- 「子どもが好き」という純粋な気持ちから小児看護の道へ
- 自身の出産を経て変化した心情とは?
- 大切なことを見つめ直すことが重要です
看護師になろうと思ったきっかけを教えてください
姉の存在が大きかったですね
家族が医療従事者であったことから、幼い頃からなんとなく憧れがあって、自分も医療従事者になることが夢でした。
私が高校を卒業するとき、姉はすでに大学生として看護の勉強をしていました。いつも近くにいた姉が頑張っている姿を見ているうちに「私も同じ大学にいきたい、いつか私も姉のように看護の勉強をしたい」と感じたことを覚えています。
看護師になりたいと思っていたものの、もともと子どもが好きだったので保育士とも迷いました。しかし、社会的なニーズや給与面のことを考えた時に、看護師は国家資格であるということは、ひとつの大きな決め手でした。子どもが好きだということは、看護師として働く上でも大切な価値観となりましたね。
看護学生時代はいかがでしたか?
小児分野の実習が一番楽しかったです!
大学1年生の後半のときに、初めて患者さまと触れ合う経験をして「私はこれから看護を仕事としていく」という自覚が芽生えました。
今思うと、患者さまと直接関わることができる実習は、自分にとって大事な経験だったように感じます。本格的な実習が始まってからは、看護についての勉強をしながら、アルバイトも頑張る生活を送っていました。
大学の実習ではいろいろな分野を経験させてもらえたんです。課題の量が多く睡眠時間を十分に確保できないときもありましたが、患者さまと関わり感謝されることで大きなやりがいを感じることができました。
数ある実習の中でも、特に小児分野の実習が一番楽しかったです。指導を担当してくださった看護師さんが優しく「私も同じような看護師を目指したい」と思うようになりました。
理想の看護師さんに出会えたことは、大事な経験でしたね。
幼い頃から年下の子をかわいいと感じていたことに、小児科での実習経験が加わって、小児科の看護師として、こども病院で働きたいと思うようになりました。
臨床に出てみて感じたことはありますか?
正直なところ、初めはギャップを感じていました
大学を卒業後は、実習で行かせてもらっていた、こども病院に就職しました。配属先は実習のときの病棟ではなく、医療的ケアが必要な子どもたちが入院している病棟です。
実習では元気よく走り回る子どもたちと関わっていたため、思い描いていたものと違うギャップを感じていましたね。しかし、ギャップを感じていたのは最初だけで、実際に子どもたちと関わっていくと、寝たきりだったり気管切開をしていたりしても、子どもたちが発するサインや表情の変化を読み取れたときは大きなやりがいを感じました。実習のときに感じていたものとはまた違う良さがありました。
医療的ケア児のみならず、小児科で関わっている子どもには、その子を大切に育てている親の存在があります。ご家庭ごとのケア方法があって、こだわりをもっている場合が多いので、病棟で看護をする際には、親の育児の方法も加味していくことが大切なんです。
小児科ならではの難しさも感じつつ、日々の臨床と向き合っていました。ご家族と定期的にコミュニケーションを取りながら共に喜びを分かち合うことができ、小児分野ならではの嬉しさを感じられました。
現在の活動について教えてください
SNSを活用した仕事をしています
今はInstagramをメインに、子どもたちの健康を守る方法について発信しています。自分の子どもが保育園で風邪や感染症をもらってきてしまい、まともに通えなかった時期があったので、同じように悩むママさんたちの役に立ちたいと思って、子どもの感染症に関する情報発信を始めました。
また、子育て支援として個別相談やSNSのコンサルもしていますが、オンライン上だけではなく直接子どもと関わる機会もほしいと思い、最近ではニューボーンフォトグラファーとしても活動しています。
現在の活動を始めたのは、出産を経験したことが大きな理由でした。出産前は子どもが好きで職場環境が良い病院で働くことに楽しさを感じており、育休が明けたらできるだけ早いタイミングで職場復帰をしようと考えていました。しかし、いざ出産を迎えると、自分の気持ちがガラッと変わり「我が子とできるだけ一緒にいたい」と思うようになったんですよね。
専業主婦になりたいわけではなく働きたいとは考えていたため、子育てと両立できるような働き方を探していました。そんな時に、たまたまInstagramが仕事になるという情報を得て、現在のような発信活動をするようになりました。
現在の活動に詰まっている想いと、社会に与えたい影響について教えてください。
自分の「大切なもの」や「大切なこと」を見つけてほしいです
SNSで看護師として正しい知識を発信をすることによって、小さなお子さんが風邪を引いたときに苦しんだり心配したりするママたちの手助けになれたらと思っています。
お子さんとママたちが笑顔になれたらうれしいですね。現在、私も子育て中ですが、日々不安があります。同じように不安な中で子育てしてるママさんはたくさんいるので「私に相談したら安心」と思ってもらえる相談先になれたらと思っています。
また、子どもは、あっという間に成長します。私の子どももニューボーンフォトを撮影してもらい、今でもお守りのように大切にしています。今度は私が撮影する立場となり、たくさんの方に「あの時は小さかった子どもが大きくなったな」と実感してもらえたら嬉しいです。
私が出産というライフイベントを経て、改めて家族との時間を大切だと気づけたように、子育てに奮闘中のママたちも何かやりたいことがあるはずなんです。自分の働き方を見つめ直し、何が幸せと感じて何を大切にするかを日々考えることは大切だと感じます。
今や、看護師が活躍できる場所は、病院以外にもたくさんあります。「看護師だから〇〇できない」ということはないです。
私が小児看護から現在の働き方にシフトすることができたのも、情報をしっかりキャッチしたからでした。まずは、病院以外で働く選択肢を知るところから始めてみてください。諦めずに働き方を模索することによって、自分のやりたいことが実現できるかもしれませんよ。
こはる(看護師)
看護師の免許取得後、子どもと関わることが好きなこともあり、こども病院の小児科に勤務。自身の出産を経て働き方を見つめ直し、現在は子どもの健康についてのSNS発信やニューボーンフォトグラファーとして活躍中。子どもたちや家族を笑顔にしたいという想いで活動されている。