- 看護師になったきっかけは「自立」を目指したからです。
- きっかけは友人の姿!海外経験を経て気づいた医療英語の大事さとは?
- 身近になかったからこそ「医療英語学習コンテンツ」を作成したい。
看護師を目指したきっかけ、学生時代のエピソードを教えてください

自立した大人になりたくて看護師を選びましたが、徐々にやりがいある仕事だと気づきました。
看護師を目指そうと思ったのは高校生のときです。就職氷河期世代だったので、地に足をつけて就職しようと思っていました。「自立した大人になりたい」という目標もあり、周囲からのアドバイスをもらう中で医療職に進もうと決め、最終的には看護師を目指すことに決めました。
医療従事者がいる家系ではなく、入院した経験もほとんどなかったので、当時は看護師がどんな仕事をしているのかすら知らなかったです。
看護学校の勉強は大変でしたし、何より覚えることが多かったですね。あまり勉強に励むタイプではなかったため苦労しました。しかし、患者さまに感謝されたことは一つの成功体験でしたし、看護師はとてもやりがいのある仕事だ」と感じられました。
看護師として働いてみていかがでしたか?

恵まれた環境で看護師として成長できました。
最初は、大学病院の看護師として勤務しました。
看護学生のときに整形外科病棟で脊髄損傷の患者さまを担当させていただき、身体的な側面だけでなく精神的なフォローをする難しさを感じた経験があります。この経験がとても印象に残っていて、将来は整形外科病棟で働きたいと思っていました。
また、実習担当の看護師さんがとても素敵な方で、一緒に働きたいと思って整形外科病棟を選んだのもあります。最初の就職先は、看護師としてスキルを磨いたり経験を積んだりしていく上で、とてもよい環境でした。
あるとき先輩看護師から「あなたは優しい看護師になりたいの?頼られる看護師になりたいの?どっち?」と聞かれました。私は絶対的に頼られる看護師になりたかったので、そこからより一層勉強に励むようになり、知識を蓄えていくことの大切さを感じましたね。
海外で看護を学んでみていかがでしたか?

国によって看護師の仕事範囲が違うと知りました。
看護師5年目にオーストラリアに渡りました。オーストラリア行きを決めたのは、ワーキングホリデーをしていた友人に「海外に住むとまた見える景色が変わってくるよ」と言われたことがきっかけです。とても楽しそうに話をしている友人を見ていて、私も行ってみたいという気持ちが湧いてきました。
また、私は短大卒だったので、大学を卒業したい気持ちもあり、直感で「これだ」と感じ、現地の語学学校を経て大学の看護コースに入学しました。大学では学ぶツールとして英語力が必要だったため、英語を学習できる良いきっかけになりました。
日本では、看護師が担う領域が広いように感じました。まだまだ看護師が介護まで担う病院もありますし、現役の臨床看護師が勤務時間外で看護研究までしないといけません。海外に比べるとタスクの量が多いと思います。日本とオーストラリアの看護現場を比べてみて、それぞれの良い面も悪い面も知りましたね。
SNSでの発信について教えてください

誰でもわかる医療英語を心がけて発信しています。
オーストラリアで看護学士号を取得してから、日本に帰国。帰国後は、オーストラリアでの経験を活かし、米軍基地で医療通訳として働きました。日本の医療現場で働いて思ったのは、英語でコミュニケーションを取れる医療従事者が極端に少ないということです。
総合病院や大学病院といった大きな病院でも、日本語バージョンの説明書類しかなくスタッフも英語に対応できていないと知り、私自身の経験を活かして何とかしないといけないと強く感じました。
そこで、2024年からInstagramを中心に医療英語についての発信を始めました。医療英語というと、なんとなく難易度が高いように感じられる方が多いため、初心者の方にもわかりやすく発信することを心がけています。また、医療従事者として、実際の現場でどのような言い回しを使用すればいいかわかるようにフレーズの発信をしています。
現在の活動と詰まる想いについて教えてください

私の経験を還元し、外国人患者さまの対応ができる医療従事者を増やしていきたいです。
2024年からInstagramを中心に医療英語の浸透に注力してきましたが、まだまだ身近で医療英語を学習できる方が少ないのが事実です。
そこで、2025年2月から順序立てて医療英語を学べるオンラインプログラムを設計することにしました。多忙で不規則な生活をしている医療従事者の方々の時間を考慮して、無理なく学習を進められるように、オンライン上でインプットからアウトプットまで行える形式にしています。一通り実践していただけると医療英語が身につくように設計しており、外国人患者さんが来院されたときに円滑なコミュニケーションが行えることを目指しています。
外国人の患者さまは、慣れない環境で孤独を感じている上に、言葉の通じる医療従事者がいないと不安になります。また、インバウンドが加速する社会において、医療英語は今後も重要になっていくと思っています。
最近は、ワーキングホリデーなど英語に触れたいと考える看護師が増えていますが、現場で使用するレベルまで習得できてる方は極めて少ない状況です。より多くの医療従事者が「医療英語」をマスターしてほしいですし、困っている外国人患者さまを助けられるよう、言語の垣根を越えて手を差し伸べられるような医療業界にしていきたいですね。
ナースミキコ(看護師)
看護師5年目でオーストラリアへ渡り、現地の大学の看護コースに入学。看護学士号を取得する。日本の医療現場における言語の課題に気づき、医療英語を使える看護師を増やしたいとの想いから、SNS発信に注力。現在は、現場で使える医療英語学習コンテンツを作成し、医療従事者の英語力向上に尽力している。