食を楽しみながら「健幸(健康で幸せ)」に!【まりな・ゆきな / 管理栄養士】

管理栄養士まりな・ゆきな

まりなさんは大学院を卒業後、食品メーカーへ就職。現在はFunny Foodの発信活動や株式会社bactericoにて妊婦さん向けの執筆活動を行っている。
一方ゆきなさんは、大学院を卒業後、行政へ就職。現在は幅広い年齢の方へ栄養相談や栄養講話、食育を行っている。
双方各々の活動に加え、双子管理栄養士として食の楽しさ、健康の大切さについて伝える活動をされている。
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こんにちは、hospass運営局です!医療系情報メディア【hospass media】では「病院はパスする時代」というスローガンを掲げ、日常お役立ち情報や病院の外でも活躍している医療職の方々の取材記事を発信させていただいております!

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今回は管理栄養士の資格を持ち、双子管理栄養士として食の楽しさや健康の大切さについて伝える活動をされているまりなさん・ゆきなさんを取材させて頂きました!

記事の見どころ
  • 実際に管理栄養士として働いてみて
  • 活動内容への想い
  • 今後の展望について

医療職を目指そうと思ったきっかけについて教えてください。

医食同源の考えをもとに、私たちの身体を作り元気にしてくれる食について学び、食を通して周りの人たちを健康に笑顔にしたいと思いました。

小さな頃から母の心のこもった手料理が嬉しくて、学校から帰ったら母は料理やお菓子を作って待ってくれていました。手料理と一緒に食卓を囲むと、どんな時も心がホッとできて、幸せな気持ちになりました。当時はあたりまえのように思えたことも、今考えればとてもありがたいことだなと感じています。

そんな母の影響で私たちは食べることが大好きになり、幼い頃から食に興味を持つようになりました。また、医食同源という言葉のように、私たちの身体を作り元気にしてくれる身近な食を通して、病気は予防できると考えています。そんな大好きで大切な食について学び、家族や周りの人の健康を少しでも守りたい、笑顔にしたいと思い、栄養学を学びました。

それぞれの職場を選んだ理由を教えてください。また、実際に管理栄養士として働いてみてどうでしたか?

大学院を卒業後、心がワクワクするような食を伝えたいと思い、子ども向けのお菓子の商品開発ができる食品メーカーを選びました。

大学時代に栄養学を学ぶ中で、身体の健康はもちろん、心の健康もサポートしたい、身体も心もワクワクするような食を伝えたいと考えるようになりました。自分自身も好きだったお菓子の開発を通して、子ども達にお菓子をきっかけに食べることの楽しさを体験してもらえた日々は、とても楽しいものでした。

そんなある日、海外の食の「フードアート(食べものを楽しくて、面白い見た目に変身させること)」との出会いが。日本にはお弁当の文化があるので、キャラ弁や人参を使ったお花の飾り切りなど、お弁当でフードアートを楽しむ方もいますが、海外の楽しみ方はもっと大胆に感じました。

Bill WurtzelさんというNew York在住のフードアート作家の著書『Funny Food』に載っていたフードアートを見たとき、その面白さに衝撃を受けました。

日本のように手をこんで作るというより、材料も作り方もとってもシンプル!なのに見ていてとても面白いんです。食べ物にほんの少しの工夫を加えることで、まずは視覚的に食を楽しみながら食に興味を持ってもらう、心がワクワクするような体験をプレゼントするというフードアートの概念に心が惹かれました。

そんな出会いを通して、もっと海外の食文化を学んでみたいと思い食品メーカーを退職。その年の28歳で渡航しました。商品開発の仕事は楽しくやりがいもあったため、今考えると人生で一番大きな決断だったように思います。

留学先は多民族文化の根付くカナダのモントリオール。現地の飲食店で働く経験をしてみたいと思い、就労ビザを取って1年間留学しました。色んな国の面白い食文化や滞在中にBill Wurtzelさんのもとへ直接フードアートを学びに行きました。いつもの生活にほんの少しのワクワクする食の彩りを添えることで、日々の生活が豊かになる。そんなことがとても素敵に感じるようになりました。

大学院を卒業後、身近で栄養を伝えられるような人になりたいと思い、地域の方への健康サポートを行う市役所の管理栄養士を選びました。

病気になる前に、イキイキと前向きに過ごすことのできるような栄養サポートを、直接人と関わりながら行いたいと思い、市役所の管理栄養士になりました。市役所では離乳食教室や乳幼児健診、健康料理教室、栄養相談、食育イベントなど、乳幼児から高齢者と幅広い年代の方々と接し、やりがいも多くとても勉強になる職場でした。

特に心に残っているのは、地域の方々と一緒に食育セミナーを一から作りあげたことです。楽しく学びながら健康について考える機会が、地域の人から人へと広がっている様子を見ると、サポートさせていただいた私も一緒に喜びの気持ちでいっぱいになりました。

数年を経て、市役所ではなかなか関わることのできなかった食生活が乱れ始める若い世代や働き盛りの方々、私の大好きなスポーツをする方への栄養サポートも経験したいと思い退職。その後、フリーランスの形でスポーツジムでのトレーニング指導や特定保健指導、メニュー開発、企業YouTubeのレシピ提供、2020東京パラリンピックアスリートへの栄養サポートなど様々な経験をさせていただきました。自ら沖縄料理cafeや栄養教室をのんびりと開催することもあります。

仕事に関わらず、人生一度きり、後悔なく自分らしく前向きに進みたい!という思いで、日々遠回りすることもありますが、一歩一歩楽しみながら過ごすよう心掛けています。

活動のきっかけや活動内容について教えてください。

留学をきっかけに人々の生活を豊かにできる食について発信したいと思いました。

帰国後は食について発信していきたい、ライターになりたいという気持ちがあったので、食の広告作成の会社に入りました。結婚を機に退職し、現在は株式会社bactericoで妊婦さん向けの記事の執筆活動と、Funny Foodの発信活動を行っています。

現在1歳の娘の母となりましたが、自分の妊娠中の経験も踏まえて、あえて“頑張りすぎない” “誰でも簡単に、気軽に取り組める”栄養管理方法について執筆するように心掛けています。私は妊娠中、つわりで思うように食事を摂ることができず、理想の妊婦食から遠ざかってしまっている現実に苦しみました。

多くの妊婦さんもきっと同じように、心配と隣り合わせの中でお腹の赤ちゃんの成長を見守っていると思います。そんな方に向けて、少しでも心のよりどころになってもらえるような、肩の力をそっとぬいて、「もっと赤ちゃんとの素敵な時間、大切なマタニティライフを楽しもう」と思っていただけたら幸いです。

また、Funny Foodとは海外の食のフードアートのことで、心がワクワクするような楽しい食事・食空間を共有することです。例えば、りんご1つでも、いろんな形に切ったりお皿に配置するだけで、人の顔や動物、乗り物に見えてきますよね。大人だけでなく小さなお子さまも、可愛い想像力でなんでも作ることができるのが魅力です。心に残る「幸せで豊かな食空間づくり」を日本でも広めたいと思い、SNSや親子向けセミナーを通して発信しています。

食を楽しみながら分の健康は自分で守れる人を一人でも多く増やしたいと思いました。

管理栄養士の仕事内容も様々あります。いろいろなことに興味がありチャレンジしたかったため、現在のフリーランスの形になりました。どの活動においても、笑顔に繋げたいという想いが一番にあります。食を楽しみながら、自分の健康は自分で守れる人を一人でも多く増やしていくことが目標です。

現在、主に栄養相談や栄養講話、食育活動を行っています。特に、対話を通して自ら「気付き・実践」に繋がるような栄養サポートを心掛けています。対話では、一方的な指導ではなく、食や生活習慣を伺いながら、たくさんある解決法の中からその方に合うものを一緒に探し出します。その中で自分の身体や食生活について「気付き」、目標設定を最終的に自分で行うことで計画で終わらず「実践」へと繋げていきます。

決して目標を達成するための解決法は1つではありません。食事以外でも運動、睡眠、ストレス予防などの生活習慣からも改善することができます。無理なくできて、自分の身体に合った解決法を、皆さんきっと見つけられると思います。

まずは小さな目標設定から始めてみてください。目標倒れしてしまい0で終わるよりかは、100できなくても50を継続する!という方が将来的には良い健康状態に繋がりますよね。なので、あまり難しくストイックになりすぎなくても大丈夫です。今よりも良い状態を作っていこうという気持ちで、食事を美味しく楽しみながら改善していきましょう。

それぞれの活動内容に詰まっている想いについて教えてください。

食を楽しみながら、心も身体も「健幸(健康で幸せ)」に繋がるようなサポートやきっかけづくりをしていきたいです。

きっと食べることはみんな好きだと思うので、1日3食ある食事を、大切な自分の身体を想って楽しみながら食べることが、自然とできるようになるきっかけを増やしていくことが目標です。

栄養ケアはすべての人にとって必要だと感じています。自分の体調に耳を傾け、自分の身体にとって何が必要なのかを知り、たくさんある情報に惑わされずに、自分に合った方法を見つけ、調節する力を身に付ける。そんな、自分の健康は自分で守ることができ、プラス周りにも伝えていけるような人を増やしていくことができればとても幸せです。

また、いつもの生活にほんの少しのワクワクする食の彩りを添える豊かな食経験について伝えたり、大丈夫ですよと心に寄り添うようなサポートをしていきたいと思っています。

2人で活動を始めたきっかけや今後の展望について教えてください。

面白いことに2人とも同じ栄養学の分野に興味をもち管理栄養士となったので、双子で一緒に「食の楽しさについて伝えていきたい」と考えていました。そんな時に友人であり株式会社bacterico代表の菅沼さんから声をかけてもらったのがきっかけです。

これまで双子管理栄養士として、親子向けのワークショップの開催やレシピ開発に携わりました。ワークショップでは、前半にゆきなが腸内環境についての栄養講話をセミナー形式で行い、後半はまりながFunny Foodについて紹介し、実際に子ども達に世界に1つだけの自分だけのフードアートを作ってもらう形で開催しました。

今後も食の大切さや楽しさを発信できるように、個々の活動も頑張りつつ、双子管理栄養士でのワークショップやセミナーも増やしていきたいなと思っています。また、2人とも旅が好きで、今まで21ヶ国42都道府県を食べ歩きました。旅の中で出会う素敵な食の魅力を届けるお手伝いもできれば楽しそうだなと考えています。今後も、ご縁を大切にしながら、2人だからこそできて楽しめる内容を、様々な形で発信し続けていきたいです。

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