- 人間関係が整えば、すべてがうまくいく!
- 心の土台を整えるためには?
- 1人で悩まず、自分の可能性を信じて
歯科衛生士になろうとしたきっかけを教えてください

国家資格を取得し、安定した職業を選択しました。
私が歯科衛生士という職業を選んだのは、決して強い憧れや夢があったからではありませんでした。正直なところ、当時は就職氷河期で、将来に対する不安が大きく「安定した仕事を」と考えていました。
そんな中で目にとまった職業が、国家資格である歯科衛生士の道でした。国家資格があれば、どんな状況でも働ける。そんな現実的な理由から、私は歯科衛生士の学校に進むことを決めました。
資格を取得してからは、さまざまな歯科医院を経験しながら、スキルを磨いてきました。当初は2年ごとに転職を繰り返していた時期もあり、職場によって雰囲気や人間関係、業務内容も大きく異なることに驚いたことを覚えています。
私にとっての最初の職場選びは、職種ではなく「働ける環境」が最優先でした。その一方で、経験を重ねる中で「歯科衛生士としてどうありたいか」「自分は何を大切にして働いているのか」といった内面に目を向けるようになりました。
現場の中で経験を積むにつれて、自分にとって「働くこと」の意味や意義を考えるようになり、自分の強みや価値観を見つめ直すきっかけになったのです。この気づきが、後に私のキャリアを大きく変える大切な分岐点となっていきました。
コンサル事業についてを教えてください

人間関係に特化した歯科医院向けコンサルを行っています。
現在、歯科医院向けのコンサルティング業を行っています。主な内容は、院内の人間関係改善やスタッフのメンタルケア、コミュニケーションの質の向上などに特化したサポートです。
かつて私自身が経験した「相談できる場所がない」「院長や後輩との関係に挟まれて疲弊する」といった状況を少しでも減らしたいという想いから、この事業を始めました。
コンサルティングの中でとくに力を入れているのが、いわゆるメンター制度の導入です。外部の第三者的な立場からスタッフの悩みに寄り添い、組織としての在り方や関係性を改善する取り組みを行っています。
実際に導入した医院では、院長のアンガーマネジメントが整い、スタッフの離職率が下がりました。また、患者数の増加や求人への応募者が増えるなど、目に見える成果が出ています。
私が大切にしているのは、医院全体の「空気」を整えることです。単なるスキルやテクニックの指導にとどまらず、その医院ごとに異なる文化や価値観、関係性を見極めながら、一人ひとりが安心して働ける環境づくりを支えています。
歯科医院という閉ざされた空間だからこそ、外部の視点を入れることで変化が起こせる。その変化の一端を担えることが、私にとって大きなやりがいとなっています。
講座&コミュニティ事業について教えてください

歯科衛生士向けに「心の土台を整える」をテーマに講座をしています。
コンサル業と並行して、私は歯科衛生士向けの講座にも力を入れています。この講座のテーマは「心の土台を整えること」です。
歯科衛生士という枠にとらわれず、1人の人間として自分と向き合える場所を提供することを目指しています。現場での悩みや不安を誰にも相談できず、孤立している歯科衛生士が多いと感じたことから、この活動をスタートさせました。
このプログラムでは、自己肯定感の向上や自分軸で生きることの大切さを中心に据えています。講座の中では、自分の思考パターンを見直したり、無意識に抱えている思い込みに気づいたりするワークを実施中です。
受講生からは「自分の本心がようやく見えた」「これまで何となく働いていたけど、やりたいことが見えてきた」といった声が寄せられています。

歯科衛生士向けのコミュニティも運営しております。
また、参加者同士のつながりもこのコミュニティの大きな価値です。現場で孤独を感じている歯科衛生士にとって、安心して本音を話せる仲間の存在は非常に貴重な場だと感じています。
肩書きや役職にとらわれず、対等に話し合える場所があることで「自分は1人じゃない」と思える。そんな心の支えになるようなコミュニティづくりを意識しています。今後はこのコミュニティを全国に広げ、多くの医療従事者のメンタルケアに寄与したいと考えています。
事業に詰まっている想いを教えてください

人間関係が整えば、すべてが整う!
私の活動の根底にあるのは「人間関係が整えば、すべてが整う」という信念です。医療従事者の世界は、非常にシビアで、失敗が許されない空気感の中で働くことが求められます。
その結果、どうしても「できて当たり前」「人を助けて当たり前」というプレッシャーを抱え、他人を判断しやすい環境が生まれてしまいます。
しかし本来、人にはそれぞれ得意不得意があり、役割の違いがあるのが自然です。その違いを尊重し合い、認め合える環境があれば、人間関係はもっと楽になり、仕事へのモチベーションも上がるはずだと思っています。
だからこそ、まずは「自分との関係性」を整えることが、人との関係性改善につながると考えています。自己理解が深まれば、他者への見方も自然と変わるのです。
私のビジョンは、こうした個と組織の在り方を見直すきっかけを、もっと多くの医院や医療機関に広げていくことです。また、歯科業界に限らず、さまざまな業種や職種でも応用できる「心の土台づくり」を伝えていきたいと思っています。
最終的には、どんな人でも「自分らしく働ける社会」の実現を目指していきたいと思っています。
最後に読者に伝えたいことはありますか?

1人で抱え込まないでほしいです。
今この記事を読んでいるあなたが、もしも今の働き方に悩んでいたり、人間関係で苦しんでいたりするのなら、どうか「1人で抱え込まないでください」とお伝えしたいです。
かつての私も「歯科衛生士=臨床」で働くものという固定観念に縛られていました。そして、院長やスタッフとの関係に疲れ、メンタルのバランスを崩したこともあります。しかしその経験があったからこそ、今の自分があり、誰かの力になれる活動ができています。
今は選択肢がたくさんあります。臨床だけがキャリアのゴールではありません。あなたが持っている経験や個性、強みは、もっと別の形で社会に貢献できる可能性を秘めています。視野を広げ、自分を信じることができれば、新しい道はきっと開けます。
働き方の多様性が広がっている今だからこそ、自分の人生を見直すチャンスでもあります。「もうダメかもしれない」と思う日があっても大丈夫。そんな日々を超えて、笑顔で働ける未来を築いていけるよう、私も応援しています。少しでもいいので自分の可能性を信じて、行動してみてください。
岩本真紀(歯科衛生士)
国家資格を取得し歯科衛生士として活動。人間関係の悩みをきっかけにフリーランスへ転向し、心理学やメンタルトレーナーの学びを深めながら、歯科医院向けの人間関係改善コンサルやコミュニティ活動を展開。歯科衛生士の「心の土台を整える」ために、働き方の選択肢を広げる支援を続けています。