命を守る看護師の、心を守る仕組みをつくりたい!【ウィム・サクラ / 看護師】

ウィム・サクラ

看護師・認定心理士として、心療内科で働く人の心のサポートを行う傍ら、
「医療業界で働く人の心を守る仕組みを作りたい」との想いを持ち、
看護師向けメンタルサポート事業を展開している。
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こんにちは、hospass運営局です!医療系情報メディア【hospass】では病院はパスする時代というスローガンを掲げ、日常お役立ち情報や病院の外でも活躍している医療職の取材記事を発信しております!どうぞご覧ください!

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看護師と認定心理士の資格を持ちつつ、現在は看護師向けメンタルサポートの仕組みを開発しているウィム・サクラさんの取材をさせていただきました!

記事の見どころ
  • 看護師を目指したきっかけ
  • 事業に込められた想い
  • hospassを通して伝えたいこと

看護師を目指したきっかけはなんですか?

アフリカで活躍している助産師さんのドキュメンタリー番組を見たことがきっかけです!

もともと私自身スリランカをルーツに持っているのですが、生まれ育ったのは日本です。恵まれた日本の環境で教育を受けたことに誇りをもっていて、世界の役に立ちたいという漠然とした思いがありました。

中学2年生のときに観たドキュメンタリー番組で、「国境なき医師団」の日本人の助産師の方が、アフリカの新生児のケアをしていたんです。番組を観てから数週間、思い出すたびに泣いてしまうくらい感銘を受けて、私も日本の進んだ医療を世界に広めたいと思い、看護師を志しました!

入試のときに東日本大震災が起きたことがきっかけで、災害医療に興味を持ちました。自分のアイデンティティを生かせる国際医療や災害医療、急性期の領域に進みたいと思うようになりました!

大学卒業後の経歴を教えてください!

急性期病院で働いていましたが、うつ病を患い離職。現在は看護師として働きつつ自分の事業の立ち上げをしています。

最初の勤務先は急性期病院のER(救命救急外来)と病棟のローテーションでした。ERは第一志望で、当時やる気と責任感に溢れていたのですが、患者さんが亡くなる度に胸に迫る想いがあって。あの時こうしていれば…と反省する日々でした。

1年目の秋に体調不良がきっかけで精神的にも落ちこんでしまい、うつ病の診断とともに離職しました。「絶対病まない」という自信があったので、人生最大の挫折でしたね。

離職したときは「一生看護師に戻れない」と思い他業種に就きましたが、学生時代のご縁があり、再び看護師として働くことになりました。現在は、ご縁のあった先生と心療内科を立ち上げ、看護師・認定心理士としてを務める傍らベンチャーの立ち上げをしています!

うつ病を発症してからの気持ちの切り替えはどうされていましたか?

心理学や脳科学、ヨガ、アーユルヴェーダを勉強する中で自信を取り戻しました!

「なんでうつ病になったんだろう」という探求心から心理学を学び、認定心理士の資格を取得しました。その時に生活習慣を整えようと思い、ヨガの資格も取ったり、アーユルヴェーダの勉強をしたりしていました。アーユルヴェーダはインドやスリランカに根付いている予防医学で、対症療法だけでなく生き方そのものを見つめ直す考え方に共感しました。

人間が健康に暮らしていく中での3つの定義、心と体と社会的つながり。なかでも心は社会的つながりにも身体にも影響するんだと、心理学やアーユルヴェーダ、ヨガを通して学びました。

「私自身に欠陥があるから看護師は向いていない」と当時は思っていましたが、そうではなく、考え方の癖や心理的反応が原因であると知ることができました。勉強していく中で、「考え方の引き出しを増やし、心を大切にしていけば何でもできる」という自信がつき、社会復帰ができました

今の事業を始めたきっかけはなんですか?

自分が何をしたいのかを突き詰めていった結果たどり着きました!

命を守る人たちが守られていないことに疑問を抱いていて。命を守る人たちを守る仕組みができたら、と思っていたんです。

そんなときに経済産業省の「始動Next Innovator」というプロジェクトに看護師として初めて採択していただき、ビジネススキルやマインドセットを学びました。メンタリングもあり「なんであなたがやるのか、なにをやりたいのか」を永遠に聞かれてフィードバックを受けるんです。

毎晩泣きながら、自分は何がしたいのかを探っていくうちに、腑に落ちたのが「生涯をかけてナースを守る仕組みをつくりたい!」でした。イノベーションの地、アメリカのシリコンバレーへの派遣組として、100人の中か20人の選抜に選んでいただけたのもすごい自信になりました!

具体的な事業の内容を教えてください!

EAP(Employee Assistance Program / 働く人の心を守るしくみ)事業としてのWEBサービスを開発中です。

医療業界独特の相談しづらい環境を打開すべく、第三者機関のEAP事業として「心の見える化、心のセルフケア」を行い、必要に応じて専門家に直接繋げる仕組みをつくっています。

まずは心の見える化。自分の心の状態がわかると、自分にはどういう特性があって、どういう考え方の癖をもっていて、どの部分が日常生活に影響を与えているのか理解できるようになります。

心療内科では認知行動療法という手法を使って、考え方の引き出しを増やすということをやるんですけど、海外の一般の方も行うくらい、それを積み重ねていくと心の柔軟性が高まるんです。あとは心療内科でも用いられているマインドフルネスを活用し自分を客観視する技術、いわゆる心のセルフケアやトレーニングをします。

こういったプログラムを、Eラーニングのような動画やWebアプリケーションを用いて、スタッフの心を守る仕組みとして病院側に導入してもらえるようにサービスを開発しています。現在、個人向けのβ版を無料で開放して皆さんのフィードバックを元に改善いている段階です。

サクラさんが一番大切にしている想いは何ですか?

医療業界にイノベーションを起こしたいです!

看護師は素晴らしい職業だと思いますし、せっかく素晴らしい志をもって看護師をしている方がたくさんいるのに、こんなにも病んでいるのが悔しくて悔しくて。

日本だけではなく、世界に共通している問題です。特に日本は相談しづらい風潮があるので、ウェルビーイングの3つの中でも「心を大事にする」ということを、医療業界を足掛かりに一般化していきたいと思っています。

hospassを通して伝えたいこと

考える人から行動する人に変わってほしいです。

医療現場での失敗は、文字通り命取りです。でも一歩外に出ると失敗してなんぼの世界。今の事業を通して、業界にイノベーションを起こすためには失敗を100回しても足りないくらいだと感じています。

失敗が許されない現場にいる私たちほど、それ以外では失敗を恐れないで行動し続けることが大切なのだなと。外で何かにチャレンジするときこそ、考えるだけでなく、自分の直感を信じて行動してほしい。私は国家資格はゴールじゃなくて、どこにでも行けるチケットだと思っています!

また、自分がカラカラの状態で、人を潤そうとしている方がすごく多いと感じます。私の事業を通して、みなさんが自分を大切にするきっかけや、新たな行動を起こすことで自分を満たすきっかけをつくりたい。皆さんの、命を守る力を皆さんと共に向上させるためにも。

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