- 自身のケガをきっかけに理学療法士を目指した。
- 苦手分野の勉強中に、ピラティスと出会い虜になった。
- ピラティスを行うことで介護予防になる!活動を通して伝えたいこととは。
理学療法士を目指したきっかけを教えてください。

学生時代、部活動のケガでお世話になったことがきっかけです。
高校生の時に剣道部に所属しており、肩や腰、膝などのケガをして治療を受けていくなかで、理学療法士の仕事を知りました。それまでは医師や看護師などのポピュラーな職業しか知らなかったので、こんな仕事もあるのかと印象に残ったことを覚えています。
整骨院の先生に「向いているんじゃないか」と理学療法士をおすすめしてもらったこともあり、選手をサポートする側に興味を持ちました。柔道整復師やトレーナーといった選択肢もありましたが、ケガをした方のリハビリに関わりたいと思ったのが理学療法士を選んだ理由です。
実際に学校に入ると、勉強は想像以上に大変でした。「こんなに大変だったとは!」と驚きましたね。
人生の転機を教えてください!

理学療法士として働いていた時に、ピラティスの体験レッスンを受けて衝撃を受けました。
大学卒業後は、理学療法士として通所型介護施設に就職しました。学生時代の実習は病院やクリニックが中心だったので介護の世界は初めてでしたが、社会人としての立ち振る舞いや接遇面も勉強になりましたし、退院後の生活を先に知ることができたのが良い経験だったと思います。
その後、1年6ヶ月で病院へ転職。施設では介護業務も多く、もっとリハビリの仕事をしたいと思うようになったのが、転職した理由です。
就職先の総合病院では、急性期から回復期、維持期のリハビリまで一通り経験することができました。 総合病院には何年も入院している患者さまもいて、病院に来る前段階をどうにかしないといけないと感じていました。
また、理学療法士として働いていく中で、自分は運動療法が苦手だと気がつきました(笑)苦手を克服しようと調べている時に出会ったのがピラティスです。まずは体験してみようとスタジオに行ってみたところ、翌日に筋肉痛になりました。
こんなにも身体を使えていないんだと実感しましたし、ピラティスの効果の高さに目から鱗でしたね。そこから、自分もピラティスを教えられるようになりたいと思い、病院勤務を続けながら資格を取得しました。
資格取得後にはピラティススタジオを運営している会社へ転職。インストラクターとして働き始めました。
実際にピラティスインストラクターとして働いてみて、いかがでしたか?

病院との違いに驚きました。
理学療法士としてリハビリを行うのと、ピラティスインストラクターとして教えるのでは全然違いました。
理学療法士時代は「リハビリをやらされている」という意識の方が多かったように思います。しかし、ピラティスに通う方々は自らお金を払って来ているので、とても意識が高い。意識の違いをとても感じました。
また、ピラティスインストラクターはサービス業なので、病院とは求められることが違うことに苦労しましたね。ただ、スタッフの数が少なかったので、心構えもそこそこにすぐにインストラクターデビューを迎え、場数を踏む中で研究を重ねていった流れです。
ピラティスインストラクターとして働き始めてからは、特に女性のお客さまに気を遣うようになりました。高身長の男性が担当すると、威圧感を与えてしまうと思うんですよね。女性のお客さまを担当する時は、お客さまの年齢や性格に合わせて、距離感や接し方に気をつけています。

インストラクター業だけではなく、スタジオの立ち上げやインストラクター養成講座の講師も経験しました。
勤めている会社のスタジオが増えていく中で、入社半年で店舗の立ち上げも任せていただきました。物件探しから始めて、店舗立ち上げの流れを勉強できた貴重な経験でした。
一番大変だったのは人材確保です。なかなか必要な人材が揃わず苦戦していたところ「人材確保が難しいなら人を育てよう」という方針になり、インストラクター養成講座もつくりました。そこで講師もさせていただき、さらに教え方の幅が広がりました。
開業を決めたのは、年齢が大きな理由でした。理学療法士を目指した時からいずれは開業したいと思っていて、少しでも若いうちに行動したかったので30歳の節目に独立を決意。独立に対しての恐怖心はなく、できるところまでやってみようという気持ちの方が強かったです。
現在の事業内容を教えてください。

医療や解剖の知識に基づいたピラティススタジオを運営しています。
2024年8月にピラティススタジオ「KASHIWA DE PILATES SHIP」をオープンしました。現在は、医療や介護の現場で培った理学療法士の知識と、ピラティスインストラクターの経験をもとにプライベートレッスンを提供しています。
お客さまは10代〜80代までさまざまで、老若男女問わずレッスンを受けに来ていただいています。50代のお客さまが、ご両親を連れてリピートしてくださることもあり、嬉しかったですね。
現在は1店舗ですが、今後は少しずつ店舗を増やしていけたらと思っています!
活動を通して、社会へどのような影響を与えたいですか?

ピラティスを広めることで、介護が必要になる方を減らしたいです。
理学療法士として働いていた時に、身体機能が低下した患者さまをたくさん見てきました。
そこで気がついたのは、普段の運動習慣や身体の使い方でケガや病気を予防できたケースが多くあるということです。また、病気やケガを予防して健康な身体を維持することで、介護が必要な状態にならないことが一番大事だと実感しました。
もちろん病院や介護施設でのリハビリも大事ですが、折角治療しても元に戻ってしまうことがあります。そして、身体を動かす習慣がないと、また身体が動かない状態になってしまう。
だからこそ、治療が必要になる前段階にアプローチすることが必要だと思うようになりました。ピラティスでは、運動習慣や正しい身体の使い方を身につけることでケガや病気で動けなくなる方を減らすことができると考えています。
最近は「少し身体が痛い」と言って来てくれるお客さまも増えてきました。動かなくなってからではなく、予防のための行動を起こせるように気持ちを変えていけているのかなと感じています。
これからもピラティスの良さを広めて、一人でも多くの方の健康な身体を維持するお手伝いができたら嬉しいです。
平野隼士(理学療法士)
理学療法士として経験を積んだのち、ピラティスインストラクターへ転身。レッスンだけでなく、インストラクター養成講座の講師やスタジオの立ち上げも経験し、2024年8月に自身のスタジオ「KASHIWA DE PILATES SHIP」をオープン。ピラティスを通して、健康な身体を維持し介護が必要になる方を減らすために活動している。