日本の医療に多文化社会を広げていく!【南部千鶴 / 看護師】

南部千鶴(看護師)

看護師の資格取得後、病院へ入職する。順調にキャリアを積んでいたが、夫の転勤をきっかけにシンガポールへ移住。シンガポールでもクリニックへ入職する。現在はその経験を活かし、日本のクリニックの受付・通訳として優秀な外国人労働者を紹介し、定着させる活動を行っている。

記事の見どころ
  • 南部さんは看護師になることに否定的だった!?
  • シンガポールでの経験が現在の活動に活きている?
  • 日本の医療に多様な文化を

看護師になろうと思ったきっかけを教えてください

南部千鶴

実際の現場を経験し、看護師の魅力を感じました。

私の母親と祖母は看護師として働いていました。医療が身近にあったものの、最初から看護師になろうと思っていたわけではありません。むしろ、母親の夜勤の影響で寂しい思いをした経験から、当初は看護師になることに抵抗を持っていました。

そのため学生の頃は、ブライダル業界など華やかな職種に憧れを抱いていたかと思います。しかし、就職活動は思うように進まず、一時はフリーター生活を送っていました。

そんな不安を感じていた時期に、祖母の紹介で看護助手として働くことになりました。今思えば、この時の経験が大きな転機だったかと思います。

看護助手の仕事は雑務や清掃が中心で、最初は苦痛を感じていました。オムツ交換や掃除など慣れない仕事に嫌気が差し「やはり自分には無理だ」と思った瞬間もあったことを覚えています。

しかし、患者との触れ合いを重ねるうちに「ありがとう」と感謝される瞬間が増え、その喜びが私の心に響きました。この経験から自分が人の役に立つ実感を得たことで、看護師の仕事に対する見方が徐々に変わり始めます。

そして、職場の先輩たちの影響を受け「資格を取得して看護師としてしっかり働こう!」と決意したのです。働きながらの勉強でしたが、無事に資格を取得し、看護師の道へと大きな一歩を踏み出しました。

現在の活動のきっかけを教えてください

南部千鶴

シンガポールの経験が大きく人生を変えました。

資格取得後は、病院へ入職しました。順調に看護師としてのキャリアを積んでいたかと思います。それまで順調に進んでいましたが、夫の転勤によりシンガポールへ移住しました。今思えば、この時が人生における重要な転機だったかと思います。

そして、シンガポールでの全く新しい生活を始めることになりました。当初は専業主婦としての生活に慣れようと努力しましたが「働いていない自分」に違和感を抱くようになります。「再び仕事に打ち込みたい!」と考えるようになりました。

南部千鶴

日本でも多国籍社会の力を活かしたいと考えました。

日本人会や現地の医療施設でのボランティア活動に参加し、異国の地で自分のスキルを生かす道を模索しました。現地ではさまざまな国籍の人々と共に働く楽しさを実感する一方、言葉の壁や文化の違いに苦労することも多かったかと思います。

とくに最初に勤めた職場では英語力が足りず、試用期間中に契約を打ち切られるという挫折も経験しました。ただ多文化社会での仕事は、自分の限界を超える挑戦であり、さまざまな価値観を受け入れる柔軟さを養う機会となったのです。

それからはその経験をバネに、別のクリニックで再スタートを切りました。こうした経験を通じて「日本でも多国籍社会の力を医療に活かしたい!」と強く感じたことが、私の現在の活動に繋がっています。

現在の活動を始めたきっかけを教えてください

南部千鶴

外国人労働者と日本の医療機関を結びつける取り組みをしています。

現在は、外国人労働者と日本の医療機関を結びつける取り組みに従事しています。クリニックの受付業務や通訳として働く外国人スタッフを紹介し、職場に定着できるよう支援を行うのが主な活動です。

日本の医療現場が外国人患者に対応できる体制を整えるだけでなく、異文化交流を通じた職場の活性化を目指しています。外国人スタッフの導入は、ただの労働力の補充ではなく、日本の医療現場に新しい視点をもたらすものだと考えているのです。

南部千鶴

外国人労働者を受け入れることが、日本の医療の未来を切り開く鍵になると信じています!

またスタッフが文化の違いを乗り越え、互いに協力しながら働ける環境を作り出すためのサポートも行っています。多様な文化と価値観が共存する環境で、日本人スタッフと外国人スタッフが互いに学び合い、質の高い医療を提供する体制をつくり出していきたいです。

そして、外国人スタッフの受け入れ体制が進むことで、医療現場には多様な視点が取り入れられ、働く環境が改善されることを期待しています。さらに、医療従事者の働きがいも向上し、より多くの人材が医療の現場で活躍することを望んでいます。

この環境を実現するためにも、より日本の医療をより魅力的で働きやすいものへと変えていくことが私の使命です。

現在行っている活動への想いを教えてください

南部千鶴

多文化社会がもたらす活力を活かし、日本の医療のアップデートを目指します!

私はシンガポールでの6年間の生活を通して、さまざまな民族や文化が調和することの素晴らしさを体感しました。この経験にもとづき「日本の医療にも新しい風を吹き込み、多文化社会がもたらす活力を活かしたい!」と考えています。

日本の医療の現場は、超高齢化社会において深刻な人手不足に直面している状況です。そんな社会の中で、外国人労働者の受け入れを医療の未来を切り開く重要なステップだと考えています。

多国籍なチームが協力し合い、それぞれの文化が持つ強みを活かすことで、医療の質の向上が期待できると考えているのです。こうした取り組みは、患者にとってもスタッフにとっても「働きやすく、支え合える環境」を作り出せると信じています。

そのために、将来的に日本の医療が国際的な視点を取り入れ、多国籍労働者が活躍できる社会を実現していきたいです。これまでの活動の中でも、クリニックに外国人スタッフの導入を成功させ、良好なフィードバックを得ることができています。

この成功体験をもとに、さらに多くの医療機関で外国人労働者を受け入れ、多文化共生のモデルケースを構築していくことが今の目標です。それができれば、世界の医療機関の中でも模範的な存在になれると私は確信しています。

私はこれからも、世界から信頼される医療体制の構築を通じて、日本がグローバルな舞台でリーダーシップを発揮することを目指していきたいです。そして、多文化社会がもたらす活力を活かし、日本の医療に新しい風を吹き込んでいきます。

最後に読者へ伝えたいことはありますか?

南部千鶴

挑戦を通じて、自分の可能性を広げましょう!

私は、さまざまな挑戦とともに成長してきました。だからこの記事を読んでくださる皆さまにも「変化を恐れず、一歩を踏み出してほしい」と伝えたいです。

もちろん順調に進んできたわけではありません。とくにシンガポールでの生活を通して多くの困難に直面しましたが、それを乗り越えたことで新しい道が開けました。その経験から「挑戦を通じて、自分の可能性を広げることができる」と思ったんです。

医療の現場でも同様です。変化を受け入れることが難しいこともありますが、新しいことに挑戦する勇気を持つことが、未来を切り開く鍵になると感じています。

だからこそ私は、新しい働き方や多文化共生の考え方を取り入れることが、日本の医療の未来を切り開くきっかけになると確信しています。もちろん、療現場における多文化対応や新しい働き方への挑戦は、簡単なものではありません。

それでも私の挑戦と想いが、多くの人々に希望と勇気を与え、明るい未来を築けるのであれば挑戦し続けていきたいです。これからも無理だと諦めず、自分がやりたいことに向き合い続けていきたいと思います。

一緒に日本の医療を変えていきましょう。

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