在宅サービスを、更に手厚いサービスに。【柴田亜実 / 看護師】

柴田亜実(看護師)

病棟看護師から訪問看護師の道へ。
看護のスキルアップだけでなく、人としての成長も目標に。
自身の経験から、在宅と病院の連携の円滑性を図る。

 

ー 看護師になった経緯は?

看護師を目指そうと思ったきっかけは2つあるんです!

母が医療系の仕事をずっとオススメしてきたんですよね!

家でも医療系ドラマやテレビ番組をよく見る機会があって、、、(笑)

その影響もあって、子供の頃からずっと医療系の仕事に興味がありました。

もう1つのキッカケはおじいちゃんの入院でした。

おじいちゃんが倒れ、入院していた最中の出来事だったんですが

その時に対応してくれた看護師さんの態度に少し疑問を持つことがあって

ケアや言葉遣いなど、患者・家族への対応が雑だったんです。

そのような看護の現場を目の当たりにして

「医療現場を変えなきゃ!」

と強く思ったこともあり、看護師の道に進むことを決めました! 

ー 看護学生時代のエピソードを教えてください。

親に大学行くなら絶対国立!と言われ、一浪して国立大学の看護に入りました。

大学入ってからはとても大変でした。特に実習は大変で寝れないことも多くて

実習先の看護師さんがとても威圧的だったので怖くて毎日怯えてましたね(笑)

辛い事が多かったですが、一度も辞めたいとは思わなかったです。

「看護師になる!」心に決めていたので、諦めずに勉強と実習に取り組めたんだと思います。

実習は産婦人科の実習が印象的でした!

私が受け持ったのがブラジル人の方で、日本語が通じなかったんです。

言語の壁があって、患者様とのコミュニケーションに戸惑いました。

ですが、日々の関わりの中で少しずつ信頼関係を築くことができ、

赤ちゃんの誕生を一緒に喜んだことを今でも鮮明に覚えています。

退院されるときは、お母さんとお父さんに感謝の言葉を頂き、

「私でも心の支えになれたんだな」と思うことができました。

大変な思いもしながらですが、現場でしか出来ない経験をさせてもらって

看護師って素晴らしい仕事だなと心から思いました。

ー 現場デビューはどうでしたか?

現場では理想と現実のギャップが大きかったです。

最初に配属された課はICU集中治療室だったんですが、ここがとにかく厳しくて

希望していた科では無かったこともあり、心配に思うことが沢山ありました。

ICUでは多数の診療科を受け入れるので、勉強する項目も多くて(泣)

担当する患者様の病態を調べて、先輩方にフィードバックをもらうのですが

厳しい指導で泣いてしまうこともあって…(苦笑)

病態のみではなく、処置などの勉強もあり、休みも返上して学習時間に当ててましたね。

辛い思い出が多いですが、嬉しい思い出もあって

ICUで対応していた患者様の状態が安定して、一般病棟に移った後

退院の時、ICUに顔を出してくれる時があるのですが

その時の患者様の回復力に感動したことを今でも鮮明に覚えています。

人の生命力に関われている環境に感謝しつつも、大切な命を預かる場所なのでいつもピリピリしてました(笑)

 

ー どのくらいで仕事自体は慣れてきましたか?

1年目は冬まで遊ばずに勉強ばかりしてましたね。

冬からは少しずつ気持ちの余裕も出来て、同期とごはんを一緒に食べることも増えました。

その時から仕事の悩みなどを共有するようになり

同期が頑張っているから、自分も頑張ろうって思うようになりました。

2年目からは後輩も出来たことで、先輩の目も後輩に向くこともあり、1年目よりは楽になりましたね(笑)

そのおかげで余裕ができた半面、私はこのままでいいのかと思うことが増えました。

 

ー 働く中で変わる気持ちの変化

働く中で徐々に、人としての成長を意識するようになりました。

看護師として働く中で、先輩方を見て

「このまま働けば看護師としてのスキルは上がるが、人として成長は出来るのか?」と思うようになりました。

周りに看護師としては尊敬出来る人はいるけど、一人の人間として目標にできる人はいるのかと考えると、

この病棟の中しか知らない私は答えが出せませんでした。

このまま病院での勤務を続けたとしても、給料が大きく上がるわけでもなく

ただ業務量と責任が増えるだけで、他にできることはないのではと考え始めました。

今の私は看護師のことしか知らないということに不安はありましたね。

医療の現場のことしか分からなかったため、一般的な社会の事は無知に近かったんです。

ビジネススキルをほぼ身に着けていない自分は社会から見てどうなのかな、と思い始めました。

なので、社会人として他の仕事も見てみたいな。と思い転職を考え始めました。

ー 転職で実感した新しい世界

病院の仕事が忙しかったので、転職先は土日休みで夜勤がないところを探しました。

クリニックや手術室看護師などを紹介されたのですが、自分のやりたいこととは違うなと思っていました。

そんな中、転職エージェントさんに訪問看護ステーションを紹介されました。

学生の時に在宅実習で、他者の自宅に上がることや、処置をすることに苦手意識があり

今まで挑戦する気持ちが湧かなかったのですが

そんなに苦手意識があるなら、逆にチャレンジしてみたらどうですか?社長も面白い方なので、ぴったりと思います。

転職エージェント
転職エージェント

と勧められ、訪問看護ステーションの就職面接を受けることになりました。

面接の時に、社長から「建前はいいので、素直な気持ちが聞きたいです」と言われ

怖くて泣きながら自分の気持ちを正直に伝えた記憶があります。(笑)

結果、内定をいただいて就職することになりました。

スペシャリストではなく、ジェネラリストになろうと決めたんです。

看護師としての医療行為だけ出来るのではなく

看護師以外の目線からこの利用者様に対してどんなことができるのか

考えることが求められて、すごく勉強になっています。

ケアマネージャーさんへの営業活動も訪問看護ならではの業務でとても楽しいです。

ー 現在の働き方は?

訪問看護の営業をやりながら、チームリーダー業務もしています。

その他にも、理学療法士(PT)や作業療法士と組みながら

患者様への様々なアプローチ方法を考えたり、ケアマネージャーさんと連携をとったりと

病院での看護師業務とは全く違う事に心から楽しいって思ってます。

ー 今後の展望は?

在宅のサービスを更に手厚くしていきたいです!

手厚くすることによって、病院への不必要な救急搬送も減らせることも出来ます。

そのため訪問看護の人材不足が影響で、サービス提供が難しいという状況を無くしたいです。

病院も人材が足りてないと思いますが、在宅の方にも目を向けて欲しいですね。

あとは、病院と在宅を繋げる関わり方が出来たらいいなと思ってます。

病院と上手く連携が取れれば、在宅看護での引継ぎもスムーズになると考えています。

在宅の現場で働くと、改めて病院との連携ってすごく大事だなと。

今までも病院との連携で、患者様の状況を教えてもらえてはいますが

病態だけの報告で、正直本当に欲しい情報が無いこともあります。

在宅ではよりパーソナルな部分(個性やキャラクター)が必要になってくるので

少しでも連携が取りやすくなるように活動していきたいと思っています。 

ー hopassを通して伝えたいこと

訪問看護はとっても働きやすかったです!

私自身、在宅看護に元々苦手意識があったので躊躇していたのですが

入職してみると在宅ならではの楽しさがたくさんあって、とても新鮮で毎日楽しく仕事をしています。

病院で勤務している看護師の方は、訪問看護について知らないことが多いです。

なので、お互いの現場を知っておくことの重要性についても発信して行きたいです。

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