経外科で働きたかったわけではなく理事長の考えに魅力を感じて、北原脳神経外科病院に就職を決めたんです。
海外で働くことを決意されたのはなぜですか?
臨床の面白さや管理職としての充実感もありましたが、さらに一歩踏み出したい気持ちもあったからです。
正直、自分が海外に行くとは思っていませんでした。
日本では脳卒中リハビリに取り組む中で、理学療法士としてのやりがいを感じ、また病棟のマネージャーを務めさせてもらって充実していましたが、一方で「もう一歩先に行きたい」という気持ちも強くなっていました。
そんな中で2015年にカンボジアでの話が持ち上がり、海外で働くことを決意した感じです。
英語がほとんど話せない状態だったので、コミュニケーションにはとても苦労した覚えがあります。
カンボジアでは、英語は第2言語なので、現地の人たちも難しい英語はわからないんです。
その中でコミュニケーションを取る時、「難しい言葉を使うよりも、基本的な表現を使った方が伝わるんだな」と気づけたのは大きかったです。
海外での活動で、特に印象に残っている経験はありますか?
自分が思っていることと、相手が思っていることは違うと気づきました。
あるときカンボジアのプロサッカーチームから「理学療法士として働いてほしい」という依頼が来たこともありました。
最初はお話をいただいた時、私は脳卒中のリハビリを専門にやってきましたこともあり、スポーツ領域の理学療法経験はなく戸惑いました。
でもチーム側から、日本人の几帳面さと責任感を高く評価してくれていることを聞いて「自分が思っていることと相手が思っていることは違うんだな」と再確認しました。
この経験が、私をさらに1歩推し進めた経験でもあります。
東南アジアの人々は、『成長したい』という気持ちをとても強く持っています。
現在はベトナムでヘルスケア事業の開発に携わっていますが、ベトナムの方々のエネルギーをすごく感じますね。
ベトナムにいると、若いスタッフが貪欲に学ぶ姿勢を持っていて、やらなきゃいけないタイミングで夢中になって、とことんやる雰囲気があるんですよ。
今私たちが挑戦している仕事は新しいものを生み出すことですし、枠組みにとらわれず自然と働いている姿はいいですよね。
パワフルな国柄もありますけど、やっぱり成長したい気持ちが強いことがよくわかります。
現在の活動を通して社会に伝えたいことはありますか?
医療の国際発展を通じて、人々の幸せや健康を見直す機会を増やしたいです。
今はヘルスケア事業を行いたい日系企業が多くて、東南アジアでの競争がすごく激しいんです。
そんな中で日本人が活動するのは、すごく大きいことだと思います。
日本人は基本的な教養を持っていると思うので、海外でも経験を積んでいけばキャリアアップできますし、海外のニーズにもマッチできるはずです。
医療を提供したり地域全体の健康に貢献したりすることを考えると、もっと海外で活躍できる人材が必要になってきます。
大きなことをするには、パワーを持って一緒にできる仲間がいるといいですよね。
海外で活躍したい医療従事者へのアドバイスをお願いします。
失敗を恐れずに!失敗した経験が成功につながります。
百聞は一見にしかずです。インターネットで情報を見るのはいいですけど、実際に動いてみることにすごく価値があると思っています。
やっぱり失敗した経験が成功につながると思うので、失敗を恐れずにやってみることが大事です。
言語とか生活の問題よりも「自分自身がどういうことをしたいか」に焦点を当てて仕事をすると、楽しい毎日が訪れます。僕も想いを持った人と一緒にいろいろなものを作っていきたいです。
平井 優介(理学療法士)
理学療法士として国内で経験を積んだのち、カンボジアでの病院立ち上げに参画。現在はベトナムでヘルスケア事業の開発に従事している。自身の知識や技術を世界で活かすべく、日々挑戦している。