医療従事者も資産運用をしよう!【那谷祐子 / 薬剤師】

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那谷祐子(薬剤師)

薬剤師の資格を取得後、製薬会社や病院でキャリアを積む。出産をきっかけに保険業界へ転職。保険や資産について学びを深め、資産運用を実践できる医療従事者を増やしたい想いで活動している。

記事の見どころ
  • 薬で治らない病気がある?それなら私が薬を開発しよう!
  • 業界をがらっとチェンジ。保険業界へ転職した背景とは?
  • 自分の資産を自分でつくれる医療従事者を増やしたい。

薬剤師を目指したきっかけを教えてください

那谷祐子

薬で治らない病気に興味を持ったことです。

薬について興味を持ち始めたのは中学2年生のときでした。ニュースでAIDS(後天性免疫不全症候群)が取り上げられていて、夏休みの自由研究で調べてみたんです。薬を飲めば大抵の疾患は治ると思っていましたが、薬を飲んでも治らない疾患があることに驚きました。

また、その翌年に祖母を大腸がんで亡くす経験をしました。がんも薬では完全に治癒できないと知り、世の中には薬で治癒できない病気が意外と多いことを知ったんです。

そして「私が薬を開発すればいい!」という単純な発想から、薬剤師を目指すことを決意。女の子は手に職をつけた方がいいという母からのアドバイスも相まって薬学部を目指しました。

学生時代からこれまでのキャリアについて教えてください

那谷祐子

常に先を見越して最善の選択をしてきました。

大学1年生のときにゼミを見学できる機会があり、抗がん剤研究に強いゼミに行きました。当時は催奇形性の観点から、男性でなければ抗がん剤開発は難しいと言われてしまい「抗がん剤の開発は難しいのか。開発には携わっていたいけど」と、モヤモヤしつつ過ごしていたことを覚えています。大学に入って早々、完全に出鼻を挫かれた形です。

薬の開発は難しくても最先端の情報を知りたい思いがあったので、最初は製薬会社に就職しました。メディカル・リプレゼンタティブ(以下、ⅯR)として働かせてもらい、とても楽しく充実した日々を過ごしましたし、社内のボーナスの査定においても常に上位の評価をいただいていました。MRとしては、ある程度の成果を出せたと思っています。

2013年には、結婚を機に病院へ転職。MRの仕事柄、将来的に子育てと両立するのは難しいと思っていたので、先を見越しての転職でした。育休・産休後のキャリアも加味した結果、病院薬剤師として経験を積むことが必要だと考えたんです。病院では、ずっと興味があったがん治療に関われたのがよかったです。

2017年からは調剤薬局に勤務し、2020年からは子どもが生まれたことをきっかけに保険業界で働き始めました。

保険業界に転職した背景を教えてください

那谷祐子

ライフステージとマッチした働き方ができると思ったからです。

大きなきっかけは、子どもができたことです。調剤薬局でのフルタイム勤務では育児との両立が難しいと思っていたので、以前から興味のあった保険業界への転職を決めました。

実際に働いてみると、時間の融通が利き、子どもの急な体調不良で迎えに呼ばれたときも柔軟に対応できました。フルタイムの薬剤師では難しい働き方が保険業界に移ったことで実現できたと思っています。そして、保険商品を扱う仕事についても、とてもおもしろいと感じました。

ただ、お客さまにとって何が本当に必要で、どうすれば保険を通して手を差し伸べられるのか。保険の仕組みを学び知識を蓄えていくにつれて、悩むことも増えました

私は保障は持つべきだと思うし、保険は使い方を工夫することが大切だと思います。世間的にさまざまな意見がありますが、保障内容がしっかりしていて価格が妥当であれば必要だと思っています。

今は保険代理店で働いています。よりたくさんの選択肢を提案できる方がお客さまにとって魅力的であると思い、保険会社から保険代理店に転職した、という経緯です。お客さまの担当者として、信頼される人でありたいと常に思っています。

資産運用を始めたきっかけを教えてください

那谷祐子

将来に不安を感じていたからです。

実は保険業界に転職するまで、資産運用を全くしていませんでした。むしろ、働いた分を使うことが当たり前だと思っていましたね。

ただ子どもが生まれたことで、教育資金を考えるようになりました。多額の資金をすぐに用意することはできないため、日々の資産運用が大切だと気づいたんです。

最近は転職される医療従事者が多いように感じます。私もこれまで5回転職を経験してきました。しかし、ここで考えておかなければならないのは、転職する度に退職金がリセットされていることです。

キャリアアップのための転職は素晴らしいですが、老後の資金として退職金をあてにできない可能性があります。こういった事実に気づけていない医療従事者は多いと思うんです。実際に、資産がないから働き続けているベテランの方も多くいます。

医療従事者は日常生活のなかで保険や資産に触れる機会が少ないですが、老後の資産は自分でつくることが大切ですので、私が少しでもお手伝いできたらと思っています。

ご自身の活動を通して社会にどんな影響を与えたいですか?

那谷祐子

ライフステージに合わせた資産運用ができる医療従事者が増えてほしいです。

保険というのは、必要な時にきちんと保障が出ないと意味がありません。医療保険やがん保険、収入保障など、さまざまな保障に対応した保険があります。

資産運用に関しては、NISAやiDeCo、株や債券などがありますが、それぞれメリット・デメリットがあるため、その方の収入や家族構成に応じた使い方をするといいと思います。自分にとって今必要なものを必要な分だけ選択していくと良いのではないでしょうか。

また、資産運用をしていてある程度お金が増えてきた時に引き出す方がいますが、極力やめた方がよいです。あくまで資産運用なので、長期的な目線をもっておくことが大切ですね。

私自身が「資産運用をもっと早く知っておけば」と強く感じた経験があるため、同じように後悔してほしくないです。そして、自分の将来に対して自分で対策を取れる医療従事者が増えてほしいと思っています。

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