こんにちは、hospass運営局です!医療系情報メディア【hospass】では病院はパスする時代というスローガンを掲げ、日常お役立ち情報や病院の外でも活躍している医療職の取材記事を発信しております!どうぞご覧ください!
理学療法士の資格を持ちつつ、現在は執筆・講演活動、脳卒中フェスティバルを開催されている小林純也さんを取材させて頂きました!
- 脳卒中発症後、理学療法士を目指すまでの経緯
- 脳卒中フェスティバルでの印象に残ったエピソード
- hospassを通して伝えたいこと
理学療法士を目指し始めたきっかけを教えてください!
脳卒中で入院した時のことを思い出し、障がいが強みに変わる仕事につくため、理学療法士を目指しました!
23歳で脳卒中を発症しました。入院中、看護師さんにはお世話になったんですが、セラピストさんに心を動かされた記憶があまり無くて…。自分自身でリハビリを努力した部分が大きかったんです。
医師からも回復の限界と何度も言われていましたが、 退院してからも一生懸命リハビリを続けたんですよね。
入院当初は足を引きずっていた状態だったんですが、走れるまで回復して、発症してから約8カ月でボクシングにも復帰できるほどになりました。
そこから3年間経過して、そろそろプロになりたいと思った時に、トレーナーから「そもそも脳に障害があるんだから、プロにはなれないぞ。」と言われたんです。
どうしても諦めきれなかったんですけど、病気を患ってしまったらプロになれないことは覆すことができず、別の道を考え始めました。
ちょうどその時期くらいから、麻痺があって大嫌いだった右半身を「すごい」と思えるようになってきたんです。
良くここまで戻ったなと。町に出ると『障がい者』として見られてしまい、可哀想などと思われてしまいますが、自分にとっては強みで、この障がいを強みにできる仕事を探そうと思い立ちました。
「自分が入院していた時、今の自分のようなセラピストがいたら、希望になったんじゃないかな。」と考えて、障がいの価値を理学療法士になって伝えようと決心しました。
現在の活動内容について詳しくお聞かせください!
病院で勤務しながら、脳卒中フェスティバルというイベントを開催しています!
資格取得後から回復期リハビリテーション病院で勤務していて、9年目になります。4年目で脳卒中認定理学療法士となり、その頃から執筆活動や講演活動を始めました。
現在は病院から許可を頂いて、常勤で働きながら一般社団法人脳フェス実行委員会の代表を勤めています。
脳卒中フェスティバルは2017年から始めました。セラピストの人たちは、1人1人の患者さんを疾病のフィルターでみる傾向があります。
患者さんも遠慮して言いたいことを言えなかったりで、変な溝が出来てしまうんですよね。そこで、「楽しい」という共通の価値観で、自然と溝が薄まる場所があったら良いなと思ったんです。
そんな時に今の副代表と出会って。自分のやりたいことを話したら「是非一緒にやろう!」と言ってくれたんですよね。世界脳卒中デーが10月29日にあるので(2021年から脳卒中月間となっている)、第一回目の開催日をそこに設定して、スタッフなどを募ったら40人くらい集まりました!
脳卒中フェスティバルでの一番印象深いエピソードはありますか?
脳卒中フェスティバルに参加した車いすの方が、刺激を受けて車いすから卒業できたんです!
脳卒中フェスティバル2回目は六本木ヒルズで開催することが出来たんです!会場が豪華であったこともあり、脳卒中の当事者さんがたくさん集まってくれて。北海道や鹿児島から車いすで来てくださった方もいました。
イベントでは脳卒中当事者さんでファッションショーを行ったり、音楽ライブをしたり、スポーツや美容など様々なコンテンツを用意しました。
イベントに来て下さった方の中に「自分より重い麻痺の人が歩いてる。自分も歩かなきゃ!」と刺激を受けて、車いすから卒業できた方もいて本当に嬉しかったです。
参加者の方から「脳卒中フェスティバルに来たら楽しめる」という気持ちを感じられて、イベントをやってすごく良かったと思いました。
活動を通して、どのように社会に貢献したいですか?
障がい者と健常者の溝が自然と埋まっていったらいいなと思っています!
障がい者と健常者の間には、なぜか溝ができてると思うんです。その溝をなんとかしたいと考えています。「埋めていこう!」というわけではなく、自然と溝が埋まっていったらいいなと。
今の活動も現在は身内で行っていますが、徐々に広まっていけばいいかなと思っています。
社会を変えようと思って変えられるような大きい人間ではないので、革命的なところはすごい人たちに頑張って頂きたいです(笑)
小林さんの夢や、今後の目標を教えてください!
選択肢がいっぱいある世の中になって欲しいなと思っています!
3歳の娘がいるんです。娘が成長していく過程で、絶望する瞬間はない方がいいなと思っていて。
もし娘が障がい者になった時に「もうおしまいだ」と思うよりは、落ち込んだとしても選択肢がいっぱいある社会になった方が良いなと思っています。
脳卒中発症したときは「死にたい」と思っていました。尿道バルーンは入ってるし、酸素マスクもついてるし、右半身は全く動かない。感覚が無くてベッドと自分の境目も分からない。目も見えないし言葉も出てこない。それなりに重症だったんですよね。
流石にポジティブにはなれなくて。だけどボクシングが出来る状態まで戻れました。
「戻れないよ」と言われても「ボクシングに絶対戻る」と思い続けていたんです。その想いがここまでの回復に繋がったと思っています。
発症してから強く思うことは、予防するために発症前からコミュニティに入るなど、社会との繋がりを濃くしておくことはすごい大切に感じます。多くの人に伝えて、もし誰かが障がい者になっても、絶望しない世の中にしていきたいです。
hospassを通して伝えたいこと
「努力は夢中に勝てない」と思っています!
昔は「行動しないと意味ない。一歩踏み出して行動しましょうよ!」など言ってました。でも今なら色々考えちゃうのも分かるんです。
1日中Youtubeみて終わっちゃったなとかすごい分かる。それでも良いんじゃないかと思っていて、人それぞれの幸せを追っていければ問題ないと思っています。
やりたいけどやれないのであれば、他のことをやればいい。自分と考えが似ている人をめちゃくちゃ応援したらいい。その人のために動いていれば、自分が動かなくても世の中は変わっていきます。
自分が努力できることで、やらなければ少しづつやったら良い。僕の好きな言葉ですが、「努力は夢中に勝てない」から。