- みぃさんは自身が摂食障害になったことをきっかけに、管理栄養士を目指した。
- 摂食障害になってからの変化とは?
- 「ひとりじゃないよ」と伝えたい。活動に込められた思い。
管理栄養士を目指したきっかけを教えてください。

摂食障害になり「もっと食について知りたい」と思うようになりました。
子どもの頃から食べることや料理が好きで、よく台所に立つ母の手伝いをしていました。家族と一緒に料理をして食べるのが楽しみでしたね。
ところが、小学校高学年の時に摂食障害になってしまいました。食べることが好きで、ふくよかな体型についてからかわれていたことが原因です。
「痩せなきゃいけない」と思い、食事制限をするようになりました。また、スポーツをしていて身体を絞るように言われたこともあり、自己流の過激なダイエットをしてしまったんです。
摂食障害になり自分に向き合う中で、食の大切さに改めて気付きました。自分の将来を考えた時に、調理師やパティシエも思い浮かびましたが、病院で働いている家族から管理栄養士という職業を教えてもらい「お菓子作りも好きだけど、まずはもっと栄養のことを知りたい」と思い、管理栄養士を目指すことにしました。
学生時代はとにかく勉強の日々でした。大変でしたが、今までの興味が知識として吸収されるのが楽しかったです。
摂食障害のご経験について教えてください。

最初は、自分が病気だということを受け入れられませんでした。
自分が摂食障害だとは思いもせず、病気の存在すら知りませんでした。家族がおかしいと気付き、病院に連れて行ってくれて摂食障害と診断されました。
診断を受けた時は、自分が病気だと信じられませんでした。私にとっては正しいことをしているつもりだったんです。
摂食障害の影響もあって、中学校にはほとんど行っていません。人と関わるのが怖くなってしまったんです。ですが、担任の先生や家族の後押しもあり、高校へ進学するために必死で勉強し、何とか進学しました。
高校生になってから、仲良い友達ができたことで「病気を治してもっと普通に過ごしたい」「食事のことを気にせず過ごしたい」と思えるようになりました。そこで初めて、治したいという前向きな気持ちになれたんです。
今はピークの時よりもかなり回復していますが、克服と言っていいのかはわかりません。何かのきっかけで再発する可能性もあります。ただ、今の自分と、摂食障害だった自分、どちらも受け入れられている感じがします。「上手く付き合っている」という表現が一番合うかもしれません。
資格取得後の経歴を教えてください。

特別養護老人ホームに就職しましたが、摂食障害が悪化してしまい退職しました。現在は、特定保健指導の仕事をしています。
管理栄養士の資格を取得した後は、特別養護老人ホームに就職しました。コロナ禍でなかなか就職先が見つからず、たまたま家の近くで募集していたという理由でした。
栄養管理ができると聞いて就職しましたが、実際は厨房業務が中心で、基本的には調理や仕分けを担当していました。希望する業務内容ではないながらも、どうすればオペレーションが良くなるのか、利用者さんに喜ばれる料理になるのか、常に考えて仕事に当たっていましたね。
そんな中、コロナ渦での生活のストレスや職場でのいじめがあり、摂食障害が再発してしまったんです。
退職して環境を変えてからは回復に向かい、現在は派遣社員として特定保健指導の仕事をしています。前職での調理も好きでしたが、病気の経験から「病気にならない人を増やしたい、病気を未然に防ぎたい」と思うようになったため、この仕事を選びました。
管理栄養士の資格を活かして患者さんに直接関われているので、やりがいを感じられています。
現在の活動内容を教えてください。

Instagramでヘルシーなレシピを発信しています!
冷凍ストックができるレシピをコンセプトとして発信しており、バランスのいい食生活を送ること、体が整う時短ヘルシーレシピを意識して投稿を作っています。
情報発信を始めたのは、往復3時間かけての通勤や拘束時間が長いことなど、仕事で辛いと思うことが多く、働き方を変えたいと思ったことがきっかけです。自由な時間が増えたり、経済面が豊かになったりすることで心にもゆとりが生まれると考え、副業を始めようと思い立ちました。
1年半くらいはフォロワーが増えず苦戦しましたし、何度もチャレンジして試行錯誤を繰り返しています。現在の発信内容にしたところ1つの投稿から急にフォロワーが増え始め、今では3万人を越えることができました!自分でもびっくりしています。
また、情報発信をする中で、フォロワーさんや同じ病気で悩む方からご相談をいただくようになりました。少しでも力になりたいと思い、サポートに向けてまずはモニター募集を始めています。
「家族のお弁当のために参考にしている」「栄養たっぷりで参考になる。作ってみたい」といったメッセージをいただくことも多く、励みになっています。遠くからでも、みなさんの助けになっているのはうれしいです。
活動に込められた思いを教えてください。

摂食障害の方を救いたいです。
レシピというジャンルで発信していますが、私の投稿が摂食障害で悩んでいる方に届いたら良いなと思います。まずは私自身のことを知っていただき、同じように悩んでいる方に「ひとりじゃない」「自分も挑戦してみよう」と思ってもらえたらうれしいです。
私の場合、摂食障害のきっかけの1つはダイエットでした。間違ったダイエットをしてしまうと、病気になるということを身を持って体験しています。
病気だと気付いていない方や周りに言えない方、苦しんでいる方はまだまだたくさんいるはずです。摂食障害は周りに理解されないことも多く、本当につらいです。食を粗末にするという罪悪感や後ろめたさも常に付きまといます。
本人が一番つらいのですが、周りの家族もどうしていいのかわからない歯がゆさやつらさがあり、私の家族もそうだったと思います。摂食障害に悩んでいる方やそのご家族が気兼ねなく相談できる環境が必要なので、今後はそうしたサポートも行っていきたいです。
まずは、同じように悩んでいる方に「がんばらなくて良いよ」「わがままで良いから自分を大事にしてあげてほしい」と伝えたいです!





みぃ(管理栄養士)
管理栄養士の資格を持ち、Instagramで健康的に体を整えるダイエットレシピやダイエットについて発信。ダイエットをきっかけに摂食障害を発症した経験から、摂食障害に悩んでいるご本人やご家族のサポート、健康を損ねない正しいダイエット方法を知ってほしい思いで活動中。