痛くなる前に、入れ歯になる前に。【海老澤俊一 / 歯科医師】

海老澤 俊一(歯科医師)

学生時代に予防歯科に興味をもち、歯科医として勤務しながら予防歯科について学ぶ。
その中で予防歯科では胎児の時から重要大切ということを、
患者向けに姿勢発達、食育に関するセミナーを開催されている。
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今回は歯科医師として活躍されている【海老澤俊一さん】を取材させて頂きました!

この記事の見どころ
  • 歯科医師になろうと思った経緯とは?
  • 学生時代に臨床で感じた疑問とは?
  • 予防歯科で気づいた「赤ちゃん」の時から重要なこととは?
  • 海老澤さんの今後の活動について

それではどうぞご覧くださいー!

歯科医師になろうと思った経緯を教えてください!

自分が継がないと歯科医院が無くなっちゃうな』と思ったんです。

父が歯科医院を開業していまして、他になりたい将来の夢が特に無かったんですよね。

父も母も喜ぶだろうし、自分が歯科医院を継いだら今まで通っていた患者さんにとっても良いかなと思いました。自分で2代目になり、歯科医院自体は36周年を迎えましたね。

学生時代の思い出を教えてください!

自分なりにやりたいことをやっていましたね!

歯学部は6年間通学するんですが、5年生の時に附属病院へ実習に行き、実際に患者さんを診ます。

実習を行っている中で、「治療をもう少し工夫したら、もっと患者さんのタメになるんじゃないかな?」と感じる事があったんですよね。この頃が「予防歯科」分野に興味をもったきっかけになります。

その時、国家試験の先が見え始めたというか、国家試験合格は「ゴール」ではなく「通過点」なんだと捉えられたんです。そう考えると、国家試験のプレッシャーをあまり感じずに過ごせましたね。

部活では硬式野球部で主将として、当時歯学部全国学生大会で2位になったこともあります。最初は全然打てなかったのですが、試行錯誤してホームランを打てるようになったのもいい思い出です。

あとは、歯科医師のバイトをやっていたり、接遇を学ぶためにレストランでもバイトしたりしていましたね。バイトの後に先輩に飲みに連れられ、たらふく飲まされ、途中で記憶が無くなったことも(笑)気がついたら朝、自分の部屋のキッチンで寝てました。(笑)

北海道一周鉄道旅行一人旅を1週間かけてやってみたり、大学でカナダの大学に研修に行かせてもらったり、勉強も頑張ったので、卒業生代表の答辞もさせてもらいました。

遊びながらも勉強に取り組んで、充実した学生生活でしたね。

実習で印象に残ったことはありましたか?

「なんでこんな状態になったんだろう」って思ったんです。

5年生の実習の時、大学病院で実際にみた患者さんが、歯を全体的に治療していたんです。歯を被せる前の土台だらけの状態でした。

歯医者であれば「患者さんがしっかり噛めるように、より良いものを被せよう!」となるんですが、僕の場合はさらに「なんでこんな状態になってしまったんだろう。」と思ったんですよね。

これがきっかけとなって、【予防歯科】について学びたいと思いました

【予防歯科】という言葉は広まってきたけど、実際は予防が全然進んでないのでは?と思って。自己研鑽も含めて、予防に力の入れている歯科医院で学ぼうと思いました。

実際に医院で働いてみてどうでしたか?

治療についてすごく学べた反面、改めて予防歯科の必要性を感じました。

最初は5年間勤める予定でしたが、学ぶことが多くて7年間お世話になりました。ただやはり【予防歯科】が根付いていないなと思いました。結局みんな歯が痛くなってから歯医者に行くんだなあと。

痛みが起こってから治療すると歯を大きく削ってしまうんですよね。繰り返していると歯がボロボロになってしまう。そして歯を抜くしか無くなって入れ歯になる。この流れを食い止めるために、改めて予防歯科の必要性を感じました。

また、「予防歯科」と言っても、内容・質は医院によってだいぶ異なるとわかりました。例えば、3か月に1回、医院でただクリーニングするだけが予防歯科では無いということです。質の良い予防歯科を行っていきたいと思いました。

今興味あることについて教えてください!

歯並びを良くするには赤ちゃんのうちからアプローチしていく必要がある。と今のところ考えています。

予防歯科を勉強していく中で「0歳で歯が生え始めてきたタイミングで既に歯並びが悪い」ということに疑問を持ち始めました。

『歯並びが悪いのは柔らかいものばかり食べてるから』と言われていますけど、0歳ってそれ以前の話じゃないですか。なんでかな?と思ったんですよね。

医院で7年間勤務した後、実家に帰ってから比較的時間に余裕ができたので、その辺を掘り下げていきました。赤ちゃんの歯科について勉強していく過程で、助産師の佐藤亜紀先生(取材記事参照)に出会うことや

子供3人を観察する中で、全身の成長発達も大切と感じました。

歯並びには姿勢・呼吸・舌の位置などが影響していると言われていて、歯科でも通説になりつつあります。できれば0歳のうちから、それらの悪いクセがつかないように何とかできないかと考えています。

今後は患者さん向けに、予防歯科や赤ちゃんについてのセミナーなどに力を入れて発信していこうと思っています!

勉強するなかで、お母さんのお腹の中にいるうちも大切ということも分かってきました。

妻も歯科医師なので、色んなセミナーをやっていけたらと思っています。以前は佐藤亜紀先生と一緒に、姿勢発達についてのセミナーを開いていたんですが、最近はコロナの影響でストップしている状況です。

セミナー開催は、従来の治療もやりながら今後は力をいれていきたいなと思っています。コロナが落ち着いてきたら、妊婦さん向け離乳食・食育の教室なども開いていきたいです。

今後の活動について教えてください!

歯科医になって10年経ちますが、まだまだ勉強することいっぱいです(笑)

ここまでお伝えしたことに気を付けたからと言って、必ず歯並びが良くなる】というわけではまだありません。

色々な要因が絡んでいますので、まだまだ色々学びが必要と思っています。今は関わるお子さんの成長発達の方向が少しでもいい方向に向ければと思い、診療しています。

今、活動の想いに「質の良い予防歯科に力を入れて、痛い思いをしてほしくない。入れ歯になってほしくない。」があります。若い層を中心に虫歯はだんだん減ってきていますが、特殊な事情がなければもう虫歯はゼロにしたいですね。

今後の学びは、赤ちゃんのこと、鼻や呼吸、また、今後の歯科の役割は、歯周病や歯並び、摂食嚥下になってくると思いますので、そのあたりを今以上にもっと学んでいく必要があると思っています。

あとは情報の整理ですね。昔と違って、色々な情報が簡単に手に入るようになりましたが、ありすぎて混乱しているというのもあるのではないかと思います。先順位や、考え方の整理もお手伝いできればと思います。

今の時代、1つ1つの分野は専門的に掘り下げられているので、これからは複数分野・横の連携をもっとやっていけたらと思っています。他職種連携がより大切になってきますね!

hospassを通して伝えたいことを教えてください!

患者さんと医療者をもっと身近にしたいです!

患者さんに対して、日々進歩していく医療を分かりやすく発信していけたらと思っています。患者さんと医療職の壁を低くしていきたいです。

あとは医療者の人は、何かに新しく挑戦したいのであれば、試行錯誤してたら行動してみると良いと思います。インターネットが発達してアイディアが降りてくる可能性が高くなっていますしチャンスを掴みやすくなっている時代だと思うので、ぜひ怖がらずにチャレンジしてみてください!!

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