- 新谷さんは、家族の健康のために理学療法士を志した。
- 総合病院で勤務をしつつ、パーソナルトレーナー・大型スポーツ店での健康サービス提供など、多岐に渡る活動をしていた。
- 医療従事者が院外でやりたいことをする可能性を伝えたい!
理学療法士を志したきっかけを教えてください

身近な人の健康を守るために必要な知識を学びたいと思ったからです。
学生時代から身体に関わる仕事をしたいと思っていました。ただ、インテリアにも興味があって受験の科目が異なるため塾の講師に相談したんです。
そのとき、身体に関わる仕事として勧められたのが理学療法士でした。父が首のヘルニアを患っていたり母親が糖尿病の家系だったりしたこともあって、興味を持ちました。
理学療法士は、将来的に親や子どもに健康や運動に必要な知識を伝えられるというのも魅力に感じました。
実際に理学療法士として働いてみていかがでしたか?

患者さまが良くなっていく姿を見ることがやりがいでした。
ただ、最初の頃は自分の施術で良くならない患者さまでも、先輩が治療すると良くなっていくこともあり、実力不足を痛感して悔しいことが多かったです。
そんな悔しさもあり、勉強会には積極的に参加していました。
また、いずれは自分で事業をやってみたいと思いがあったので訪問リハビリテーション、パーソナルトレーナーなどを兼業してお金をためつつ、理学療法士としてのさまざまな経験を積んでいきました。

特に印象深かったのは、都内大型スポーツ用品店で一般の方向けに健康サービスを提供したことです。
きっかけは、同じ職場の理学療法士の先輩に声をかけてもらったことでした。
その先輩は「スポーツ用品店の健康エリアに理学療法士がいれば、困っているお客さまにもっと適切なアドバイスができるのでは」と考えて、知人と一緒に新しいサービスを立ち上げ、私を誘ってくれました。
理学療法士がスポーツ用品店にいるのは、国内でも珍しいと思います。
病院では健康な方に関わることがないので、健康な方からの質問にお答えしたり、困っていることの解決をお手伝いできたりしたのは良かったです。実際には、サポーターやテーピング、ストレッチポールなどを手に取るお客さまに声をかけ、体の悩みに応じてサポートしていました。
現在の活動内容と始めたきっかけを教えてください

訪問リハビリテーションを行ないつつ、SNSでのダイエット情報発信やオンラインでのダイエット指導をしています。
スポーツ用品店に勤務していた時から、SNSを活用できたら集客につながると感じていました。また、自分がパーソナルトレーナーとして活動する上でもSNSを活用できたほうが良いと思ったんです。
発信内容をダイエットに決めたのは、身近に間違った知識で悩んでいる人が多かったからです。自分の経験や学んできたことが、そうした人たちの助けになるのではないかと思い、発信を始めました。
SNSを始めてから4ヶ月で7.5万フォロワーとなりましたが、正直ここまでフォロワーが増えると思っていなかったので、うれしい驚きでした。やはりダイエットの需要はとても大きいと感じましたね。
ダイエットは間違った情報が多いので、理学療法士として正しい知識を伝えることを大切にしています。
オンラインのダイエット指導では、食事指導をメインにしています。無理にトレーニングを取り入れるよりも、しっかりと効果につながる食事面を丁寧にサポートしたいと考えているからです。
毎日食事を写真を撮って送っていただき、週1回はオンラインでトレーニングも行います。
トレーニングで大切にしているのは、筋肉を残しつつ痩せる方法をお伝えすることです。初心者の方に運動を教えることは、理学療法士の経験が生きていますね。
ただ、ダイエットに成功された方から「O脚や反り腰を改善したい」といった声をいただくこともありますが、オンラインでは筋肉を直接触って確認できません。その分、言葉や画面越しの動きでわかりやすくお伝えするように工夫しています。
現在の活動に詰まっている思いを教えてください

正しい知識を提供しつつ、行動を継続できる方法を伝えたいです。
私の活動の根底にあるのは『健康の大切さを伝えたい』という思いです。健康になることで悩みも減っていくと思うので、どんな活動をしていても健康の大切さは伝え続けたいです。
ダイエットに関しては、人それぞれの悩みがあると思います。また、間違った知識をもとに行動している方が多いですし、正しい知識を持っていたとしても、実際に行動できていない方が多いです。
なので、医学的に正しい知識を提供しつつ、さらに行動できるための具体的なテクニックを届け続けたいです。
今後は、SNS運用に困っている方のお手伝いができればと思っています。「医療従事者だけれど医療分野以外を仕事にしたい」という方のお手伝いもしたいです。
SNSをやること自体に大きな楽しさを感じているので、ダイエット事業を拡大するというよりは、SNSを活用しつつ新しいことに挑戦したいと思っています。
これからどんな活動をするにしても、理学療法士としての訪問リハビリテーションは続けていきたいです。
読者に伝えたいことを教えてください

新しいことを始めることのハードルは低いと伝えたいです。
医療従事者のみなさんには、新しいことを始めることのハードルは思っているよりも低いと知っていただきたいです。
医療従事者は院外でも活動できますし、今は1つの仕事というより掛け合わせの時代だと思います。そして、やりたいことを仕事にできる時代だからこそ、私自身は時間を有効活用したいと思って仕事をしています。
私の活動を見て「医療従事者にもこんな生き方があるんだ」と知って、何か行動してくださる方が増えたらうれしいです。
新谷海(理学療法士)
身近な人の健康を守るために必要な知識を学びたいと思い、理学療法士を志す。総合病院や都内大型スポーツ用品店での勤務を経て、ダイエットに関するSNS発信、オンラインでのダイエット指導を行っている。