誰かの心に響く限り、音楽を創り続けたい。【薬師るり / 薬剤師】

薬師るり(薬剤師)

薬剤師として働きつつ、学生時代から続けているアーティスト活動を通して
自分の曲で、誰かが笑顔になってくれたらと
現在も音楽制作やライブなど多くの活動を行っている。

薬師さんが薬剤師になろうと思ったきっかけはなんですか?

祖父が膵臓癌を患って、その時に知識が無くて理解できず

家族などの身近な人が、怪我や病気になってしまった時医療の知識が少しでもないと、何も状況が理解できないなと思ったんです。

仕事も遊びもお金のことも、なんでもそうなんですが、知っているのと知らないのでは雲泥の差があって、当然知っていると準備や対策もできるし選択肢も多く持てる。

病気や治療について知識がないので、状況が把握できないことがつらくて将来は医療系の仕事に就きたいなと思いました。

それから高校生の頃、医師、看護師などの医療系の職業を比べた時に、病気よりも薬に対して興味をもてたのと、白衣姿で研究員みたいに働く薬剤師の姿が漫画の影響なのかイメージの中にあって

とにかくかっこよくみえたので、薬剤師になることを決めました。

学生時代の記憶に残っている事はありますか?

薬学部って残酷な世界だなと思いました。

実家を出て一人暮らししていたので、日頃はバイトを入れて過ごしていました。軽音サークルにも入って音楽の仲間ができたり、友達と遊んだりと結構楽しかったです。

大学の定期試験が大変だった記憶があります。いくら授業を真面目に受けても、過去問が手に入らないとなかなか合格が難しい教科があって(泣)。

どこの学部も同じなのかもしれないですが、国家試験よりも大学の試験のほうが遥かに難しくて、、、過去問などの情報を集めることが難しい子は、真面目にやっていても割と留年や卒業延期をしていく・・・。

学費も決して安くないので、なんて残酷な世界なんだと思いました。

なので、おすすめの試験対策は、孤立しないことです。 友人と協力してなんとか先輩から過去問とかの情報を集めることが大事です(笑)。

薬学部は実習で病院と薬局に行きます。

私は病院実習は「精神科病院」へ。薬局実習は、地域に5店舗ほど展開している「調剤薬局」へ行きました。

病院実習は臨床の勉強をできることは楽しかったのですが、調剤薬局での実習中に感じた【患者さんの普段の生活を考えながら治療計画を立てていく事】のほうに興味がわき、調剤薬局へ就職することを決めました。

新卒で選んだ職場の基準はありますか?

最初は病院で臨床を学んだ方が良いのかな?と葛藤する気持ちもありました。

病院への就職は、経験として必要なのかな?と学生の頃迷ったこともあったのですが、奨学金のこともありましたし、その頃から音楽をやりながら働き続けたい気持ちがあったんです。

勝手なイメージですが、病院は残業も含め忙しすぎるイメージがあったのと、ある程度時間的な働き方について融通をきかせたかったので、有給も気軽に取れる調剤薬局を選びました。

ただ、新人の頃は経験をつんだほうがいいことは確かなので、就職先は気を使いました。その中でも最初は勉強のため

  1. たくさんの科から処方箋が集まる店舗
  2. 精神科の門前(門前:病院の近くで営業している調剤薬局のこと) を持っている店舗
  3. 在宅医療を積極的に行っている店舗

この3つの店舗を含むチェーンの薬局を探しました。

私が新卒の頃、ドラッグストアは調剤(処方箋の受付)をあまり行っていなかったので、就職先として選択肢にありませんでしたが、今なら大型のドラッグストアチェーンに就職しようと思ったかもしれません。

働いてみて感じたことはありますか?

対人スキルが思っていたより必要でした。

医療系の仕事だと、みんなそうだと思うのですが、言い方一つで体調を含む結果が大きく変わってしまうことがあるんだなと、新卒の頃に強く感じました。

他職種連携もそうですし、患者様への説明もですが、【言葉を選ぶ】必要があります。

その時々の相手の感情や体調をよく見て、よく聞くことと、一方的にならない伝え方をすることが大切なんだと思いました。

薬師さんが転職したきっかけはなんですか?

小さい会社だと教育や経営など見ることができなかったんです。

新卒2年間は、5店舗のチェーン調剤に勤めていましたが、もっと組織や教育に関して学んでいきたい!と思い、転職する事を決めました。大きな企業だと、教育制度もしっかりしていますし、本部に行けば経営企画や営業についても学べるので、大手グループの薬局に転職して、そこで4年勤めました。

その後、在宅医療をメインでやっている薬局で働きたいと思い再度転職し8年勤めましたが、 現在は在宅医療での多職種連携の部分を学びたかったこともあり、在宅医療がメインのクリニックで、主にDI(Drag Information:ドラッグインフォメーションの略であり、医薬品の情報を管理する業務)業務などを行っています。

今の活動を始めたきっかけはなんですか?

中学3年の頃からバンドを組んで、音楽をやっていたんです!

中学〜大学在学中でもずっと音楽をやっていて、現在も続けています。

幼稚園からピアノをやって、フルートやギターなどを触り始めて、その後中学校でバンドを組んで活動していました。高校も大学もメンバーは変わっても、ずっとバンドを組んで続けていたんですが、大学の国家試験が近づいて、同級生と組んでいたバンドが解散した時に気づいたんです。

バンドだと人のスケジュールや熱意に活動が左右されるな。よし!1人でやっていこう!と(笑)

そこから1人で曲を作り始めて、出入りしてたライブハウスさんや、仲間の協力などもあって、現在までずっと、フルタイムで薬剤師をしながらでも、音楽活動を続ける事ができています

曲をゲームの主題歌ラジオのテーマなどに使用していただいたり、出身地の町(阿見町)の観光大使にしていただいたり。自分の音楽アルバムも10枚。ライブイベントも今までたくさん開催させて頂いてます。

ただ、やりたいことを続けてたら今にいたる。みたいな感覚なので、最初の数年間は多少やりくりが大変だったときもありましたが、大きな問題や苦労はなかったように感じます。

それはきっと、音楽的に助けてくれる仲間がいたことと、(医療の方の)職場の皆がとても優しく理解があったからだと思っています。

これからやっていきたい事はありますか?

ライブ活動が難しくなってしまったので、オンラインできる事をやっていきたいと考えています。

ライブハウスやイベントスペースを利用してのイベントが感染症のこともあり、気軽に開催できなくなってしまったので、オンラインでできる配信やイベントを積極的にやっていきたいと考えています。

工夫が必要だなと感じています。最近、ずっとやりたいと思いながらも後回しにしていた、YouTubeをはじめました。

音楽活動では、事務所に所属しているわけではなく、個人事業主として各メーカーさんとお取引しているので、制作から請求まで(笑)全て自分で行っています。

YouTubeも、撮影自体は楽しくて好きなのですが、その後の編集がすごく面倒(笑)。

自分である程度できるようになったら、他の方に依頼してまわしていこうかなと考えていますが、今は、せっかく外にも頻繁に遊びにいけず、おうち時間が多いので、動画の編集なんかも勉強していきたいなと考えています。

これだけは叶えたい人生の野望

あまり大きな夢はなくて、売れたいとか有名になりたいとかではなく

誰かにとって、私の音楽が意味をもってくれたらいいなと思っています。

誰かにとってはどうでもいいことでも、誰かにとっては大きな勇気や光だったりする。そしてそれが音楽や芸術などの創作物だと思っていて、私の曲が、誰かの心に響く限り、それがたった一人になったとしても、曲を作り続けたいです。

いや、0になっても、誰にも望まれなくても、自分が楽しかったら続けるかもしれません(笑)。

私の曲や、発信する何かが、誰かの希望や勇気になってくれたら、とても嬉しいなと思っています。


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