食で人は変わる!誰もが血糖値を意識できる社会に。【池ノ内佳苗/管理栄養士】

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池ノ内佳苗(管理栄養士)

手に職をつけたい思いから管理栄養士を目指し、ドラッグストア勤務で挫折を経験。その後、調理を基礎から学び直し、料理講師やダイエットカウンセラーとして人の変化に深く関わる中で「食で人は変わる」と実感する。やがて血糖コントロールの可能性に強く惹かれて起業した。誰もが血糖値を意識できる社会と、管理栄養士の活躍の場を広げる未来を目指している。

記事の見どころ
  • 現実的な理由から管理栄養士を目指すことに
  • 挫折と学び直しが今の事業につながっている
  • 血糖コントロールを「日常の知識」に変えたい!

管理栄養士を目指した理由を教えてください。

池ノ内佳苗
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かなり現実的な理由から選びました。

私が管理栄養士を目指したきっかけは、かなり現実的なところから始まっています。元々「手に職をつけたい」という気持ちを強く持っていました。

薬剤師も候補にはありましたが、ちょうど6年制になったタイミングでもあって「そこまで長く学ぶのは違うかもしれない」と感じ、元々興味があった食べることを軸に、管理栄養士を選びました。

ちゃんとした食育を受けてきたわけではなく、むしろ逆で、家庭ではあまり料理をさせてもらえず、包丁を持つことも、キッチンに立つこともほとんどありませんでした。だからこそ、料理ができる人への憧れが強かったんだと思います。今思えば「管理栄養士になったら料理もできるようになるのかな」という、かなり素直な期待もありました。

池ノ内佳苗
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根っこにあったのは「食べることそのものが好き」という感覚だったと思います。

何を食べるかで、身体も気分も変わる。そこに漠然とおもしろさを感じていて、それが管理栄養士という資格につながりました。

また、当時は心理学やカウンセラーのような分野にも興味がありました。結果として選んだのは管理栄養士でしたが「食と人の変化」の両方に興味があったことは、今の仕事にかなりつながっている気がします。

今までの経歴を教えてください。

学生時代は、かなり大変でした。家庭環境が厳しくて、学校に通うだけでも精いっぱいでした。夜から朝まで働いて、そのまま学校に行くような生活をしていたので「生き延びながら卒業することに必死だった」というのが正直なところです。それでも勉強はちゃんとしていましたし、管理栄養士としての土台は学生時代につくったと思っています。

池ノ内佳苗
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最初の就職先はドラッグストアでした。

ドラッグストアを選んだのは、早く就活を終わらせたかったという単純な理由です。当時、ドラッグストア業界は「管理栄養士として活躍できる」と強く打ち出していて、私もそれを信じて入社しました。

でも、現実は全く違いました。そこにあったのは管理栄養士の仕事ではなく、ほぼ大型ディスカウントストアのような仕事でした。早朝から深夜までの長時間労働、重い段ボールを運び続ける毎日、残業代もつけられないような環境で、1年で体を壊しました。

もちろん、ドラッグストアで活躍している管理栄養士さんもいますが、私が入った職場はそうではありませんでした。

池ノ内佳苗
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ただ、この1年が無駄だったとは思っていません。

一度立ち止まったからこそ、自分は本当は何がしたいのか、栄養の知識をどう使いたいのかを考えるきっかけになりました。そして「栄養の知識だけでは足りない、ちゃんと料理を基礎から学びたい」と思うようになったんです。

池ノ内佳苗
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次に進んだのが、服部栄養専門学校でした。

色々な料理教室に通いましたが、私は不器用なタイプで、少し習ったくらいでは身につかなくて…。そこで「基礎からちゃんと学ぼう」と専門学校に通うことを決めたんです。服部栄養専門学校はメディアにも強く、有名な料理人やシェフが講師として来るような華やかな学校で、惹かれました。1年間学んで、調理師免許を取得しました。

その後は、ABCクッキングスタジオで業務委託の料理講師として働きました。ここでの経験は、今の私にかなり大きく影響しています。豊洲では主婦の方が多く通うスタジオ、汐留では男性も多いスタジオと、毛色の違う現場を経験しました。

料理を教えるということは、自分が分かっていることが大前提です。しかも、主婦の方たちの方が日常的な料理経験が圧倒的に豊富です。知ったかぶりは通用しないし、すぐ見抜かれるので、本当に必死で勉強しました。人に教える難しさとおもしろさを、ここで叩き込まれたと思います。

今の活動に至った大きなきっかけは何ですか?

池ノ内佳苗
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ダイエットサロンでカウンセラーとして働いたことが大きかったです。

全スタッフが管理栄養士のダイエットサロンで、ダイエットカウンセラーとして働いていました。3ヶ月単位でお客様をサポートするのですが、痩せてきれいになって、表情まで明るくなって「うれしい」と泣いてくださる方もいました。

そのようなお客様の姿を見て「人って、食でここまで変わるんだ。見た目と心の健康って、こんなに連動しているんだ」と強く感じたことを覚えています。そこから料理と人の変化を組み合わせて仕事にしたいと思うようになりました。

池ノ内佳苗
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最初は一般的な食事指導が中心でしたが「血糖コントロール」という概念に出会ったことが、大きな転換点になっています。

血糖値を可視化しながら食事を見ていくと、世の中で常識として語られていることと、実際に起きていることが違う場面がたくさんあったんです。「白米だから悪い」「そばだから安心」と一括りにできるものではなく、同じものを食べても身体の反応は人それぞれ違う。

一般論ではなく、その人の身体で何が起きているかを見ないと分からない。そのおもしろさと可能性に一気に引き込まれて「病気の人だけではなく、健康な人にも日常のコンディションを整える知識として、血糖コントロールを伝えたり届けたりするサービスをやりたい」と思うようになりました。

ただ、当時は、ほとんどロールモデルがありませんでした。「ニーズがないからじゃないか」といわれることもありましたが、私は絶対に価値があると思っていたんです。血糖コントロールは我慢や制限ではなく、知識です。

起業についても、最初から明確に目指していたわけではありません。ただ、経営が身近にあったことや、会社で人にいわれたことをこなす働き方よりも、自分で決めたことに責任を持つ働き方の方が合っていると感じていたことは大きかったです。

池ノ内佳苗
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起業当初は不安しかありませんでした。

周りからも「大丈夫なの?」といわれるし、自分自身も自信があるわけではない。お金も借りて、アプリ開発も始めて、毎日動悸がするような感覚でした。でも、それでも進めたのは、自分がやろうとしていることに価値があると信じていたからです。

最初は、料理教室やダイエットスクールからスタートしました。Instagramを活用して集客し、モデルの友人たちに広めてもらいながら、健康食やダイエットプログラムを届けていきました。そこから、研究開発、アプリ、さらに「Gi Deli」という管理栄養士監修のデリブランドの展開へと事業が広がっていきました。今振り返ると、バラバラに見えた一つひとつが、全部ちゃんと今につながっています。

今の活動を通して、これからやりたいことを教えてください。

私の活動の中心には、ずっと1つの思いがあります。「血糖値を、誰もが当たり前に知って意識できる世の中をつくりたい」ということです。糖尿病の相談を受けるようになって、ますますその思いが強くなりました。

2型糖尿病の多くは生活習慣、特に食に関わっています。そして、血糖値の変動は、知識があればかなり防げる領域でもあります。

池ノ内佳苗
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「知っている状態をつくることに価値がある」そう信じています。

糖尿病予防という言葉だけでは、人はなかなか動きません。だから、入口は何でもいいと思っています。痩せたい、きれいでいたい、食後に眠くなりたくない。そういう身近な悩みから入って「結果として病気になりにくい身体をつくれていた」という流れでもいいですし、むしろその方が自然だと思っています。

そのために今後力を入れたいのが、知識の面では「血糖コントロール」の普及、食の面ではGi Deliの展開です。

血糖コントロールの知識を、健康に関わる専門職、そして管理栄養士さんたちを通じて広げていきたいです。そして、自分で知識を身につけることが難しい人や忙しい人でも、健康的な選択を自然にしやすい状態をつくりたいと思っています。Gi Deliのような食事を全国に届けられる状態をつくり、冷凍弁当やレトルトも含めて、もっと生活の中に入り込める形にしていきたいです。

池ノ内佳苗
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管理栄養士の活躍の場をもっと広げたいです。

管理栄養士は、食べ物で人をつくるという領域にアプローチできる、非常に価値の高い国家資格です。それにもかかわらず、年収が低く、資格を活かしきれずに辞めていく人も多い。そんな状況が本当にもったいないし、悲しいと思っています。予防医療が必要とされる時代だからこそ、管理栄養士がもっと社会の前面に出ていいはずです。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

池ノ内佳苗
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知った上で選べることに価値があるんです!

完璧な食生活を強制したいわけではありません。私自身、お酒も飲みますし、楽しんで食べる日もあります。でも、それは「食について知った上で選んでいる」状態です。食について知っていれば、どうリカバリーするか考えられるので、何も知らないままに食べるのとは雲泥の差があります。

池ノ内佳苗
池ノ内佳苗

管理栄養士の力は、もっと社会に必要とされていいはずです。

人の身体は食べたものでできています。そして、その食べるものの選択にアプローチできる国家資格が「管理栄養士」です。だから、もっと誇りを持っていいし、周りの人に健康を伝えていっていい。管理栄養士の力はもっと社会に必要とされていいと思っています。

私の活動だけで世の中を変えることはできないかもしれません。でも、同じ思いを持つ人が少しずつ増えていけば、社会の当たり前は変えられると思っています。

食の知識がリテラシーになること、血糖値を気にすることが一部の人だけの話ではなくなること。そういう未来を、本気でつくっていきたいです。

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